ノート:恐怖の総和

最新のコメント:3 か月前 | 投稿者:㭍月例祭

「翻訳直後」を設置しました。そもそも出典がないというのが、翻訳以前の大きな問題ですが。訳文は日本語としてこなれていません。たとえば

  • 「婚外子の父親がオールデンであるという醜聞を利用して」「それは同時にそのストレスが眼窩吹き抜け骨折を引き起こす深刻な脳卒中」
  • 「エリオットはライアンが不倫関係にある若い未亡人の子の父親であると非難する組織的中傷」

などなど多数。また「あらすじ」節全体として、「あら」すじとディテールの記述とのバランスが悪いです。

  • 上記のライアンの不倫云々。前作でライアンは、秘密作戦中に致命傷を負った兵に対し、死んだ後も彼の妻子が経済的に困窮しないように保証すると個人的な約束をする。秘密作戦中の死亡のため公費は出せないので、ライアンは私費でこの遺児の学費を支援する。それを嗅ぎつけたエリザベスは「ライアンが隠し子を養っている」と吹聴する。しかしライアンは、事情を説明すると秘密作戦のことを暴露することになってしまうため、反論できない。このためライアン夫妻の仲も亀裂が入りかけるのだが、その秘密作戦に参加したクラークが、機密保持規定を破って、ライアンの奥さんに事情を説明する。

ていうような流れで同作中の「読者を感動させるクライマックスのひとつ」なわけです。私は原作シリーズを読んでいるので状況がわかりますが、たぶん原作を読まずにこの記事を読んでも、ちんぷんかんぷんと思います。

  • 爆弾の素材はかつて米軍が中東で紛失した核兵器。テロリストの下で水爆を製造する科学者は、最後の重要な工程について説明する寸前に、爆弾が完成したと思い込んだテロリストによって口封じのため殺害されてしまう。なので水爆としては未完成で、実際は「小さな原爆」程度の威力。これをスーパーボウル会場で爆発させたところ、駐車場や道路のアスファルトが熱を反射、米軍の偵察衛星からの赤外線画像だと、実際よりはるかに巨大な爆発と誤認され、ホワイトハウスが大騒ぎになり、ファウラー大統領らはソ連への核攻撃を実行しようとする。ライアンチームは実際に現地に行って爆弾の規模が衛星情報よりはるかに小さいことを確認、さらに採取したサンプルの放射性物質の特性から、使用されたプルトニウムが米軍由来であることをつきとめる・・・

同作ではたとえば、爆弾が起動して爆発するまでの何百分の1秒の間の、爆弾内の機構を、まるまる1節を費やして詳述するくだりとかが、クランシーの「テクノ・スリラー」の真骨頂なわけです。(次にナントカがナントカに接触して原子核から電子を3つ放出し、それが0.0003秒後に何ナノメートル進んでナントカに衝突するとナントカ現象が励起し・・・みたいな)

原作は、複数の異なる時代・場所・人物の出来事が、並行して記述され、クライマックスでそれらが一つの話にまとまっていく、という手法がとられています。この記述スタイルをそのまま「あらすじ」としても、話があっちこっち散逸してしまう。百科事典の記述としては、大きく構成を改めるべきと思います。(それには適切な情報源を求めるべき。)

いずれにしても出典を大いに欠いており、中途半端に手を出すのもねえ・・・という感じ。--柒月例祭会話2024年2月5日 (月) 05:37 (UTC)返信

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