ビクトル・アクセルセン

デンマークの男子バドミントン選手

ビクター・アクセルセンデンマーク語: Viktor Axelsen, 1994年1月4日 - )は、デンマークオーデンセ出身の男子バドミントン選手。母国語のデンマーク語のほかに、英語中国語官話)を流ちょうに話すことができる[1]

ビクター・アクセルセン
Viktor Axelsen
2018年のアクセルセン
基本情報
生年月日 (1994-01-04) 1994年1月4日(30歳)
性別 男性
国籍  デンマーク
出身地 オーデンセ
身長 194cm
選手情報
利き腕
種目 男子シングルス(MS)
主な戦績
世界ランク(最高) 1位
国際大会
獲得メダル
男子バドミントン
 デンマーク
オリンピック
2020 東京 男子シングルス
2016 リオデジャネイロ 男子シングルス
世界選手権
2022 東京 男子シングルス
2017 グラスゴー 男子シングルス
2014 コペンハーゲン 男子シングルス
スディルマン杯
2013 クアラルンプール 男子シングルス
トマス杯
2022 バンコク 男子団体
2020 オーフス 男子団体
2018 バンコク 男子団体
2016 崑山 男子団体
2012 武漢 男子団体
ヨーロッパ選手権
2022 マドリード 男子シングルス
2021 キーウ 男子シングルス
2018 ウエルバ 男子シングルス
2017 コリング 男子シングルス
2016 ラ・ロッシュ 男子シングルス
2014 カザン 男子シングルス
2012 カールスクルーナ 男子シングルス
世界ジュニア選手権
2011 台湾 男子シングルス
2010 グアダラハラ 男子シングルス
ヨーロッパジュニア選手権英語版
2011 ヴァンター 男子シングルス
2011 ヴァンター 男子シングルス

2010年の世界ジュニアバドミントン選手権大会の優勝者であり、同大会で優勝した初のヨーロッパ人選手である[2]。2016年のリオデジャネイロオリンピックでは銅メダルを獲得した。2016年と2018年にはヨーロッパバドミントン選手権で優勝した[3]。2017年には世界バドミントン選手権大会で優勝した[4]。2021年の東京オリンピックでは金メダルを獲得した[5]

経歴 編集

2012年以前 編集

1994年にオーデンセに生まれ、父親の勧めで6歳の時にバドミントンを始めた[6][7]。2009年にはドイツジュニア国際で優勝し、さらにU-17ヨーロッパ選手権でも優勝した[8]。2009年にはデンマーク・オープンでシニア大会デビューし、ステフェン・ラスムッセンと組んで男子ダブルスに出場した[6]

2010年1月にはスウェーデン国際に出場し、決勝でにイタリアのIndra Bagus Ade Chandra敗れて準優勝した[9]。2010年にメキシコのグアダラハラで開催された世界ジュニアバドミントン選手権大会では、準々決勝で第1シードの黄宇翔に勝ち、準決勝でインドのB. サイ・プラニースに勝ち、決勝で韓国のカン・ジウクに勝って優勝した[8]。2010年10月のキプロス国際では16歳にしてシニア大会初優勝を飾った。数週間後のデンマーク・オープンBWFスーパーシリーズデビューしたが、優勝するヤン・ウ・ヨルゲンセンに2回戦で敗れた。

2011年の欧州ジュニア選手権では決勝で同胞のラスムス・フラッドバーグを破って金メダルを獲得した。同年の世界ジュニア選手権では決勝でマレーシアのズルファドリ・ズルキフリに敗れて銀メダルを獲得した。2012年初頭にはコペンハーゲンに転居した[7]フランス・オープンでは決勝でダレン・リューに敗れて準優勝だった。ヨーロッパバドミントン選手権では準決勝でスウェーデンのヘンリ・ハースカイネンに敗れて銅メダルを獲得した。

2012年~2016年 編集

2014年1月にはスイス・オープンに出場し、決勝で中国の田厚威を破って優勝した。2014年の世界選手権では銅メダルを獲得し、同年のヨーロッパ選手権でも銅メダルを獲得した。2015年にはスイス・オープン、オーストラリア・オープンヨネックスオープンジャパンの3大会で準優勝しており、決勝ではそれぞれインドのスリカンス・キダンビ諶龍林丹に敗れている。

フランスのラ・ロッシュ=シュル=ヨンで開催された2016年5月のヨーロッパ選手権では、決勝で前回大会覇者のヤン・ウ・ヨルゲンセンにストレートで勝利して優勝した。同年の国別対抗戦であるトマス杯では、デンマークに初優勝をもたらし、第29回大会にして初めてアジア以外の国が優勝した。アクセルセンは6試合で5勝しており、デンマーク代表vsインドネシア代表戦では5番手で出てトミー・スギアルトに勝っている。

ブラジルのリオデジャネイロで開催された2016年リオデジャネイロオリンピックのバドミントン競技には第4シードとして出場。決勝トーナメント1回戦ではアイルランドのスコット・エヴァンスに勝ち、準々決勝ではイギリスのラジブ・オーセフに勝ったが、準決勝では第2シードの中国の諶龍に負けた。3位決定戦では中国の林丹に勝って銅メダルを獲得した。

2016年~2021年 編集

2017年の世界選手権では、決勝で中国の林丹に勝って優勝した。フレミング・デルフス(1977年大会)、ピーター・ラスムッセン(1997年大会)に次いで、デンマーク人として同大会で優勝した3人目の選手である。この試合で林丹との対戦成績を4勝3敗とし、トップ20選手の中では唯一勝ち越しに成功している[10]。2017年9月のヨネックスオープンジャパンでは決勝でマレーシアのリー・チョンウェイに勝って優勝し、BWF世界ランキングで初めて1位となった[11]

2018年1月にはインドでプレミア・バドミントン・リーグに参加した[12]。2018年5月のトマス杯では準々決勝で韓国戦に勝利したが、準決勝の日本戦では自身が初戦で桃田賢斗に敗れ、またチームも2-3で敗れた。2018年8月の世界選手権では、3回戦で第10シードの香港の伍家朗に勝ったが、準々決勝で第8シードの中国の諶龍に負けた。

2021年の東京オリンピックでは、準々決勝で中国の石宇奇に勝利し、準決勝でグアテマラのケビン・コルドンに勝利し、決勝では中国の諶龍に勝利して金メダルを獲得した[13]。デンマーク人選手としてはアトランタオリンピックポール=エリク・ホイヤー・ラーセン以来6大会ぶりの金メダルである[13]

2022 編集

3月のドイツ・オープンで準決勝に進出するも、ラクシャ・センにファイナルデュースの僅差で敗れる。しかしその翌週の全英オープンでは、全試合で1セットも落とさずに優勝した。

4月、ヨーロッパ選手権で決勝で同胞のアンダース・アントンセンを破り優勝。3度目の優勝となった。

6月、インドネシア・マスターズインドネシア・オープンマレーシア・オープンで優勝し、ワールドツアー3連覇。

8月の世界選手権では、全試合で1セットも落とさずに優勝。2度目の世界選手権優勝となった。

10月のデンマーク・オープンにディフェンディングチャンピオンとして出場。しかし準々決勝で、元世界王者のロー・ケンユーにストレートで敗北。しかし、アクセルセンはこの試合で負けるまで、ドイツ・オープンでの敗北から実に39連勝(タイ・オープンでの棄権を除く)を記録した。
そして翌週のフランス・オープンでは、決勝で同胞のラスムス・ゲムケを破り、全試合で1セットも落とさずに優勝した。

12月のBWFワールドツアーファイナルズでは、準決勝の奈良岡功大との試合で、1セット目をデュースの末取られるが逆転勝利し、決勝でアンソニー・シニスカ・ギンティンをストレートで破り優勝した。

2022年の対戦成績は52勝3敗、世界選手権優勝、ヨーロッパ選手権優勝、ワールドツアー6タイトル獲得と、アクセルセン最強の年として締めくくった。

成績 編集

オリンピック 編集

男子シングルス
開催地 対戦相手 スコア 結果
2020   日本東京   諶龍 21-15, 21-12 金メダル
2016   ブラジルリオデジャネイロ   林丹 15–21, 21–10, 21–17 銅メダル

世界選手権 編集

男子シングルス
開催地 対戦相手 スコア 結果
2022   日本東京   クンラブット・ビチットサーン 21–5, 21–16 金メダル
2017   スコットランドグラスゴー   林丹 22–20, 21–16 金メダル
2014   デンマークコペンハーゲン   リー・チョンウェイ 9–21, 7–21 銅メダル

ヨーロッパ選手権 編集

男子シングルス
開催地 対戦相手 スコア 結果
2022   スペインマドリード   アンダース・アントンセン 21-17, 21-15 金メダル
2021   ウクライナキエフ   アンダース・アントンセン 棄権 銀メダル
2018   スペインウエルバ   ラジブ・オーセフ 21–8, 21–7 金メダル
2017   デンマークコリング   アンダース・アントンセン 21–17, 21–16 金メダル
2016   フランスラ・ロッシュ=シュル=ヨン   ヤン・ウ・ヨルゲンセン 21–11, 21–16 金メダル
2014   ロシアカザン   ヤン・ウ・ヨルゲンセン 11–21, 13–21 銅メダル
2012   スウェーデンカールスクルーナ   ヘンリ・ハースカイネン 21–18, 18–21, 17–21 銅メダル

脚注 編集

  1. ^ Danish Badminton Player Speaks Chinese During Olympics (English + Chinese subs 中英字幕)”. youtube.com (2016年8月23日). 2017年4月2日閲覧。
  2. ^ Sachetat, Raphaël (2010年4月25日). “World Juniors – Axelsen creates history”. Badzine.net. https://www.badzine.net/2010/04/world-juniors-axelsen-creates-history/ 2018年8月5日閲覧。 
  3. ^ “'Viktor-ious' Danes Dominate – Finals: European Championships 2016”. 世界バドミントン連盟. (2016年5月2日). http://bwfbadminton.com/news-single/2016/05/02/viktor-ious-danes-dominate-finals-european-championships-2016/?pcat=224 2018年8月5日閲覧。 
  4. ^ “Badminton World Championships: Viktor Axelsen beats Lin Dan to win singles gold”. BBC. (2017年8月28日). https://www.bbc.com/sport/badminton/41071944 2018年8月5日閲覧。 
  5. ^ 東京五輪王者アクセルセンが1回戦敗退 世界バドミントン”. 産経ニュース (2021年12月14日). 2021年12月14日閲覧。
  6. ^ a b Players: Viktor Axelsen”. 世界バドミントン連盟. 2018年8月5日閲覧。
  7. ^ a b “Viktor Axelsen” (Danish). Fyens Stiftstidende. (2016年9月4日). https://www.fyens.dk/sport/Viktor-Axelsen/artikel/3062183 2018年8月5日閲覧。 
  8. ^ a b Sukumar, Dev (2010年5月3日). “Players – Axelsen – Hope springs anew for Denmark”. Badzine.net. http://www.badzine.net/2010/05/players-axelsen-hope-springs-anew-for-denmark/ 2018年8月5日閲覧。 
  9. ^ Bendix, Lasr (2010年1月24日). “Gennembrud for fynsk badminton-es” (Danish). Fyens Stiftstidende. https://www.fyens.dk/sport/Gennembrud-for-fynsk-badminton-es/artikel/1408904 2018年8月5日閲覧。 
  10. ^ 世界バドミントン連盟. “Lin's head-to-head record against other players”. TournamentSoftware.com. 2017年9月1日閲覧。
  11. ^ Agence France-Presse (2017年9月24日). “Viktor Axelsen wins first Japan Open title”. The Times of India. 2017年9月29日閲覧。
  12. ^ Premier Badminton League which held on Jan 5, 2018 in Nehru Stadium” (2018年1月1日). 2018年9月25日閲覧。
  13. ^ a b アクセルセンが前回王者破り金メダル、バド男子単”. AFP (2021年8月2日). 2022年8月1日閲覧。

外部リンク 編集