デジロML(Desiro ML)とは、シーメンスが開発した非連接電車列車のコンセプトモデルである。

デジロML
オーストリア連邦鉄道4746形電車
基本情報
運用者 ライン川西岸鉄道
オーストリア連邦鉄道
ジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道
製造所 シーメンス・モビリティ
製造年 2007~
投入先 「運行事業体」参考
主要諸元
編成 三両編成
軸配置 Bo'Bo'+2'2'+Bo'Bo'
軌間 1435 mm
電気方式 15 kV / 16,7 Hz ~
25 kV / 50 Hz ~
最高速度 160 km/h
起動加速度 1.1 m/s2
編成重量 132トン(D460形)
145トン(A4744形、A4746形)
編成長 70930 mm(D460形)
75152 mm(A4744形、A4746形)
床面高さ 800 mm(D460形)
600 mm(A4744形、A4746形)
編成出力 2600 kW
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デジロMLの習熟運転、ボン中央駅にて

MLとは幹線(英語:mainline)に由来する。現在、3両×17編成がドイツで運行されており、さらに2009年秋以降、ベルギー国鉄のAM08系電車として3両×305編成が製造中にある。

車両 編集

デジロMLはそのモジュール設計により、地域ごとの需要に適合させることができる。編成は2〜4両が可能で、120席から384席の座席を配置することができ、また、床高さは高さ600/800/1000mmのプラットフォームにあわせることができる。各車両には1.3m幅の低床が複数あり、扉間の客席も低床である。通勤用としても地域用としても用いることができる。バリアフリー対応のスロープや車両間の通路を含む客室の配置や、その数についての設計は変更でき、列車の長さも49mから282m(重連の場合)までのバリエーションがある。台車は2次ばねが空気ばねで、最小半径80mまでの曲線通過性能を持つ。オプションの一等席は8席で、うち2席にはノートパソコン用のコンセントが設置されている。また、おむつ換え台とハンドドライヤーつきの障害者対応の便所を追加可能である。保安用の客室監視カメラも設置可能で、客室は空調つきである。扉は視覚表示と音響による警報とともに、乗客が最後に触れてから10秒で閉じる。車体は、将来EUから要求されるであろう衝突安全性基準を満たしている。

気動車バージョンもあり、また、いくつかの軌間にも対応している。

メーカー 編集

製造所は、シーメンスの一部門であるシーメンス・モビリティの、クレーフェルト工場である。試運転はシーメンスが所有するドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州ヴィルデンラート試験線で行われた。ベルギー向けのものはクレーフェルト工場のほか一部がボンバルディアの工場で作られる。ロシア向けの38編成もクレーフェルトで製作されるが、追加注文の16編成は一部がロシアで現地生産される予定である。

運行事業体 編集

ベルギー 編集

3両×305編成が2011年から〜2016年にかけて搬入され、ブリュッセルの地域急行鉄道網で使用される。

ドイツ 編集

3両×17編成がアルファ・トレインズが運営するドイツライン川西岸鉄道で運行されている。

オーストリア 編集

2010年4月にウィーンSバーンなどの増強及び4020系電車の置き換え用に200編成供給の基本的合意がなされた。電車は3両編成で二等席が217席ある。

ロシア 編集

ロシア鉄道は、2014年ソチオリンピックにむけ54編成の広軌用車両を2009年11月に発注した。オリンピック会場へのアクセス鉄道の40‰の勾配にも対応している。オリンピックの会期終了後はソチ以外での使用も考慮されており、-40℃までの耐寒性能を持つ。2M3Tの5両編成で、軌間は1520mm、編成全長は126.64m、1編成あたりの自重は260t、軸重は19t以内、最高速度は160km/h、1時間定格出力: 2,550 kW、電気方式は直流3kVと交流25kVに対応、1編成あたりの座席定員は466人、立席定員は379人、低床部分は無く、床高さはレール面上から1,400 mmの予定である[1]。愛称は「ツバメ」を意味するラーストチカと決まった。

外部リンク 編集

  • Desiro ML ÖBB cityjet”. siemens.com. Siemens AG. 2019年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月7日閲覧。: ÖBB4744形及び4746形の基本仕様。

脚注 編集