ストリーツ・ア・ロック・オペラ

サヴァタージのアルバム

ストリーツ・ア・ロック・オペラ』(Streets: A Rock Opera)は、アメリカ合衆国ヘヴィメタルバンドサヴァタージ1991年に発表したスタジオ・アルバム。フル・レングスのスタジオ・アルバムとしては6作目に当たり、バンド初のコンセプト・アルバムとして制作された[1]

ストリーツ・ア・ロック・オペラ
サヴァタージスタジオ・アルバム
リリース
録音 1991年1月 - 7月 ニューヨーク 321スタジオ
ジャンル ヘヴィメタルパワーメタルプログレッシブ・メタル
時間
レーベル アトランティック・レコード
プロデュース ポール・オニール
専門評論家によるレビュー
サヴァタージ アルバム 年表
ガター・バレエ
(1989年)
ストリーツ・ア・ロック・オペラ
(1991年)
エッジ・オブ・ソーンズ
(1993年)
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背景 編集

プロデューサーのポール・オニールが書いた物語に基づいているが[2]、全曲ともオニールが作詞したわけではなく、ジョン・オリヴァも「トゥナイト・ヒー・グラインズ・アゲイン」「アゴニー・アンド・エクスタシー」「イフ・アイ・ゴー・アウェイ」といった曲の歌詞を書いている[1]。主人公のD.T.ジーザスは、かつてドラッグの売人だったロック・スターで、自分の再起を支えてくれたロード・マネージャーのテックスが、以前顔なじみだったドラッグの売人サミーに刺殺されたことから、「なぜ邪悪さや痛みというものがあるのか」と苦悩していく[3]。「ジーザス・セイヴズ」と「キャン・ユー・ヒア・ミー・ナウ」のレコーディング時にはジョニー・リー・ミドルトンとスティーヴ・ワコルズが不在だったため、この2曲ではジョン・オリヴァがドラムス、クリス・オリヴァがベースも兼任した[1]

当初は2枚組のアルバムとして計画され、曲間にナレーションが収録されていたが、アトランティック・レコードの同意が得られなかったため、「ジーザス・セイヴズ」のイントロ以外のナレーションは削られて、更に「Larry Elbows」もアウトテイクとなった[1]。オリジナルCDは12トラック入りの形で発売されたが[4]、そのうち4トラックは事実上2曲で、再発CDの中には、これらの曲が分割されて16トラック(ボーナス・トラックを除く)になっているものもある[5]

反響・評価 編集

リリース当時は前作『ガター・バレエ』(1989年)ほどの成功を収められず、アメリカでは『ビルボード』のヒートシーカーズで31位を記録するが、総合アルバム・チャートのBillboard 200には入らなかった[6]。また、ドイツでもアルバム・チャート入りを逃す結果となる[7]

Geoff Orensはオールミュージックにおいて5点満点中4.5点を付け「バンドの実生活の出来事に基づいていないにもかかわらず、彼らは明らかに題材としっかり結び付き、極めて情緒溢れる演奏を生み出している」「このバンドのことを知る上で良い出発点である」と評している[2]。また、Brenda Herrmannは1991年12月5日付の『シカゴ・トリビューン』紙において「Excellent」に相当する4点を付け「ドラッグの売人から堕ちたギター・ゴッドとなるD.T.ジーザスの物語は、精巧なものとは言えないが、クリス&ジョン・オリヴァによるギターとボーカルは、あらゆる感情を内包している」と評した[8]

2013年再発盤 編集

2013年にearMUSICから発売された再発CDは「Narrated Version」と呼ばれ、曲間のナレーション及びアウトテイクの「Larry Elbows」が追加収録された[9]。更に、9曲のミュージック・ビデオと6曲のオーディオ・トラックを収録したボーナスDVDも付属している[9]

収録曲 編集

全曲ともジョン・オリヴァ、クリス・オリヴァ、ポール・オニールの共作。ただし、「ヒール・マイ・ソウル」のメロディはウェールズの民謡「Suo Gân」を元にしている[10]

  1. ストリーツ - "Streets" - 6:51
  2. ジーザス・セイヴズ - "Jesus Saves" - 5:13
  3. トゥナイト・ヒー・グラインズ・アゲイン/ストレンジ・リアリティ - "Tonight He Grins Again / Strange Reality" - 8:28
  4. ア・リトル・トゥー・ファー - "A Little Too Far" - 3:26
  5. ユア・アライヴ/サミー・アンド・テックス - "You're Alive / Sammy and Tex" - 5:00
  6. セント・パトリックス - "St. Patrick's" - 4:18
  7. キャン・ユー・ヒア・ミー・ナウ - "Can You Hear Me Now" - 5:11
  8. ニューヨーク・シティ・ドント・ミーン・ナッシング - "New York City Don't Mean Nothing" - 4:02
  9. ゴースト・イン・ザ・ルーインズ - "Ghost in the Ruins" - 5:33
  10. イフ・アイ・ゴー・アウェイ - "If I Go Away" - 5:17
  11. アゴニー・アンド・エクスタシー/ヒール・マイ・ソウル - "Agony and Ecstasy / Heal My Soul" - 6:10
  12. サムホエア・イン・タイム/ビリーヴ - "Somewhere in Time / Believe" - 9:00

参加ミュージシャン 編集

アディショナル・ミュージシャン

  • ボブ・キンケル - キーボード指揮
  • Abi Reid - バッキング・ボーカル
  • Mozart's Magic Flute - チルドレン・クワイア

脚注 編集

  1. ^ a b c d FAQ - section 2 - the albums - part 1 - savatage.com - 2014年9月11日閲覧
  2. ^ a b Streets: A Rock Opera - Savatage | AllMusic - Review by Geoff Orens
  3. ^ CD英文ブックレットに記載された「The Story of D.T. Jesus and the Subway Messiahs」に基づく
  4. ^ Savatage - Streets-A Rock Opera (CD, Album) at Discogs - 1991年盤の情報
  5. ^ Savatage - Streets - A Rock Opera (CD, Album) at Discogs - 2011年ドイツ盤CDの情報
  6. ^ Savatage - Awards”. AllMusic. 2015年1月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月17日閲覧。
  7. ^ charts.de - Discograpie - Savatage - 2014年9月11日閲覧
  8. ^ Savatage Streets: A Rock Opera (Atlantic… - Chicago Tribune - Review by Brenda Herrmann - 2014年9月11日閲覧
  9. ^ a b Savatage: 'Streets: A Rock Opera' Narrated Version Reissue Detailed - Blabbermouth.net - 2014年9月11日閲覧
  10. ^ CD英文ブックレット内クレジット