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ディグ・ア・ポニー」(Dig a Pony)は、ビートルズの楽曲である。1970年に発売された12作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『レット・イット・ビー』に収録された。レノン=マッカートニー名義となっているが、ジョン・レノンによって書かれた楽曲。1969年1月30日にロンドンのサヴィル・ロウにあるアップル・コア屋上で行なわれたコンサートで演奏された楽曲で、アルバムにはこの時の演奏が収録された。

ディグ・ア・ポニー
ビートルズ楽曲
収録アルバムレット・イット・ビー
英語名Dig a Pony
リリース1970年5月8日
録音1969年1月30日
ジャンル
時間3分52秒
レーベルアップル・レコード
作詞者レノン=マッカートニー
作曲者レノン=マッカートニー
プロデュースフィル・スペクター
レット・イット・ビー 収録曲
トゥ・オブ・アス
(A-1)
ディグ・ア・ポニー
(A-2)
アクロス・ザ・ユニバース
(A-3)

曲の構成 編集

「ディグ・ア・ポニー」は、曲のほとんどがAメジャーで書かれており、イントロは4分の3拍子で演奏される[3]。最初のリハーサルでは「All I Want Is You」というタイトルだったが、レノンは「Dig A Pony」と揶揄してタイトルを変更した[4]。作家のデイビッド・ローリーは、このタイトルの変更について「ボブ・ディランの『アイ・ウォント・ユー』に似ていることが気になったのかもしれない」と推測している[4]。本作は、シンプルな願望と複雑かつ無意味に近いヴァースとを対比させる手法が用いられており、オノ・ヨーコへのメッセージが歌われている[4]。1980年の『プレイボーイ』誌のインタビューで、レノンは本作について「ゴミの1つ」と説明している[5]

歌詞の中には「I roll a stoney / Well, you can imitate everyone you know(ぼくは石を転がす / さあ、知ってる人をみんな真似しよう)」というフレーズがあるが、これはローリング・ストーンズへの揶揄となっている[6]

アメリカでの発売時、タイトルが「I Dig a Pony」と表記されていた[7]

レコーディング 編集

「ディグ・ア・ポニー」は、ルーフトップ・コンサートで演奏された1曲で、アシスタントがレノンの歌詞を掲げて合図していた[8]。本作は、リンゴ・スターが片手に煙草、片手にドラムスティックを持ち、演奏の準備ができていなかったため、他のバンドメンバーに「Hold it!(ちょっと待って!)」と叫ぶところから始まる[9]。音源では、スターが叫んだ後に何者かが鼻をかむ音が聞こえるが、マーク・ルイソン英語版はレノンによるものとしている[10]

1969年1月22日に録音され、1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に収録された本作の初期のスタジオ・テイク[11]は、マッカートニーが「All I want is...」と歌った後に、最初のヴァースに入る。このフレーズは、フィル・スペクターによって最終バージョンからカットされている[12]

2003年に発売された『レット・イット・ビー...ネイキッド』に収録されたバージョンでは、ボーカルが前面に出されたミックスになっているほか、最後のマッカートニーの声がカットされている[13]

クレジット 編集

※出典[14]

カバー・バージョン 編集

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ Unterberger, Richie. Let It Be - The Beatles | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2021年7月13日閲覧。
  2. ^ Pollack, Alan W.. “Notes on "Dig A Pony"”. icce.rug.nl. 2021年7月13日閲覧。
  3. ^ The Beatles – 'Dig a Pony'”. Sony/ATV Music Publishing. 2021年7月13日閲覧。
  4. ^ a b c Rowley 2013, p. 34.
  5. ^ Sheff 2010, p. 205.
  6. ^ Womack 2009, p. 138.
  7. ^ Dowlding 2009, p. 438.
  8. ^ 92 - 'Dig a Pony'”. 100 Greatest Beatles Songs. Rolling Stone. 2021年7月13日閲覧。
  9. ^ Womack 2016, p. 118.
  10. ^ Lewisohn 1992, p. 312.
  11. ^ Winn 2009, pp. 250–251.
  12. ^ Hurwitz, Matt (2004年1月1日). “The Naked Truth About the Beatles' Let It Be Naked”. Mix Online. 2010年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月20日閲覧。
  13. ^ 葉山真・水谷宗一朗 (2003). レット・イット・ビー...ネイキッド (ブックレット). ビートルズ. アップル・レコード. p. 21.
  14. ^ Russell 2006, p. 157.
  15. ^ Raggett, Ned. Let It Be - Laibach | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2021年7月13日閲覧。
  16. ^ Dupont, David. Live in NYC - Screaming Headless Torsos | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2021年7月13日閲覧。
  17. ^ Dupont, David. Bigmouth - Chris Lightcap | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2021年7月13日閲覧。

参考文献 編集

  • Dowlding, William J. (2009). Beatlesongs. Touchstone. ISBN 1-4391-4719-1 
  • Lewisohn, Mark (1992). The Complete Beatles Chronicle. New York: Harmony Books. ISBN 0-5175-8100-0 
  • Rowley, David (2013). All Together Now: The Abc of the Beatles Songs and Albums. Troubador Publishing. ISBN 1-7808-8440-0 
  • Russell, Jeff P. (2006). The Beatles Complete Discography. Universe. ISBN 0-7893-1373-1 
  • Sheff, David (2010) [2000]. All We Are Saying: The Last Major Interview with John Lennon and Yoko Ono. St. Martin's Press. ISBN 1-4299-5808-1 
  • Winn, John C. (2009). That Magic Feeling: The Beatles' Recorded Legacy, Volume Two, 1966-1970. New York: Three Rivers Press. ISBN 978-0-307-45239-9 
  • Womack, Kenneth (2009). The Cambridge Companion to the Beatles. Cambridge University Press. ISBN 1-1398-2806-1 
  • Womack, Kenneth (2014). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. ABC-CLIO. ISBN 1-4408-4427-5 

外部リンク 編集