トヨタ・SAI

SAI (サイ)は、トヨタ自動車日本国内で製造・販売するセダンハイブリッド専用車(スプリット方式)である。

概要

トヨタ・SAI
AZK10型
G "AS Package"
Toyota Sai 001.JPG
G "AS Package" リア
Toyota Sai 002.JPG
室内
2009 Toyota SAI 03.jpg
販売期間 2009年12月 -
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドアセダン
エンジン 2AZ-FXE型 2.4L 直4 DOHC
モーター 2JM型 交流同期電動機
最高出力 エンジン
110kW (150PS) /6,000rpm
モーター
105kW (143PS)
最大トルク エンジン
187N·m (19.1kgf·m) /4,400rpm
モーター
270N·m (27.5kgf·m)
変速機 電気式無段変速機
駆動方式 FF
サスペンション 前: ストラット
後: ダブルウィッシュボーン
全長 4,605mm
全幅 1,770mm
全高 1,495mm
ホイールベース 2,700mm
車両重量 1,570-1,590kg
生産工場 トヨタ自動車九州 宮田工場
燃費 19.8km/L
JC08モード
プラットフォーム 新MCプラットフォーム
-自動車のスペック表-

トヨタブランドとしてはプリウスの発売以来12年ぶり、2車種目のハイブリッド専用モデルとして2009年に発売された。先に発売されていたレクサスブランドのハイブリッドカー、HS250h(以下、「HS」と表記)とは姉妹車の関係にある。なお、当モデルは日本国内専売である。

開発担当のチーフエンジニアはかつて同社の小型4ドアサルーン、プログレの製品企画部門の主担当員を務めた経歴を持ち[1]、1990年代にデビューしたプログレの理念を2000年代のデザイン感覚や技術で復活させた車といえるものである。プログレの理念に通ずる「小さな高級セダン」を作ることから構想が始まったため、当初はハイブリッド専用車とは決まっていなかった[1]。トヨタのハイブリッド車のラインナップにおいて、クラウンハイブリッドとプリウスの間を埋める中間車種としての役割も担っていて、月間販売目標は3,000台と発表されている。

正式発表の前にニューモデルマガジンX誌などにおいて「HSのトヨタ版」という触れ込みで紹介がなされたため、HSのデザインのみをトヨタ用にリファインした別ブランド向け廉価版と思われがちであるが、企画構想はSAIの方が早く[1]、開発はHSとほぼ同時並行[1]で、ボディやインパネなどのデザインも一から行われ、シャシーもSAI独自の設計で開発されている[1]。ただしプラットフォームやその他メカニズム、フロントドアなどボディの一部はHSと共通であり、「姉妹車(兄弟車)」と呼べるものである。HSの方が発売が早くなったのは、SAIが当初は1チャンネルのみの販売予定だったのが、途中でトヨタの全チャンネル販売へと変更されたことが原因で遅れたためで[2]、実際には「HSの廉価版がSAI」というよりも、「SAIをベースにした高価格版がHS」というのが実像に近いのではないかと言われる[1]

登場後はクラウンよりも維持費が安く、室内空間にも余裕があり、同時にイメージアップにもなるため首都圏を中心に、法人・個人を問わずタクシーとしての需要が徐々に増えている。

メカニズム

プラットフォームにはプリウスやHSと共通の新MCプラットフォームを採用しており[3]、パワートレインなどをHSと共有している。

基本となるハイブリッドシステムはプリウスと同型のリダクション機構付THS IIであるが、エンジンはプリウスの直列4気筒1.8L・2ZR-FXE型エンジンに対して、HSやエスティマハイブリッド、そして日本国外専売のカムリ・ハイブリッドなどにも採用された、直列4気筒2.4L・2AZ-FXE型エンジンを搭載する。このため、プリウスよりもハイパワーでありながら軽自動車や1,000ccクラスのコンパクトカーに匹敵する低燃費(10・15モード燃費で23.0km/L)を実現した。また平成27年度燃費基準をクリアし、同時に平成17年度基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)認定も取得した。なおプリウスやHSに装備されている「POWERモード」のスイッチは省かれている。

デザイン

エクステリア
SAI S

エクステリアはハイブリッド専用車であるが、2代目以降のプリウスのような5ドアハッチバックのトライアングルシルエットではなく、初代プリウス以来のコンサバティブな3ボックス型4ドアセダンのスタイルを採用した。

基本的なボディシェルは同じで、かつ全体的なフォルムはHSと酷似しているが、サイズはHS比で全長-95mm、全幅-15mmとそれぞれ短縮。また全高は10mm低められた。空力性能はCd値0.27とHSと同一の数値である。またHSと同様、さらなる空力性能の向上に寄与するフロントバンパースポイラーやリアスポイラーも装着する(AS Packageのみ)。また、プリウスに続いてLEDヘッドランプ(G系に採用、S系はディスチャージヘッドランプとなる)を搭載した。外観デザインでは近年のトヨタのデザイン哲学である「ヴァイブランド・クラリティ(活き活き・明快)」を踏襲し、3代目プリウスと同様の完成されたモノフォルムである「トライアングルシルエット」に対し、あえてトランク部を組み合わせることで、「パーフェクト・インバランス(崩しある完成)」や「インテグレーテッド・コンポーネント・アーキテクチャー(主張ある調和)」を追求したという[1]

インテリア

インテリアはエクステリアと同様、インパネ部もHSのイメージに似たものとなっているが、細部を見ると、ほとんどの部品がHSとは異なったデザインのものが使用される。内装デザインは「薄いものを重ねる、薄いものを湾曲させる」などをキーワードとし、「分厚い(重厚な)ものこそ尊く高級である」という旧来の価値観を打破することを意識している[1]。インパネ操作を行うための前方配置エレクトロマルチビジョン&リモートタッチをトヨタブランド車として初搭載した。これはレクサス・RXに初めて採用され、通常はモニターの液晶画面に直接タッチすることでカーナビゲーションやオーディオシステム等を操作するところを、「操作ノブ」と呼ばれる固定式のマウスを指先で操作して、モニター上のアイコンを動かしメニューにタッチするというシステムである。ただし、トヨタブランドであるSAIに採用された「リモートタッチ」はレクサス車のそれと基本を同じくするものの、SAIの操作ノブはツマミ状のものに変更されている。

また、SAIでは室内の表面積の約60%の部材で植物由来プラスチックを使用している。現在、植物由来プラスチックの原材料がアメリカの化学会社1社のみの独占供給状態であり、使用量を増やして複数社の競合によるコストダウンを図るため、この車がその旗振り役に選ばれたという[1]

年表

車名の由来

「環境性能や安全性を持つ才能→“才”に満ちた先進性と、上質感をお洒落・シックに演出する彩り→“彩”を放つ上質感」という開発コンセプトのキーワードとなった漢字の「才」と「彩」を掛け合わせて「SAI」と名づけられた。元々は開発コードネームだったが、それがそのまま市販車両名に活かされる形となった。

販売店

プリウスと同様にレクサス専売店を除くトヨタの全販売店(トヨタ店トヨペット店カローラ店ネッツ店)で取り扱う。なお、ネッツ店についてはアベンシスが輸入中止になって以来およそ1年ぶりにセダンを取り扱うことになる[4]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i 三栄書房 『モーターファン別冊 ニューモデル速報 No.435「トヨタ SAI」のすべて』 2010年
  2. ^ 八重洲出版 『driver』 2010年2-5号
  3. ^ 【トヨタ SAI 発表】高品質、秘密は生産ラインにあり Response.
  4. ^ プリウスをセダンと考えればそれより早く取り扱いを再開していることになるが、同車は5ドア車であるため純粋な3BOXセダンはSAIの登場までネッツ店にはなかった。

関連項目

外部リンク