ディプロカウルスDiplocaulus)は古生代石炭紀後期からペルム紀北米に生息していた空椎亜綱ネクトリド目に属する両生類絶滅種学名の意味は「2つの突起」。特徴的な椎骨の形からつけられた。

ディプロカウルス属 Diplocaulus
生息年代: 306–255 Ma
後期石炭紀 - 後期ペルム紀
Diplocaulus magnicornis
D. magnicornis
地質時代
古生代石炭紀後期 ~ ペルム紀後期
306–255 Ma
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 両生綱 Amphibia
亜綱 : 空椎亜綱 Lepospondyli
: ネクトリド目 Nectridea
: ケラテルペトン科 Keraterpetontidae
: ディプロカウルス属 Diplocaulus
Cope, 1877
  • D. salamandroides (模式種)
  • D. magnicornis

特徴 編集

  • 頭骨の両脇と頭蓋頂の諸骨が左右に大きく伸張し、幅広のブーメランを思わせる形態を示していることで知られる。伝統的な復元図ではブーメラン状の頭をしたサンショウウオのように描かれるが、生痕化石からはこの突起は皮膜によって胴体に付着していたことが分かっている。幼体にはこのような特徴はなく、成長に伴って頭骨が横に広がっていった。これが何の役に立っていたのかはよく分かっていないが、「防御用のスパイク」「性的ディスプレイ」「水の流れを捉えて急速で浮上したり水底に張り付くための水中翼」などの説がある。頭部モデルを使った研究では、流体力学的に揚力を得るのに適した形状をしているという。
  • 顎の骨にはこのような伸張が見られず普通のサイズとなっている。突起のために顎筋の付着するスペースは小さく、咬む力はかなり弱かったと思われる。
  • 尾椎骨神経弓血管弓が拡張して、双頭のの頭のような対称形を成しており、刃にあたる部分には「パイ皮飾り」と呼ばれる装飾がついている。これによって尾部は平たく、左右によく動くようになり、水中で大きな推進力を発揮できるようになった。
  • 頭だけではなく胴体も扁平で、遊泳に適した長い尾と小さな手足を持ち、完全な水生動物だったと推定されている。眼は上方を向いており、おそらく底生の生物だったと考えられる。
  • 小さな円錐状のを多数持つ。
  • 全長60-90cm。頭骨の幅は最大30cmを超える。

ギャラリー 編集

脚注 編集

  1. ^ Cf.

参考文献 編集

  • 松井正文 『両生類の進化』 東京大学出版会、1996年、ISBN 4-13-060163-6
  • エドウィン・H.コルバート、マイケル・モラレス 『脊椎動物の進化』 田隅本生訳、築地書館、1994年、ISBN 4-8067-1113-6
  • ジェニファ・クラック 『手足を持った魚たち―脊椎動物の上陸戦略 シリーズ「生命の歴史」〈3〉』 池田比佐子訳、松井孝典監修、講談社〈講談社現代新書〉、2000年、241頁、ISBN 4-06-149345-0

関連項目 編集

外部リンク 編集