トロパン(tropane)とは、環状アミンの1種で、6員環のピペリジンN-メチル基と炭素原子2個からなる架橋が付いた構造を持つ。不斉炭素原子を2個(橋頭の1位と5位)含むが、分子内に対称面をもつため光学異性体はない。

トロパン[1]
識別情報
CAS登録番号 529-17-9
PubChem 637986
特性
化学式 C8H15N
モル質量 125.211 g/mol
密度 0.9259 at 15 °C
沸点

163-169 °C

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

トロパン骨格を含むアルカロイドが多数知られ、トロパンアルカロイドと呼ばれる。これはオルニチンを原料として生合成される。ナス科アトロピンスコポラミンヒヨスチアミンなど多数)やコカノキ科コカインなど)の植物に含まれる。このほか合成向精神薬にもトロパン骨格を持つものがある。架橋位置の異なる異性体にはイソトロパン(isotropane)がある。N-メチル基のない誘導体はノルトロパン(nortropane)である。

脚注 編集

  1. ^ Merck Index, 11th Edition, 9689.

関連項目 編集