数学において、ド・ブランジュ空間 (ドブランジュくうかん : de Branges space) とは、関数解析学上の概念であり、ド・ブランジュ関数を用いて構築される。

この概念の名前は、この空間に関する多くの定理、特にヒルベルト空間としての性質について証明し、それらを用いてビーベルバッハ予想を証明したルイ・ド・ブランジュにちなむ。

ド・ブランジュ関数 編集

ド・ブランジュ関数 (de Branges function) とは、  から   への整関数 E のうち、複素平面上半平面に属する全ての z について不等式   が満たされるものをいう。

定義1 編集

あるド・ブランジュ関数 E に対して、ド・ブランジュ空間 B(E) は次を満たす整関数全体と定義される。

 

ここで、

  •   は複素平面の上半平面、
  •  
  •   は上開半平面上の通常のハーディ空間である。

定義2 編集

ド・ブランジュ空間は、次の条件を満す整関数 F 全体として定義することもできる。

  •  
  •  

ヒルベルト空間として 編集

あるド・ブランジュ空間 B(E) に対し、次の様にスカラー積を定義する。

 

このような積を持つド・ブランジュ空間はヒルベルト空間であることを証明できる。

参考文献 編集

  • Christian Remling (2003). “Inverse spectral theory for one-dimensional Schrödinger operators: the A function”. Math. Z. 245: 597–617. doi:10.1007/s00209-003-0559-2.