ドロメ(泥目、Chaenogobius gulosus)は、スズキ目ハゼ科に分類されるハゼの一種。東アジアの岩礁海岸でよく見られるハゼである。

ドロメ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ハゼ亜目 Gobioidei
: ハゼ科 Gobiidae
亜科 : ゴビオネルス亜科 Gobionellinae
: アゴハゼ属 Chaenogobius
Gill,1859
: ドロメ C. gulosus
学名
Chaenogobius gulosus
(Guichenot,1882)
英名
Forktongue goby

成魚は全長15cmに達する。上から押しつぶされたように平たい頭と大きな口をもつ。ただ、肉食に特化していないため、捕食性魚類によくみられる下顎が突き出たいわゆる“受け口”を呈していない。体色は緑褐色の地に白い斑点が散在する。アゴハゼに似るが、より大型になること、胸鰭と尾鰭に小黒点がないこと、尾鰭が白く縁取られることで区別できる。

北海道西部・本州北端から九州・五島列島対馬朝鮮半島渤海黄海まで分布する。岩礁海岸の波打ち際やタイドプールに生息するが、アゴハゼよりも比較的低い位置のタイドプールや海中に多い。南日本ではクモハゼヘビギンポなどと同所的に見られる。食性は雑食性で、藻類や小動物を食べる。

産卵期は春で、産卵後の卵はオスが守る。夏には潮間帯下部で黒っぽい稚魚が群れて泳ぐ様が観察できる。ハゼは底に接して泳ぐものが多いが、ドロメの稚魚は海底からはなれ、胸びれをはばたかせてホバリングするように泳ぐ。

毒はないがマハゼよりはるかにまずいため普通は食用にはしない。

同属種 編集

アゴハゼ属Chaenogobius)は、アゴハゼC. annularis)とドロメC. gulosus)の2種のみで構成される。地方名はダボハゼ、ダボ(全国各地)、エンマダボ(静岡県)、グズ、ゴッパ(島根県出雲地方)などで、特に区別しないことも多い。

参考文献 編集

  • 岡村収・尼岡邦夫監修 山溪カラー名鑑『日本の海水魚』(解説 : 萩原清司)ISBN 4635090272
  • 瀬能宏・矢野維幾・鈴木寿之・渋川浩一『決定版 日本のハゼ』平凡社 ISBN 4582542360