セレナード (シェーンベルク)

アルノルト・シェーンベルクの『セレナード』(Serenade作品24は、1920年から1923年にかけて作曲された、バリトン独唱をともなう室内楽作品である。シェーンベルクはこの時期、十二音技法の確立に向かっていた。この作品では第4楽章のみが十二音技法に基づいて作曲されているが、他の楽章でも様々な音列技法が試みられている。このように、この作品は無調から十二音技法への過渡的様相を呈している。

初演は1924年7月20日、ドナウエッシンゲン音楽祭において、シェーンベルク自身の指揮によって行われ、同年に楽譜が出版された。

編成 編集

クラリネットバス・クラリネットマンドリンギターヴァイオリンヴィオラチェロ、声(バリトン、第4楽章のみ)

構成 編集

7つの楽章からなる。演奏時間は約30分。

  1. 行進曲Marsch) 2分の2拍子 一種の三部形式
  2. メヌエットMenuett) 4分の3拍子 トリオを持つ三部形式にコーダをともなう。
  3. 変奏曲Variationen) 8分の4拍子 主題と5つの変奏、コーダからなる。
  4. ペトラルカのソネット(Sonett von Petrarca) 8分の4拍子 唯一声楽が加わる。ペトラルカソネット第217番のカール・アウグスト・フェルスタードイツ語版によるドイツ語訳をテクストとする。詩の1音節に1音を当てる十二音技法で書かれている。詩は1行が11音節からなるため、音列は1行ごとに1音ずつずれていくことになる。
  5. 舞踏の情景(Tanzscene) 8分の3拍子 快活なワルツで中間部は緩やかなレントラー
  6. 無言歌(Lied (ohne Worte)) 4分の2拍子 短く穏やかな雰囲気の楽章。
  7. フィナーレ(Finale) 2分の2拍子 第1楽章の変形された再現。