スタッグハウンド装甲車

スタッグハウンド装甲車(Staghound armored car)は、第二次世界大戦中にアメリカ軍によって開発され、イギリス軍に使用された全輪駆動、4輪式装輪装甲車である。開発時の名称は、T17E1装甲車、アメリカ陸軍での形式は、M6装甲車である。ただしアメリカ陸軍では使用されなかった。

スタッグハウンド装甲車
スタッグハウンド Mk.I
基礎データ
全長 5.49m
全幅 2.69m
全高 2.36m
重量 14t
乗員数 5名
装甲・武装
装甲 9~44mm
主武装 37mm M6戦車砲
副武装 7.62mm機関銃M1919
主砲同軸、車体前面、および外装式
機動力
速度 89km/h
エンジン GMC 6気筒ガソリン×2基
97hp/72kW ×2
懸架・駆動 リーフスプリング式
装輪式4×4駆動
行動距離 724km
出力重量比 13.9hp/tonne
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概要 編集

第二次世界大戦の序盤、北アフリカ戦線ドイツ国防軍と戦ったイギリス軍は、火砲搭載の装輪式装甲車の有用性を認識、アメリカ軍もその認識を同じくし、偵察用火砲搭載装輪装甲車がアメリカで開発される。フォードが6輪式T17、GMC(GMシボレー)が4輪式T17E1を開発、評価試験の結果T17E1の方が良いとされ、アメリカ軍ではT17E1にM6の形式名が与えられたものの、問題ありとして結局実戦使用されず、全てイギリス軍に供与された(米軍ではその後、M8装甲車を採用)。イギリス軍に引き渡されたT17E1は、スタッグハウンドと名付けられ、同軍で終戦まで使用された。T17E1は1942年~43年末にかけ、約2800両生産された。

最初に開発されたT17E1 = スタッグハウンドMk.Iは、37mm砲と7.62mm機銃を同軸配置した旋回式密閉砲塔を持っていたが、イギリス軍による改修で、Mk.Iの主砲を3インチ榴弾砲に換装したスタッグハウンドMk.II、砲塔をクルセイダーMK.IIIの物に換装し、75mm戦車砲装備のスタッグハウンドMk.IIIがそれぞれ製作され、使用された。またイギリス軍の要望によりアメリカで対空型T17E2が開発された。T17E2は、オープントップの砲塔に2連装M2重機関銃を装備し、イギリス軍ではスタッグハウンドAAと呼称された(AAはAnti Aircraftの略)。T17E2は約800両生産された。このほか、砲塔をM8自走榴弾砲に換装したT17E3が開発されたが、この車両は試作のみで終わる。また、一部スタッグハウンドMk.Iには砲塔側面にシャーマン戦車やファイアフライ戦車と同様、Tulip 対地ロケット発射機を搭載した。

スタッグハウンド装甲車は大戦中、イギリス軍の他、他のイギリス連邦軍でも使用された。終戦後、各国で余った車両が輸出され、様々な国で使用が続けられた。レバノン内戦では複数勢力により使用され、現地改修によりキューポラを増設した車両や、シールド付きM2重機関銃を砲塔上に設置した車両、更にはAEC 装甲車Mk.IIIの砲塔に換装された車両などもあった。

派生型 編集

スタッグハウンドMk.I (T17E1)
最初に生産された原型形式(T17E1)。37mm砲と7.62mm機銃装備。約2800両生産。
スタッグハウンドMk.II
MK.Iの主砲を3インチ榴弾砲に換装。イギリス軍による改修。
スタッグハウンドMk.III
MK.Iの砲塔をクルセイダーMK.IIIの砲塔に換装、主砲を75mm砲に交換。イギリス軍による改修。
スタッグハウンドAA (T17E2)
砲塔を2連装M2重機関銃装備の新型に換装した対空型。形式はT17E2。約800両生産。
T17E3
砲塔をM8自走砲と同じ短砲身75mm砲搭載のものに換装した試作型。

画像 編集

参考文献 編集

登場作品 編集

War Thunder
プレイヤーが操作可能な対空車輌として、M2重機関銃を2挺搭載した「スタッグハウンドAA」が登場する。
『STUG.io』
イギリス研究ツリーに、E1 starhundとして登場。
トータル・タンク・シミュレーター
イギリスの装甲車STAG HOUNDとしてMk.Iが登場。

外部リンク 編集