ダイヤのジャックとは、1909年にロシアのモスクワで結成された急進的な美術家集団の名前で、ロシア語では «Бубновый валет» という。グループ名は1910年展覧会に向けて、事実上の指導者であったミハイル・ラリオーノフによって考案された。

レントゥーロフ「ギター持てる女」1913年

歴史 編集

1910年12月から1911年1月にかけて開催された展覧会では、フランス人のアンドレ・ローテらが出品し、アレクサンドル・メルセールが監修した[1][2]。「ダイヤのジャック」の同人は、真に模範とするに足るのはポール・セザンヌただ独りで、その他の画家はブルジョワ趣味であり、余りにもくだらないと訴えていた。主要な同人には、ロベルト・ファリクアリスタールフ・レントゥーロフイリヤ・マシュコフアレクサンドル・クプリンピョートル・コンチャロフスキーが挙げられる。ただし、「第1回ダイヤのジャック展」の参加者で、ラリオーノフのほかに有名なのはナタリア・ゴンチャロワ[3]カジミール・マレーヴィチであり、その後の参加者で重要なのはレオポルド・シュルヴァージュである。

最終的に、グループの規範意識をめぐるメンバー同士の確執から、より急進的な「ロバの尻尾」が結成された。

脚注 編集

  1. ^ Camilla Gray, L'Avant-garde russe dans l'art moderne, 1863-1922, Édition Thames et Hudson 2003 p. 122, ISBN 2-87811-218-0
  2. ^ Louis Vauxcelles, Gil Blas, March 18, 1910. Quoted in John Golding, Cubism, London, 1959, p. 22. See Toison d'Or, Moscow, 1908, nos. 7-10, p. 15
  3. ^ 1881-1962。ロシア・アヴァンギャルドの画家、美術家

関連項目 編集