タイガース・オブ・パンタン

タイガース・オブ・パンタン[1]Tygers of Pan Tang)は、イングランド出身のヘヴィメタルバンド

タイガース・オブ・パンタン
Tygers of Pan Tang
ベルギー・フォルセラール公演(2018年5月)
基本情報
出身地 イングランドの旗 イングランド
タイン・アンド・ウィア州ノース・タインサイド
ジャンル ヘヴィメタル
ハードロック
NWOBHM
活動期間 1978年 - 1983年
1985年 - 1987年
1999年
2000年 - 現在
レーベル MCAレコード
ミュージック・フォー・ネイションズ
ニートレコード
ゼブラ・レコード
スペクトラム
スピットファイアー・レコード
Z
コミュニークほか
公式サイト www.tygersofpantang.com
メンバー ロブ・ウィアー
ジャコポ・マイレ
フランチェスコ・マーラス
ギャヴィン・グレイ
クレイグ・エリス
旧メンバー ジョン・サイクス
ほか別記参照

1970年代末に勃興したムーヴメント「NWOBHM」から台頭したグループの一つ。1980年代に解散していたが、1999年に再始動を果たした。実力派のギタリスト、ジョン・サイクスを輩出したことでも知られる。

バンド名は、マイケル・ムアコックのファンタジー小説『エルリック・サーガ』に登場する魔法使いたちのペットの虎が由来。

略歴 編集

NWOBHM期(1978年 - 1983年) 編集

イングランドタイン・アンド・ウィアで、ジェス・コックス(ボーカル)、ロブ・ウィアー(ギター)、リチャード・ロウズ(ベース)、ブライアン・ディック(ドラムス)によって結成。

クラブでプレイしつつ、ローカルのインディペンデント・レーベルであるニートレコードと契約し、数枚のシングルをリリースした後、1980年MCAからファースト・アルバム『ワイルドキャット』をリリース(プロデューサーはクリス・タンガリーディス)。1週間後にイギリスのチャートで18位まで上昇した。このアルバムを携えてサクソンのサポート・アクトとしてツアーに出た際に、同じくサポートを務めたトリオ編成のバンド、ストリート・ファイターでプレイしていたジョン・サイクスと出会う。

 
ジョン・サイクス (1984年)

1980年、サイクスを2人目のギタリストとして迎え、ほぼ同時期にボーカルがコックスから元ペルシャン・リスクのジョン・デヴァレルに交替。このラインナップで1981年にアルバム『スペルバウンド』をリリースした。

サイクスは、3枚目のアルバム『クレイジー・ナイツ』のリリース直後、オジー・オズボーン・バンドのオーディションを受けるために脱退。フレッド・パーサー(元ペネトレイション)が後釜に座った(彼はツアー開始わずか2日前にセット・リストの曲すべてを頭に入れなければならなかった)。サイクスは後にシン・リジィホワイトスネイクなどで活躍する。

1982年、4枚目のアルバム『危険なパラダイス』をリリース(シングル・カットされた「ラヴ・ポーションNo.9」と「デンジャー・イン・パラダイス」の2曲のみ、脱退したサイクスのプレイが聴ける)。本作は彼らのキャリアを通じて最も成功したアルバムとなる。この年に初来日公演。

1983年、彼らにより多くのカバー曲のレコーディングを要求するMCAレコードとグループは対立し、彼らはレコード会社の移籍を要望する。だがMCAが提示した補償金は他のいかなるレコード会社にも支払い不可能な金額であった。結局このごたごたが元でバンドは解散する。ニートレコード、MCA時代の音源は多くのコンピレーション・アルバム、ライブ・アルバムとしてリリースされた。

再結成(1985年 - 1987年、1999年) 編集

1985年、ジョン・デヴァリルとブライアン・ディックは、スティーヴ・ラム(ギター、元サージャント)、ニール・シェファード(ギター)、クリン・アーウィン(ベース、元ウォーリアー、サタン)というラインナップでバンドを再結成(まもなくアーウィンはデイヴ・ドナルドソンに交替)。同時期にロブ・ウィアーとジェス・コックスもスピン・オフ・グループ「タイガー・タイガー」を結成する。

再結成パンタンは、1985年夏にアルバム『ザ・レック・エイジ』をミュージック・フォー・ネイションズから、1987年に『バーニング・イン・ザ・シェイド』をゼブラ・レコードからリリースしたが、『バーニング・イン・ザ・シェイド』は大した反響を得られず、再び解散した。

1998年ヴァッケン・オープン・エアにおいて、ジェス・コックスが「ブリッツクリーグ」のステージに飛び入りし、タイガース・オブ・パンタンのナンバーを披露した。観客のリアクションも好意的なもので、翌1999年にはパンタン結成20周年、およびヴァッケン・オープン・エア10周年を記念して一時的に再結成、ヴァッケンのメイン・ステージで演奏した(メンバーはジェス・コックス、ロブ・ウィアー、グレン・S.ハウズ、ギャヴァン・グレイ、クリス・パーシー)。この模様は『Live at Wacken』としてリリースされた。

ロブ・ウィアー主導体制(2000年 - 現在) 編集

2000年、オリジナル・メンバーはロブ・ウィアーのみで再編成。翌2001年Zレコードからアルバム『Mystical』をリリースするが、セールス不振で翌年にはZレコードから契約を破棄される。

2003年11月4日、「ガールスクール」「オリヴァー・ドーソン・サクソン」「タイガース・オブ・パンタン」の3つのバンドの楽曲を集めたコンピレーション・アルバム『The Second Wave: 25 Years Of NWOBHM』をリリース。2004年にはニュー・シンガー、リッチー・ウィックスを迎えてアルバム『Noises from the Cathouse』をリリースした。数年後、ウィックスはイタリア人シンガー、ジャコポ・メイレに交替。

2007年10月、タイガース・オブ・パンタンは、1980年代初頭のレパートリー3曲のリ・レコーディングを含む5曲入りの限定版EP『Back And Beyond』をリリース。2008年5月にはジャコポ・メイレ加入後初のアルバム『アニマル・インスティクト』を発表した。

2015年、デビューメンバーのボーカリスト ジェス・コックスが、本体とは別にタイガース・オブ・パンタン名義で活動。

2018年、『JAPANESE ASSAULT FEST 18』にて、36年ぶりとなる来日公演を開催[2]

備考補足 編集

リッチー・ウィックスはその後、シャドウ・キープに加入し、2008年にアルバム『The Hourglass Effect』をリリース。2010年にはロニー・ジェイムス・ディオ時代のブラック・サバスのトリビュート・バンド、ヘヴンリー・ヘルのボーカルを務めた[3]

ジョン・デヴァリルはジョン・デ・ヴィル (Jon De Ville) の名で俳優としても活動。2007年10月にはロンドン・パラディアムでコニー・フィッシャーらとともに『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台に立った。

メンバー 編集

※2023年10月時点

現ラインナップ 編集

  • ロブ・ウィアー (Robb Weir) - ギター (1978年 - 1983年、1999年 - )
  • ジャコポ・メイレ (Jacopo Meille) - ボーカル (2004年 - )
  • フランチェスコ・マーラス (Francesco Marras) - ギター (2020年 - )
  • ギャヴィン・グレイ (Gavin Gray) - ベース (1999年、2011年 - )
  • クレイグ・エリス (Craig Ellis) - ドラムス (2000年 - )

旧メンバー 編集

ボーカル 編集

  • マーク・ブッチャー (Mark Butcher) (1978年)
  • ジェス・コックス (Jess Cox) (1978年 - 1981年、1999年、Jess Cox's Tygers of Pan Tang 2015年)
  • ジョン・デヴァリル (John Deverill) (1981年 - 1983年、1984年、1985年 - 1987年)
  • トニー・リデル (Tony Liddell) (2000年 - 2002年)
  • リッチー・ウィックス (Richie Wicks) (2002年 - 2004年)

ギター 編集

  • ジョン・サイクス (John Sykes) (1980年 - 1982年)
  • フレッド・パーサー (Fred Purser) (1982年 - 1983年)
  • スティーヴ・ラム (Steve Lamb) (1984年、1985年 - 1987年)
  • ニール・シェファード (Neil Shepherd) (1984年、1985年 - 1987年)
  • グレン・S.ハウズ (Glenn S. Howes) (1999年)
  • ディーン・ロバートソン (Dean Robertson) (2000年 - 2013年)
  • ミッキー・クリスタル (Micky Crystal) - ギター (2013年 - 2020年)

ベース 編集

  • リチャード・ロウズ (Richard "Rocky" Laws) (1978年 - 1983年)
  • コリン・アーウィン (Colin Irwin) (1983年 - 1985年)
  • デイヴ・ドナルドソン (Dave Donaldson) (1985年 - 1987年)
  • ブライアン・ウェスト (Brian West) (2000年 - 2011年)

ドラムス 編集

  • ブライアン・ディック (Brian Dick) (1978年 - 1983年、1985年 - 1987年)
  • クリス・パーシー (Chris Percy) (1999年)
  • スティーヴン・プラント (Steven Plant) (1999年 - 2001年)

ディスコグラフィ 編集

スタジオ・アルバム 編集

  • 『ワイルド・キャット』 - Wild Cat (1980年)
  • 『スペルバウンド』 - Spellbound (1981年)
  • 『クレイジー・ナイト』 - Crazy Nights (1981年)
  • 『危険なパラダイス』 - The Cage (1982年)
  • 『ザ・レック・エイジ』 - The Wreck-Age (1985年)
  • 『バーニング・イン・ザ・シェイド』 - Burning in the Shade (1987年)
  • Mystical (2001年)
  • Noises from the Cathouse (2004年)
  • 『アニマル・インスティンクト』 - Animal Instinct (2008年)[4]
  • 『アンブッシュ』 - Ambush (2012年)
  • 『タイガース・オブ・パンタン』 - Tygers of Pan Tang (2016年)
  • 『リチュアル』 - Ritual (2019年)
  • 『ブラッドラインズ』 - Bloodlines (2023年)

ライブ・アルバム 編集

  • BBC in Concert (1981年)
  • Live at Wacken (2001年)
  • 『ライヴ・アット・ノッティンガム・ロック・シティ〜フィーチャリング・ジョン・サイクス』 - Live at Nottingham Rock City (2001年)
  • Live in the Roar (2003年)
  • Leg of the Boot: Live in Holland (2005年)
  • 『ライヴ1981〜ヘルバウンド・スペルバウンド』 - Hellbound Spellbound Live 1981 (2018年)

コンピレーション・アルバム 編集

  • 『ライヴ&シングルズ』 - Tygers of Pan Tang (1982年)
  • The Best of Tygers of Pan Tang (1984年)
  • 『ベスト・オブ・ジョン・サイクス ジョン・サイクス・ウィズ・タイガース・オブ・パンタン』 - John Sykes With Tygers Of Pan Tang (1984年)
  • First Kill (1986年) ※初期のデモ・レコーディング集
  • Hellbound (1989年)
  • 『シングルズ』 - Singles (1992年)
  • On the Prowl: The Best of (1999年)
  • Detonated (2005年)
  • Big Game Hunting (The Rarities) (2005年)
  • Bad Bad Kitty (2005年)

EP 編集

  • Back And Beyond (2007年) ※3,000枚の限定プレス[5]
  • The Wildcat Sessions (2010年)[5]
  • The Spellbound Sessions (2011年) ※1,000枚の限定プレス[6]
  • The Crazy Nights Sessions (30th Anniversary Special Edition) (2014年)

シングル 編集

  • "Don't Touch Me There" / "Burning Up" / "Bad Times" (1979年)
  • "Rock 'N' Roll Man" / "All Right on the Night" / "Wild Cats" (1980年)
  • "Suzie Smiled" / "Tush" (1980年)
  • "Euthanasia" / "Straight as a Die" (1980年)
  • "Don't Stop By" / "Slave to Freedom" (live) / "Raised on Rock" (live) (1981年)
  • "Hellbound" / "Don't Give a Damn" / "Don't Take Nothing" / "Bad Times" (1981年) ※全英48位
  • "The Story So Far" / "Silver and Gold" / "All or Nothing" (1981年)
  • "Love Don't Stay" / "Paradise Drive" (1981年)
  • "Do It Good" / "Slip Away" (1982年)
  • "Making Tracks" / "What You Sayin'" (1982年)
  • "Paris By Air" / "Love's a Lie" (1982年) ※全英63位
  • "Rendezvous" / "Life of Crime" (1982年) ※全英49位
  • 「ラヴ・ポーションNo.9」 - "Love Potion No. 9" / "The Stormlands" (1982年) ※全英45位[7]
  • "Lonely at the Top" / "You Always See What You Want" (1983年)[4]
  • "Only The Brave" (2016年)
  • "White Lines / Don't Touch Me There" (2019年)

日本公演 編集

  • 1982年
9月26日 東京・渋谷公会堂、27日 名古屋・勤労会館、28日 大阪・厚生年金会館、29日,30日 東京・中野サンプラザ
  • 2018年
11月4日 "JAPANESE ASSAULT FEST 18" 吉祥寺CLUB SEATA

脚注 編集

  1. ^ タイガーズ・オブ・パンタン」の表記もある。
  2. ^ タイガース・オブ・パンタン、36年ぶりの来日。ロブ・ウィアーが語る”. Yahoo! JAPAN 山崎智之コラム (2019年1月16日). 2023年10月28日閲覧。
  3. ^ Richie Wicks at Myspace
  4. ^ a b Roberts, David (2006). British Hit Singles & Albums (19th ed.). London: Guinness World Records Limited. p. 572. ISBN 1-904994-10-5 
  5. ^ a b Encyclopaedia Metallum: The Metal Archives – Tygers of Pan Tang”. The Metal Archives (2002年7月23日). 2012年4月27日閲覧。
  6. ^ Tygers Of Pan Tang To Release New EP - in Metal News ( Metal Underground.com )”. Web.archive.org (2012年10月8日). 2020年10月5日閲覧。
  7. ^ Official Charts Company”. Officialcharts.com (1982年3月27日). 2020年7月13日閲覧。

外部リンク 編集