ターボアウトラン』 (Turbo OutRun) は、セガ1989年2月11日に稼働開始したアーケードドライブゲーム

ターボアウトラン
Turbo OutRun

非可動BOX型アーケード版ターボアウトラン
(撮影:ナツゲーミカド
ジャンル ドライブゲーム
対応機種 アーケード (AC)
Amiga
Amstrad CPC (CPC)
Atari ST (ST)
ZX Spectrum (ZX)
コモドール64 (C64)
FM TOWNS
PC/AT互換機 (DOS)
メガドライブ (MD)
開発元 セガ第2AM研究開発部
発売元 セガ
ディレクター 浜垣博志
デザイナー 三船敏[注釈 1]
音楽 川口博史
高木保浩[注釈 2]
人数 1人
メディア 業務用基板
(2.32メガバイト
稼働時期 AC
INT 198902111989年2月11日
Amiga,CPC,ST,ZX
アメリカ合衆国 1989年
ヨーロッパ 1989年
C64
ヨーロッパ 1989111989年11月
アメリカ合衆国 1990年
FMT
日本 198912011989年12月1日
DOS
アメリカ合衆国 1990年
MD
日本 199203271992年3月27日
ヨーロッパ 1992061992年6月
デバイス ステアリング
アクセルペダル
ブレーキペダル
シフトレバー
2ボタン
筐体 非可動コクピット型筐体
アップライト型筐体
CPU MC68000 (@ 12.5 MHz)×2
サウンド Z80 (@ 4 MHz)
YM2151 (@ 4 MHz)
Sega PCM (@ 4 MHz)
ディスプレイ ラスタースキャン
横モニター
320×224ピクセル
59.64Hz
パレット12288色
売上本数 1328ポイント
(1989年度ベストインカム第9位)[1]
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アウトラン』(1986年)の続編に当たる。また、当初の稼働時は大型筐体を使ってはいたが、稼働等はしない仕様であった(後にこれを流用する形のアップデート的な改修が成され、その筐体では、車の動きに合わせて筐体が動く「体感ゲーム」の要素も付け加えられた。詳しくは後述)。

概要 編集

本作が登場した1989年は、セガの体感ゲームシリーズが絶頂期を迎えていた頃である。当時のゲームセンターでは『スペースハリアー』(1985年)や『アウトラン』、『アフターバーナー』(1987年)といった大型可動筐体の機種が現役で稼働している中にあって、本作のメインの筐体はあくまで非可動BOX型のコックピットタイプだった。一部に初代アウトラン筐体をアップデートした可動タイプも見られたものの、数多くは出回らなかった。また、アウトランのデラックス(DX)筐体の赤パネルを専用白パネルに換装したDXタイプ筐体が存在する。

この頃はまだゲームに実車の名称を使用する場合であっても、自動車メーカーとの間のライセンス契約等も確立されておらず、フェラーリ・F40ポルシェ・959ミニクーパーポルシェ・911といったそうそうたる名車を登場させるなど、現在では見ることのできない演出がされている。また、このゲームが発売される前年、フェラーリの創設者で、F40が自ら手がけた最後のマシンとなったエンツォ・フェラーリが亡くなっており、本作のコクピットタイプの筐体には、白いレタリングで「Requiem for Enzo Ferrari」と刻まれていた。

ゲーム内容 編集

初代アウトランのヨーロッパから、今度はアメリカに舞台を移してフェラーリ・F40似のオープンカーを運転し、ポルシェ・959を模しているライバル車と競いながらニューヨークからロサンゼルスを目指す。全16ステージ(MD版は全15ステージ)あり、各ステージには制限時間が設けられ、時間内に通過しないとゲームオーバーとなる。前作と比べるとコースに分岐がなく、ターボが使用可能など、大幅な変更が加えられている。ターボは、ターボボタンを押すことで過給が開始され、一定時間爆発的な加速が得られる。プレイ中何度でも使用可能であるが、連続で使用するとオーバーヒートしてしまい、オーバーヒートしてる間は使用できない。また、第4、8、12ステージの最後にチェックポイントがあり、各チェックポイントでは3種のスペシャルパーツ「ハイパワーエンジン、ハイグリップタイヤ、スペシャルターボ」からいずれか一つを選択して、自車の性能を上げる事ができる。なお、ライバル車よりチェックポイント通過が遅いと、助手席の彼女がライバル車に移動するイベントもある。

コース 編集

ニューヨークからスタートしロサンゼルスまでアメリカ本土を西に向かって横断するコースとなっている。

ここでは便宜上チェックポイント毎に各セクションで区切って表示する。

第1セクション
ニューヨーク(スタート)→ワシントンD.C.→ピッツバーグ→インディアナポリス→シカゴ(第1チェックポイント)
第2セクション
シカゴ→セントルイス→メンフィス→アトランタ→マイアミ(第2チェックポイント)
第3セクション
マイアミ→ニューオーリンズ→サンアントニオ→ダラス→オクラホマシティ(第3チェックポイント)
第4セクション
オクラホマシティ→デンバー→グランドキャニオン→ロサンゼルス→ゴール

ギアガチャ 編集

通常なら路肩を走行すると速度が落ちるが、マニュアルシフトを選択した場合、Hiギアで走行中にテンポよくギアをLo/Hiに入れると速度が落ちなくなる(詳細はアウトランギアガチャを参考)。

ギアガチャ2 編集

Hiギアで走行中、テンポよくギアをLo/Hi、Lo/Hiと切り替えつつハンドルを激しく左右に切り続けながら走行すると、通常より速く走ることが可能である。

その他 編集

  • ギヤやパーツを選択する時、アクセルやブレーキを踏みながらスタートボタンやターボボタンを押すと、色々な現象が起きる。
  • 初代アウトランの筐体でも無理やり使用可能にしたせいか、可動筐体の基板ではディップスイッチの変更によりスタートボタンをターボボタンとしても使用することができる(標準筐体の基板ではターボボタンは必須)。
  • ゴール時、相手の車が彼女を乗せたまま先行ゴールされても、エンディングは1つしか無い。

移植版 編集

No. タイトル 発売日 対応機種 開発元 発売元 メディア 型式 備考
1 Turbo OutRun   1989年
  1989年
Amiga
Amstrad CPC
Atari ST
ZX Spectrum
ICE Software U.S. Gold フロッピーディスク
カセットテープ
-
2 Turbo OutRun   1989111989年11月
  1990年
コモドール64 Probe Software U.S. Gold フロッピーディスク
カセットテープ
-
3 ターボアウトラン   198912011989年12月1日
FM TOWNS CSK総合研究所 CSK総合研究所 CD-ROM -
4 Turbo OutRun   1990年
PC/AT互換機 Code To Go セガ フロッピーディスク -
5 ターボアウトラン   199203271992年3月27日
  1992061992年6月
メガドライブ Tiertex Design Studios セガ 4メガビットロムカセット[2]   G-4053
  1123
6 セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE   201612222016年12月22日
ニンテンドー3DS M2 セガゲームス ニンテンドー3DS専用カード
ダウンロード
CTR-P-BF3J アーケード版の移植
2022年12月21日ダウンロード版配信・販売終了
メガドライブ版
ニンテンドー3DS版
オムニバスソフト『セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE』の1タイトルとして収録。セガが2012年から展開している「セガ3D復刻プロジェクト」で移植された往年のセガゲーム(『アウトラン』も含まれる)において実装された豊富なオプションが本作においても搭載されている。代表的なものは下記参照。
  • 映像を裸眼立体視化(3DS本体のスイッチで任意にOFF可)。
  • アーケード筐体をプレイした気分を味わえる様に、ゲーム画面のフレームとして実際の筐体から3タイプを用意。このうち、デラックスタイプと本来は動かないコックピットタイプをバーチャル的に可動するようにした“ ウゴックピット ”なるエクストラフレームについては、操作に合わせて映像がローテートする。
  • 「環境音」(実際の筐体から収録した動作音やゲームセンターの店内音)を設定可能。ONにするとプレイ時の音声にミックスされる。
  • 「BGMバージョン」を2タイプから選択可能(詳しくは後述する「音楽」の節を参照)。上記のフレームで選んだ筐体とは連動しない。
  • ゲームの60fps描画(オリジナルのアーケード版は30fps)及びワイド画面化。
  • プレイ中いつでもセーブ・セーブポイントからの再開が可能。
  • 「リプレイ」機能搭載(データ記録は1カートリッジにつき1つだけ)。
このほか、ゲームを進めることで「ステージセレクト機能」(4ステージごと)が解放される。
前作『アウトラン』と同様に、自車がF40ではない赤い車に差し替えられ、一部一般車両や背景のグラフィックも変更されている。
セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE収録作中、本作は陸橋の上の人が歩く等の細かな表現も多かった為、60fps動作が難しかったとされる[3]
2022年12月21日をもって、『セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE』ダウンロード版の配信・販売が終了した[4]

音楽 編集

本作ではBGMは選択式ではなく、各チェックポイント毎にBGMが切り替わっていた。スタートからゴールまでの4区間にそれぞれ違う曲が用意される。標準筐体と可動筐体では使用される曲は同一であるが、曲順が異なる。

  • 標準筐体 ※ 3DS版では「TYPE 1」と呼称。
  1. ST.1〜ST.4・・・「SHAKE THE STREET」
  2. ST.5〜ST.8・・・「RUSH A DIFFICULTY」
  3. ST.9〜ST.12・・・「WHO ARE YOU」
  4. ST.13〜ST.16・・・「KEEP YOUR HEART」
  • 可動筐体 ※ 3DS版では「TYPE 2」と呼称。
  1. ST.1〜ST.4・・・「RUSH A DIFFICULTY」
  2. ST.5〜ST.8・・・「KEEP YOUR HEART」
  3. ST.9〜ST.12・・・「SHAKE THE STREET」
  4. ST.13〜ST.16・・・「WHO ARE YOU」

初代アウトランのフュージョン調とは打って変わり、ハードロック色の強い曲調となっている。また、各チェックポイントでは画面左上に「S.S.T.BAND」を思わせるバンドの面々が登場して、セガのシューティングゲーム『ファンタジーゾーン』のSHOP面のアレンジ曲を演奏するというデモも用意されていた。

北米版コモドール64ではJeroen Tel作曲を担当している。


評価 編集

評価
レビュー結果
媒体結果
Computer and Video Games93% (C64)[6]
Crash79% (ZX)[5]
ファミ通20/40点 (MD)[7]
Sinclair User78% (ZX)[8]
Your Sinclair70% (ZX)[9]
Commodore User8/10点 (AC)[10]
65% (Amiga)[11]
89% (C64)[12]
Zzap!6480% (Amiga)[11]
93% (C64)[12]
97% (C64)[13]
ACE601/1000点 (Amiga/ST)[14]
926/1000点 (C64)[12]
Zero84% (Amiga)[11]
79% (ST)[15]
Aktueller Software Markt8.6/12点 (Amiga)[11]
8.6/12点 (ST)[15]
9.4/12点 (C64)[12]
6.4/12点 (DOS)[16]
5/12点 (MD)[17]
Amiga Format70% (Amiga)[11]
The Games Machine85% (ST)[15]
93% (C64)[12]
ST Format70% (ST)[15]
MegaTech41% (MD)[18]
Mega53% (MD)[19]
メガドライブFAN16.24/30点 (MD)[2]
メガドライブ大全否定的 (MD)[20]
受賞
媒体受賞
第3回ゲーメスト大賞ベストVGM賞 5位[1]
年間ヒットゲーム 13位[1]
Zzap!64Gold Medal
アーケード版

ゲーム誌『ゲーメスト』(新声社)誌上で行われていた「第3回ゲーメスト大賞」(1989年度)においてベストVGM賞5位を獲得、年間ヒットゲームで13位を獲得した[1]

メガドライブ版
  • ゲーム誌『ファミコン通信』のクロスレビューでは、合計20点(満40点)となっている[7]
  • ゲーム誌『メガドライブFAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通り16.24点(満30点)となっている[2]。また、同雑誌1993年7月号特別付録の「メガドライブ&ゲームギア オールカタログ'93」では、前作との違いがターボが使用可能になった事とコースの分岐がなくなった事であると指摘した上で、「真っ白い走り屋のライバル車が出現し、レース要素を高めている」と肯定的に評価した[2]
項目 キャラクタ 音楽 操作性 熱中度 お買得度 オリジナリティ 総合
得点 2.91 2.84 2.73 2.63 2.52 2.61 16.24
  • ゲーム本『メガドライブ大全』(2004年太田出版)では、アメリカ大陸を横断するという壮大なコンセプトには好意的であるが、「風景や走りはガクガクに」とグラフィック面に関して否定的に評価、また元のアーケード版からルート選択がなくなっていた事に関して大味であると指摘し、メガドライブ版はその要素もそのまま移植されている事に関して否定的に評価した[20]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ セガAM2研で長年プログラマーとして活躍していた人物。1998年に名越稔洋らと共にAM11研へスピンオフ。セガの社内再編によるスマイルビットへの転籍を経て、2009年セガから独立し、セガでレンタヒーローNo.1を手掛けた岡安啓司らが設立したスタジオフェイクに移籍するが後に退職。2018年現在はスマートフォン向けのゲームコンテンツ開発に携っている。
    https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20180418132/
  2. ^ 川口の一番弟子であり、川口が『師匠』と呼ばれる由来となった人物。

出典 編集

  1. ^ a b c d 「ゲーメスト大賞11年史」『GAMEST MOOK Vol.112 ザ・ベストゲーム2 アーケードビデオゲーム26年の歴史』第5巻第4号、新声社、1998年1月17日、20 - 21頁、ISBN 9784881994290 
  2. ^ a b c d 「7月号特別付録 メガドライブ&ゲームギア オールカタログ'93」『メガドライブFAN』第5巻第7号、徳間書店、1993年7月15日、75頁。 
  3. ^ Nintendo DREAM 2017年2月号P63「ついにFINAL!そのこだわりっぷりをたっぷり聞こう!語ろう!」より。
  4. ^ 株式会社セガ (2022年12月7日). “「セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE」「3D アフターバーナーⅡ」販売終了のお知らせ |セガ”. セガ. 2022年12月15日閲覧。
  5. ^ Archive – Magazine viewer”. World of Spectrum. 2012年8月6日閲覧。
  6. ^ https://archive.org/stream/cvg-magazine-097/CVG_097_Dec_1989#page/n55/mode/2up
  7. ^ a b ターボアウトラン まとめ [メガドライブ]”. ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2016年2月27日閲覧。
  8. ^ Archive – Magazine viewer”. World of Spectrum. 2012年8月6日閲覧。
  9. ^ Turbo OutRun”. Ysrnry.co.uk. 2012年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年8月6日閲覧。
  10. ^ https://archive.org/stream/commodore-user-magazine-68/Commodore_User_Issue_68_1989_May#page/n95/mode/2up
  11. ^ a b c d e Turbo Out Run for Amiga (1989)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年9月15日閲覧。
  12. ^ a b c d e Turbo Out Run for Commodore 64 (1989)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年9月15日閲覧。
  13. ^ Zzap!64 100th Issue Pull-Out Special Page 5”. Zzap64.co.uk. 2012年8月6日閲覧。
  14. ^ Archive – Magazine viewer”. World of Spectrum. 2012年8月6日閲覧。
  15. ^ a b c d Turbo Out Run for Atari ST (1989)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年9月15日閲覧。
  16. ^ Turbo Out Run for DOS (1990)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年9月15日閲覧。
  17. ^ Turbo Out Run for Genesis (1992)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年9月15日閲覧。
  18. ^ MegaTech rating, EMAP, issue 5, page 79, May 1992
  19. ^ Mega rating, issue 9, page 23, Future Publishing, June 1993
  20. ^ a b 「Chapter 05 1992年」『メガドライブ大全(企画・編集:CONTINUE)』太田出版、2004年9月29日、117頁。ISBN 9784872338805 

外部リンク 編集