ソーマサンスクリット語: सोमsoma)は、ヴェーダなどのインド神話に登場する神々飲料。なんらかの植物と考えられるが、植物学上の同定は困難である[注釈 1]。また、その植物を神格化したインドの神でもある。ゾロアスター教神酒ハオマと同起源。

飲み物のソーマは、ヴェーダの祭祀で用いられる一種の興奮飲料であり、原料の植物を指すこともある。ゾロアスター教でも同じ飲料(ハオマ)を用いることから、起源は古い。神々はこれを飲用して英気を養い、詩人天啓を得るために使った。高揚感や幻覚作用を伴うが酒ではない。ソーマは神々と人間栄養と活力を与え、寿命を延ばし、霊感をもたらす不老不死霊薬という。『リグ・ヴェーダ』第9巻全体がソーマ讃歌であり、その重要性が知られる。

ヒンドゥー教ではが神々の酒と見なされたためにソーマは月の神とも考えられ、ナヴァグラハの1柱であると月の神チャンドラと同一視される。

注釈 編集

  1. ^ ベニテングダケを抽出したものとするゴードン・ワッソンによる説があるが、これに対してケンブリッジ大学のジョン・ブラフより反論が提出されている[1][2]

脚注 編集

  1. ^ 山本昌木「古代インドにおける植物病害と菌類について」『日本植物病理学会報』第51巻第3号、1985年、251頁。 
  2. ^ John Brough (1971). “Soma and "Amanita muscaria"”. Bulletin of the School of Oriental and African Studies, University of London 34 (2): 331-362. https://www.jstor.org/stable/612695. 

参考文献 編集

関連項目 編集