バディ・ガイ(Buddy Guy, 1936年7月30日 - )はアメリカ合衆国ルイジアナ州レッツワース出身のブルースギタリストシンガー。本名は、ジョージ・ガイ。1958年のデビューからシカゴのシーンで活躍し、いまやシカゴ・ブルースの第一人者的存在となった。テンションの高いギター・プレイはロック・ファンにも幅広く受け入れられており、最も成功した今でも現役のブルース・ミュージシャンのひとりである。女性ラッパーとして活動しているショウナ(本名:ラショウナ・ガイ)は娘。

バディ·ガイ
バディ·ガイ
基本情報
出生名 George Guy
生誕 (1936-07-30) 1936年7月30日(87歳)
出身地 米国ルイジアナ州
レッツワース
ジャンル ブルース
職業 シンガー
ギタリスト
担当楽器 ギター
活動期間 1958年 -
レーベル アーティスティック・レコード
チェス・レコード
ヴァンガード・レコード
シルバートーン・レコード
共同作業者 ジュニア・ウェルズ
公式サイト buddyguy.net
著名使用楽器
フェンダー・ストラトキャスター
ギブソン・SG

ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において2003年は第30位、2011年の改訂版では第23位。2005年にロックの殿堂入りを果たした[1]

来歴 編集

1950年代にルイジアナ州バトンルージュで、地元のミュージシャン、ビッグ・パパ・ティリーのバンドで活動していたバディは、シカゴのチェス・レコードと契約すべく、ラジオ局WXOKのDJだったレイ・メドウズの協力を得て、1957年に2曲のデモ・レコーディングをする。

翌1958年、シカゴへ移住。しかしながらチェスには送ったはずのデモ・テープは届いていなかったことを知った。同年、オーティス・ラッシュの紹介でコブラ・レコードと契約。傘下のアーティスティック・レコードからシングル"Sit And Cry (The Blues)" b/w "Try To Quit You Baby"でデビューを果たす。このセッションではバディは歌のみで、ギターはオーティス・ラッシュが弾いた。

1959年にコブラ・レコードが倒産すると、彼は晴れてチェスと契約する。チェスの初セッションは1960年。同レーベルには1967年まで在籍し、"First Time I Met The Blues"を始め、彼の個性が開花した名作を多く残した。1960年12月16日に行われた2度目のセッションには、後のパートナーとなるジュニア・ウェルズも参加している[2]。逆に1965年には、バディはジュニアのアルバムHoodoo Man Bluesのセッションに参加した[3]。チェス時代は、自らの作品だけでなく、マディ・ウォーターズハウリン・ウルフらチェスの大物たちとのセッションもこなした。

チェスとの契約が終了するとバディは1968年ヴァンガード・レコードと契約。同年、アルバムA Man And The Bluesをリリースする。同レーベルでは計3枚のアルバムを制作した。

一方、1960年代後半からジュニア・ウェルズとデュオでの活動もするようになった。デュオ名義の作品としてはBuddy And The Juniors1969年)、Buddy Guy & Junior Wells Play the Blues1972年)などがある。後者には、エリック・クラプトンJ・ガイルズ・バンドも参加した[3]1975年3月には、「第2回ブルース・フェスティバル」出演のため、デュオで来日。バンドには、バディの弟でギタリストのフィル・ガイも加わった。

1970年代、バディはこの他、JSP、ブラック・アンド・ブルーなどからアルバムを発表した。しかしながら1980年代に入ると、活動の場は減ってしまう。1987年ジャパン・ブルース・カーニバル出演のため、再びジュニアとともに来日を果たしているが、本格的な活動を再開するのは、1990年代に入ってからのことだった。また、1989年にはシカゴでブルース・クラブ「バディ・ガイズ・レジェンズ英語版」を開店し[1]、この店は後に『リヴィング・ブルース英語版』誌によって「ベスト・ブルース・クラブ」に選ばれるほどの名所となっていく[4]

1991年、シルバートーンからDamn Right, I've Got The Bluesをリリースする。このアルバムは、前年に亡くなったスティーヴィー・レイ・ヴォーンに捧げられた曲も収録され[5]ジェフ・ベック、エリック・クラプトン、マーク・ノップラー等が参加したことも手伝って、ロックファンからも注目を集めた。このアルバムはグラミー賞最優秀コンテンポラリー・ブルース・アルバム賞を受賞し[6]、以後バディの人気は急上昇し、世界各地のフェスティバルなどでも引っ張りだこになる。日本にもブルース・カーニバルを始め、たびたびツアーで訪れるようになった。2006年7月には、ウドー・ミュージック・フェスティバルへの出演もしている[7]

2006年、ローリング・ストーンズが行ったビーコン・シアターでの慈善コンサートのライヴにゲスト出演し、マディ・ウォーターズの「シャンペン・アンド・リーファー」を演奏した。この模様は、ストーンズのライヴ・アルバム『シャイン・ア・ライト』、及びマーティン・スコセッシ監督による映画「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」にも収録されている。

2008年デレク・トラックススーザン・テデスキ、エリック・クラプトン、ロバート・ランドルフらをゲストに迎えたアルバムSkin Deepを発表した。

77歳の誕生日を迎えた2013年7月30日には、エアロスミスのメンバー3人やキッド・ロックらがゲスト参加したアルバムRhythm & Bluesをリリースし[8]、全米27位のヒットを記録した[6]。続く2015年のアルバムBorn to Play Guitarには、ビリー・ギボンズ(ZZトップ)、キム・ウィルソン(ファビュラス・サンダーバーズ)、ジョス・ストーンヴァン・モリソンがゲスト参加した[9]

2018年6月にはジェフ・ベック、キース・リチャーズミック・ジャガージェイムス・ベイをゲストに迎えた約3年ぶりの新作The Blues Is Alive and Wellを発表した[10]

ディスコグラフィ 編集

スタジオ・アルバム 編集

ライブ・アルバム 編集

コンピレーション・アルバム 編集

ジュニア・ウェルズとのデュオ名義 編集

  • 1970年 『バディ・アンド・ザ・ジュニアーズ』 - Buddy and the Juniors (Blue Thumb)
  • 1972年 『プレイ・ザ・ブルース』 - Buddy Guy & Junior Wells Play the Blues (Atco)
  • 1975年 Live Recording at Yuhbin-Chokin Hall (Bourbon)
  • 1978年 『ライヴ・イン・モントルー』 - Live in Montreux (Black And Blue)
  • 1981年 Going Back (Isabel)
  • 1982年 『ドリンキン・ティー・エヌ・ティー・アンド・スモーキン・ダイナマイト』 - Drinkin' TNT 'n' Smokin' Dynamite (Red Lightnin') ※2006年にCastle Musicから『Messin' with the Kids』というタイトルで再発される。
  • 1983年 The Original Blues Brothers Live (Magnum)
  • 1998年 『ラスト・タイム・アラウンド〜ライヴ・アット・レジェンズ』 - Last Time Around - Live at Legends (Silvertone)

参考文献 編集

  1. ^ a b Buddy Guy - Timeline”. Rock and Roll Hall of Fame. 2016年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月4日閲覧。
  2. ^ CD『アイ・ウォズ・ウォーキン・スルー・ザ・ウッズ』(MVCM-22009)英文ブックレット内クレジット
  3. ^ a b Fricke, David (2011年9月15日). “Fricke's Picks: Buddy Guy and Junior Wells, the Original Blues Brothers”. Rolling Stone. 2015年12月30日閲覧。
  4. ^ Buddy Guys Legends”. Chicago Scene. 2016年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月4日閲覧。
  5. ^ Picks and Pans Review: Damn Right, I've Got the Blues”. People. Time Inc (1991年11月4日). 2017年7月9日閲覧。
  6. ^ a b Buddy Guy - Awards”. AllMusic. 2016年3月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月4日閲覧。
  7. ^ ウドー・ミュージック・フェスティバル公式サイト
  8. ^ Marshall, Matt (2013年7月13日). “Buddy Guy’s "Rhythm & Blues": Earth-Shaking Blues with the Best of Friends”. American Blues Scene Magazine. Project Music Scene. 2015年12月26日閲覧。
  9. ^ Graff, Gary (2015年7月30日). “Buddy Guy Pays Tribute to B.B. King on 'Flesh & Bone', With Help From Van Morrison”. Billboard. 2016年2月1日閲覧。
  10. ^ バディ・ガイ3年ぶりの新作に、ストーンズのメンバーやジェフ・ベックも参加”. Rolling Stone Japan (2018年5月7日). 2018年8月17日閲覧。

外部リンク 編集