デイジュール (Dayjur) はアメリカ合衆国生産、イギリス調教の競走馬。

デイジュール
ハムダーン・ビン・ラーシド・アール・マクトゥームの勝負服
欧字表記 Dayjur
品種 サラブレッド
性別
毛色 黒鹿毛
生誕 1987年2月6日
死没 2013年9月25日
Danzig
Gold Beauty
生国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
生産者 Georgia E.Hofmann
馬主 ハムダーン・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム
調教師 Major William R.Hern
競走成績
生涯成績 11戦7勝
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おもな勝ち鞍はスプリントカップナンソープステークスアベイ・ド・ロンシャン賞など。世界的なスプリンターとして活躍し、 1990年インターナショナル・クラシフィケーションで与えられた133ポンドの評価は、芝スプリント区分で現在に至るまで史上最高評価となっている。

同年のヨーロッパ年度代表馬タイムフォーム誌)、イギリス年度代表馬。またブリティッシュ・チャンピオンズシリーズ名誉の殿堂にも入っている。

母は1982年エクリプス賞最優秀スプリンターのゴールドビューティー、半姉アラバマステークスモンマスオークスの優勝馬で、繁殖牝馬として日本へ輸出されたメイプルジンスキー、その娘にアメリカニューヨーク牝馬三冠スカイビューティがいる。

戦績 編集

父はスピード豊かな種牡馬として知られるダンジグ、母は前述の通りゴールドビューティー、その父はこれも非凡なスピードを産駒に伝える大種牡馬ミスタープロスペクターと、生粋の短距離の血で固められた血統の持ち主であった。

デビューはイギリスのニューベリー競馬場で迎え、初戦こそ快勝したものの以後は少々の苦戦を強いられた。続くリステッド競走を2着に敗れた後、3歳緒戦の競走では7ハロン(約1400メートル)の距離を使われて7着と大敗。しかしこの大敗がかえって距離適性を鮮明にする結果となり、以後は一貫して 1200メートル以下の競走に出走を続けた。続く一般戦の二走を1、2着とした後、重賞初挑戦となった距離5ハロン(約1000メートル)のG2テンプルステークス英語版を快勝すると、以後はその素質が完全に開花し、続くG2キングズスタンドステークスも2馬身半差で快勝。G1初挑戦となったナンソープステークスでは2着に4馬身差を付け、従来のタイムを1秒縮めるレコードで圧勝。次走イギリスのチャンピオンスプリンター決定戦スプリントカップでは、デイジュールが軽い故障によって回避したジュライカップを制してやって来たロイヤルアカデミーに完勝、 フランスに渡って出走したアベイ・ド・ロンシャン賞も62kgの斤量を背負って勝利し、ヨーロッパのスプリント路線を完全に制圧した。

シャドウジャンプ 編集

その後デイジュールはこの年限りでの引退、生国アメリカでの種牡馬入りが決まり、現役最後のレースに同国のブリーダーズカップ・スプリントが選ばれた。ダートでの競馬は初めてであるにもかかわらず圧倒的な1番人気に推され、レースではその支持に応えるようにダートを全く問題にせず、逃げ粘りを図る牝馬セイフリーケプト英語版を早々に捉えにかかった。しかし直線中ほどでコース上に伸びたスタンドの影に驚き、それを飛び越えるようにジャンプ。バランスを崩した鞍上のウィリー・カーソンは慌てて体勢を立て直し追走するも再びスタンドの影に驚いて再びジャンプ。わずかに失速した所でゴールとなり、クビ差で優勝を逃した。この出来事はブリーダーズカップ史上の珍事として語り草になると共に、デイジュールが語られる際に必ずついて回る逸話となった。

引退を勝利で飾ることはできなかったが、しかし年間を通して見せたスプリント戦線における高いパフォーマンスが評価され、デイジュールはこの年のヨーロッパ年度代表馬に選出され、さらに国際クラシフィケーションで全区分を通して最高評価となる133ポンドを与えられた。

競走成績 編集

年月日 レース名 人気 着順 距離 タイム 着差 騎手 斤量 勝ち馬/(2着馬)
1989 6. 15 ニューベリー メイドンS 1 1着 芝6F(良) 1:15.5 2身 W.カーソン 57.2 (Almaghrib)
7. 15 ニューベリー ローズボウルS L 1 2着 芝6F(良) 1/2 W.カーソン 55.8 Rushmore I
1990 4. 18 ニューマーケット ヨーロピアンフリーH L 1 7着 芝7F(良) 6身 W.カーソン 57.2 Anshan
5. 1 ノッティンガム ヘディングリーS 1 1着 芝6F(良) 1:10.6 2身 W.カーソン 57.2 (Flower GIrl)
5. 18 ニューベリー ヒューウィリアムスS 1 2着 芝6F(良) アタマ W.カーソン 55.8 Tod
5. 28 サンダウン テンプルS G2 4 1着 芝5F(良) 1:01.89 2身 W.カーソン 54.4 (Tigani)
6. 22 アスコット キングズスタンドS G2 3 1着 芝5F(稍) 1:01.96 2身1/2 W.カーソン 55.3 (Ron's Victory)
8. 23 ヨーク ナンソープS G1 1 1着 芝5F(良) R 56.16 4身 W.カーソン 58.5 (Statoblest)
9. 8 ヘイドック スプリントC G1 1 1着 芝6F(良) 1:12.5 1身1/2 W.カーソン 59.9 (Royal Academy)
10. 7 ロンシャン アベイドロンシャン賞 G1 1 1着 芝1000m(良) 2身 W.カーソン 62 (Lugana Beach)
10. 27 ベルモントパーク BCスプリント G1 1 2着 6F(良) クビ W.カーソン 55.8 Safely Kept

S=ステークス、H=ハンデキャップ

引退後 編集

引退したデイジュールはケンタッキー州シャドウェルファームで種牡馬生活に入ったが、ミドルパークステークスの優勝馬ハイールと数頭の重賞優勝馬を出している程度で、期待ほどの活躍は挙げられていない。日本にも産駒が輸入されており、重賞2勝のシンコウスプレンダがよく知られている。また Jump The Shadowと名付けられた馬もおり、同馬は9勝を挙げている。2013年9月25日に老衰のため安楽死の措置が執られた。

主な産駒 編集

母の父としての代表産駒 編集

血統 編集

デイジュール血統ダンジグ系ノーザンダンサー系) / Native Dancer4×4=12.50%、Nasrullah5×5=6.25% (血統表の出典)

Danzig
1977 鹿毛
父の父
Northern Dancer
1961 鹿毛
Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
父の母
Pas de Nom
1968 黒鹿毛
Admiral's Voyage Crafty Admiral
Olympia Lou
Petitioner Petition
Steady Aim

Gold Beauty
1979 鹿毛
Mr. Prospector
1970 鹿毛
Raise a Native Native Dancer
Raise You
Gold Digger Nashua
Sequence
母の母
Stick to Beauty
1974 鹿毛
Illustrious Round Table
Poster Girl
Hail to Beauty Hail to Reason
Lipstick F-No.1-g

主な近親 編集

  • Gold Beauty(母-フォールハイウェイトH・米G2、テストS・米G2、トゥルーノースH・米G3)
  • メイプルジンスキー(半姉-アラバマS・米G1、モンマスオークス・米G1)
  • The Prime Minister(叔父-グッドウッドH・米G2)
  • Sky Beauty(姪-エイコーンSCCAオークス、アラバマSなどG1競走9勝)
  • Iron Mask (従弟-シンガポール航空クリスフライヤースプリント・G1、アレンバーグ賞・仏G3)
  • Pleasant Home(又姪-ブリーダーズカップ・ディスタフ・米G1、ベッドローゼスブリーダーズカップH・米G3)
  • Country Hideaway(又姪-ファーストフライトH・米G2 2回、ベッドローゼスブリーダーズカップH・米G3、ヴァグランシーH・米G3)
  • Tale Of Ekati(又甥-ウッドメモリアルS・米G1、フューチュリティS・米G2)
  • Hurricane Cat(又甥-ホリスヒルS・英G3)

外部リンク 編集