ビエーノール古希: Βιήνωρ, Biēnōr)あるいはビアノール古希: Βιάνωρ, Bianōr)は、ギリシア神話に登場する人物あるいはケンタウロスである。長音を省略してビエノルビアノルとも表記される。主に、

が知られている。以下に説明する。

ケンタウロスの1人 編集

 
ビエーノールの背に乗って棍棒を振り上げるテーセウス。ピエロ・ディ・コジモの絵画『ラピテス族とケンタウロスの戦い』の一部。1500年頃から1515年頃。ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵。

このビエーノールは、ラピテース族の王ペイリトオスヒッポダメイアの結婚式で、酩酊して暴れたケンタウロスの1人。ビアノールは背丈の高いケンタウロスで、背中に誰も乗せたことはなかった。しかし結婚式の混乱の中でアテーナイテーセウスはビアノールの背中に跳び乗って、両脚で肋骨を締め上げ、左手でたてがみをつかむと、背後から棍棒でビアノールのこめかみを打ち砕いた[1]

ピュルノスの子 編集

このビエーノールは、小アジアミューシア地方の都市キュージコスの戦士である。ピュルノスの子。アルゴナウタイとの戦いで戦死した[2]

マントーの子 編集

このビエーノールは、予言者テイレシアースの娘あるいはヘーラクレースの娘マントーと河神ティベリスの子。別名オクノス。母マントーは父親の死後にイタリアに移住し、ビエーノールを生んだ。ビエーノールはマントヴァを創建し、都市の名前を母にちなんで名づけた[3]

トロイアーの戦士 編集

このビエーノールは、トロイア戦争で戦ったトロイアーの戦士である。ホメーロス叙事詩イーリアス』の3日目の戦いで、アガメムノーンによって部下のオイレウスプリアモスの2子イーソスアンティポスアンティマコスの2子ペイサンドロスヒッポロコスらとともに討たれた[4]

脚注 編集

  1. ^ オウィディウス『変身物語』12巻345行–349行。
  2. ^ ウァレリウス・フラックス、3巻112行”. Theoi. 2022年7月29日閲覧。
  3. ^ セルウィウス『アエネーイス注解』10巻198行-200行”. Perseus Digital Library. 2022年7月29日閲覧。
  4. ^ 『イーリアス』11巻84行-162行。

参考文献 編集