ニシキエビ

イセエビ科のエビ

ニシキエビ(錦海老、学名Panulirus ornatus)は、イセエビ科に分類されるエビの1種。イセエビ属の最大種で、食用や観賞用として重要な種類である。

ニシキエビ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 軟甲綱 Malacostraca
: 十脚目 Decapoda
: イセエビ科 Palinuridae
: イセエビ属 Panulirus
: ニシキエビ P. ornatus
学名
Panulirus ornatus (Fabricius1798)
英名
Ornate spiny lobster, Painted spiny lobster

成体の体長は50cmほどだが、体長60cm・体重5kgに達する個体も稀に漁獲される。体つきは同属のイセエビに似るが、頭胸甲に棘が少なく、腹節に横溝がない。

頭胸甲の地色は暗緑色で、橙色の小突起が並ぶ。腹部背面は黄褐色で、各節に太い黒の横しまがあり、両脇に黄色の斑点が2つずつ横に並ぶ。第1触角は黒いが、7本の白いしま模様があり、5対の歩脚も白黒の不規則なまだら模様となる。第2触角や腹肢、尾扇などは赤橙色を帯びる。この様々に彩られた体色を「」になぞらえてこの和名がある。種小名 ornatus も「武装した」、「飾りたてた」という意味で、やはり体色に因んだ命名である。

アフリカ東岸からポリネシアまで、インド太平洋熱帯域に広く分布する。日本でも神奈川県長崎県以南の各地で記録されているが、九州以北の採集記録は稀で、南西諸島伊豆諸島小笠原諸島でも個体数が少ない。

サンゴ礁の外礁斜面から、礁外側のやや深い砂泥底に生息し、他のイセエビ属より沖合いに生息する。生態はイセエビと同様で、昼は岩陰や洞窟に潜み、夜に海底を徘徊する。食性は肉食性が強く、貝類ウニ、他の甲殻類など様々な小動物を捕食する。

分布域沿岸、特に島嶼部では重要な食用種として漁獲されるが、食味はイセエビより大味とされている。大型で鮮やかな体色から、食用以外にも観賞用の剥製にされて珍重され、水族館等でも飼育される。

参考文献 編集

  1. ^ Cockcroft, A., Butler, M. & MacDiarmid, A. (2013). "Panulirus ornatus". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2014.3. International Union for Conservation of Nature.
  • 内田亨監修 「学生版 日本動物図鑑」 北隆館 ISBN 4-8326-0042-7
  • 「新装版 詳細図鑑 さかなの見分け方」 講談社 ISBN 4-06-211280-9
  • 三宅貞祥 「原色日本大型甲殻類図鑑」I 保育社 ISBN 4-586-30062-0
  • 内海冨士夫・西村三郎・鈴木克美 「標準原色図鑑全集16 海岸動物」 保育社 1971年初版