ノミノツヅリ属(ノミノツヅリぞく、学名:Arenaria、和名漢字表記:蚤の綴り属)はナデシコ科の一つ[1]

ノミノツヅリ属
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
: ナデシコ目 Caryophyllales
: ナデシコ科 Caryophyllaceae
: ノミノツヅリ属 Arenaria
学名
Arenaria L.
  • 本文参照

特徴 編集

小型の一年草越年草または多年草は対生し、扁平または針状になる。は単生するか円錐状の集散花序をなす。萼片は離生し、5個ある。花弁も5個で縁は全縁、色は白色、ときに花弁は退化して無い。雄蘂は10個。花柱はふつう3個。果実蒴果となり、先端が6裂するか、ときに3裂してさらに浅く2裂する[1]。種子の付属体「種枕」を持つ植物群は別属のオオヤマフスマ属 Moehringia L. とされる場合がある[2]

北半球の温帯から寒帯に約300種あり、チベットヒマラヤ中央アジア小アジア地中海沿岸アンデス山脈に多くが分布し、日本には5種ある[2]

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日本に分布する種 編集

  • ノミノツヅリ Arenaria serpyllifolia L. -ユーラシア原産で、日本では北海道から琉球まで分布する。
    • ネバリノミノツヅリ Arenaria serpyllifolia L. var. viscida (Loisel.) DC. -全草に腺毛がある変種。
  • オオヤマフスマ Arenaria lateriflora L. -北半球の温帯に広く分布し、日本では北海道から九州までで分布する。
  • タチハコベ Arenaria trinervia L. -北半球の温帯に広く分布し、日本では北海道(中部以南)、本州(北部)、四国、九州に分布するが、かなり稀な種。絶滅危惧II類(VU)(2015年、環境省)。
  • メアカンフスマ Arenaria merckioides Maxim. var. merckioides -北海道の知床半島雌阿寒岳に分布し、高山の岩礫地に生育する。
    • チョウカイフスマ Arenaria merckioides Maxim. var. chokaiensis (Yatabe) Okuyama -本州の東北地方の鳥海山に特産する変種。月山の9合目にあるものは鳥海山から移植されたもの[3]。絶滅危惧II類(VU)(2015年、環境省)。
  • カトウハコベ Arenaria katoana Makino -北海道の夕張岳日高山脈、本州の早池峰山谷川岳至仏山に分布し、高山の蛇紋岩の岩礫地に生育する。絶滅危惧II類(VU)(2015年、環境省)。
    • アポイツメクサ Arenaria katoana Makino var. lanceolata Tatew. -基本種より葉が細く、北海道の夕張岳、アポイ岳に特産する変種。

その他の種 編集

ギャラリー 編集

分類 編集

ノミノツヅリ属 Arenaria は、蒴果が6裂するが、蒴果が3裂するタカネツメクサ属 Minuartia を含め、これを広義のタカネツメクサ属 Arenaria とする場合もある[4]

脚注 編集

  1. ^ a b 『日本の野生植物草本II離弁花類』pp.35-36
  2. ^ a b 『改訂新版 日本の野生植物4』pp.108-110
  3. ^ 『山形県北庄内の植物誌』p.176
  4. ^ 『山溪カラー名鑑 日本の高山植物』p.482

参考文献 編集