ナ・デネ語族(ナ・デネごぞく、Na-Dené languages)はアメリカインディアンの話す言語アメリカ・インディアン諸語)の語族で、アラスカカナダ西部の広い範囲と、アメリカ合衆国本土太平洋岸北部、および合衆国南西部で用いられている。合衆国南西部のナバホ語の話者が最も多い。

ナ・デネ語族
アサバスカ-イヤック-トリンギット語族
話される地域北米
言語系統デネ・エニセイ語族?
  • ナ・デネ語族
下位言語
Glottologatha1245[1]
ナ・デネ語族の分布

分類 編集

系統 編集

シベリア先住民のエニセイ語族ケット語)や、ヒマラヤ西側のブルシャスキー語などに似た点があり、これらと同系とする説もあったが、言語学的に広く認められたものではなかった。しかし、2008年にエドワード・ヴァイダによりエニセイ語族とナ・デネ語族が同系統であるとの研究が発表された。これは動詞形態論や音韻の比較による厳密な方法論に基づくもので、有力な仮説と見られている。この2つの語族を合わせてデネ・エニセイ語族という呼称が提案されている[3][4]。なお、これとは別に、シナ・チベット語族と近縁とする見方もある[5][6]

また太平洋沿岸のハイダ語もかつてはナ・デネ語族に含められたが、現在は別の孤立した言語とするのが通説となっている。

出典 編集

  1. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Athapaskan–Eyak–Tlingit”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/atha1245 
  2. ^ Marie Smith, the last speaker of the Eyak language, died on January 21st, aged 89 The Economist 2008年2月7日
  3. ^ Vajda, Edward (2008). A Siberian Link with Na-Dene Languages.
  4. ^ Dene-Yeniseic Symposium, Alaska Native Language Center, University of Alaska, Fairbanks.
  5. ^ Shafer, Robert (1952), "Athapaskan and Sino-Tibetan", International Journal of American Linguistics, 18 (1): 12–19, doi:10.1086/464142, JSTOR 1263121.
  6. ^ Caveney, Geoffrey (2014). "SINO-TIBETAN ŋ- AND NA-DENE *kw- / *gw- / *xw-: 1 st PERSON PRONOUNS AND LEXICAL COGNATE SETS / 漢藏語的 ŋ- 及納得內語的 *kw- / *gw- / *xw-: 第一人稱代詞及詞匯同源組". Journal of Chinese Linguistics. 42 (2): 461–487. ISSN 0091-3723. JSTOR 24774894.

関連項目 編集