ビタブリッドC(Vitabrid C)は、活性ビタミンCを主成分に、生体親和型ミネラル成分を特許を取得したバイオ融合技術によりハイブリッドさせた新物質からなるVC製剤[1]

概要 編集

ビタブリッドCは、2003年に韓国梨花女子大学教授・崔珍鎬(チェ・ジンホ)により開発された成分である「ハイブリッドビタミンC」を応用し、2013年12月に本社を慶尚北道に置く、現代バイオサイエンス株式会社(旧・北道現代IBT株式会社)により、韓国で商品化されたビタミンCパウダーである。「ハイブリッドビタミンC」は、ビタミンCとLDH(無機二重層水酸化物)というミネラル成分とを特許取得済のミネラル層状構造に純粋なビタミンCを保管するバイオ融合技術により、ハイブリッドさせた新物質で、これまで皮膚への浸透が困難とされていた純粋ビタミンCを壊さず守りながら12時間にわたり、皮膚組織の角質層までに安定的かつ継続的に浸透させることを可能とした[2][3]

ビタミンCには、抗酸化物質としての働きで抗老化を初め、美白・美肌・抗シワ効果、コラーゲン生成、毛細血管を増強し毛母細胞の分裂を促す作用などがあるが、ビタミンCは経口摂取しても頭皮など必要な箇所にはほとんど届かない性質があった。また、で酸化しやすく、直接塗布も効果がないとされてきたが、ハイブリッド技術で頭皮へのビタミンCの12時間浸透を可能にした[4][5][6][7]。日本では、2014年にビタブリッドジャパンにより商品化され、その後、北海道薬科大学とビタブリッドジャパンの共同研究において効果実証が行われた[8][9][10][11]。2015年7月には、同製剤に「浸透型ビタミンC誘導体」APPSと同等の美白効果と頭皮角栓除去効果があることが同社と県立広島大学名誉教授・三羽信比古の共同研究によって確認された[12][13]

日本アメリカ、韓国、中国豪州EUで特許登録を終え、国際化粧品原料資料集(ICID)に搭載され、国際的に安全性が認められている。ビタブリッドCはハイブリッド化技術によって安定化、継続化、浸透化を12時間実現させたが、この技術が適用されているバイオ融合技術は2001年に米国化学会誌(JACS)にて、世界有望8大技術に選定されたほか、科学誌「ネイチャー」のハイライトに掲載された[2][3][13][14]。2018年7月にはVitabrid(ビタブリッド)Cシリーズの製品2種類がアメリカのヘアー専門プラットホームサイト『NaturallyCurly.com』における“Editor’s Choice Beauty Awards 2018”にて、” Most Innovative Product or Tool(最も革命的な商品)賞”と“Best Shampoo(ベストシャンプー)賞”に選定されている[15]

ビタミンCはヒト必須ビタミンとして医薬品機能性食品はもとより、化粧品などでも広く使用されているが、北海道薬科大学若命浩二准教授 [3] らによるマウスを使った動物実験や、同大学松岡黎治らによる人体への塗布試験などにより、育毛の促進やアトピー性皮膚炎に対して副作用なく改善傾向が見られた[8][9][10]

臨床試験 編集

北海道薬科大学にて、軽度から中度のアトピー性皮膚炎の被験者5例に対して、VC製剤を8週間連続塗布し、0週、4週、8週の計3回、患部目視判定、写真撮影、経表皮水分蒸散量、VASアンケートの実施での使用前後についての比較を行った結果、副作用はなくVASは全体的に改善傾向にあり、特に「赤み」は有意差があり、2名の被験者に、経皮水分蒸散量の抑制に有意差が確認された[9]

マウスによる動物実験 編集

北海道薬科大学にて、ビタミンC合成不全マウスを使った実験で、ビタミンC経口投与群、ビタミンC塗布群ではビタミンC非投与群との比較で育毛の促進が目視的に観察された。また、ビタミンC経口投与群、ビタミンC塗布群の皮膚組織では皮膚上皮と毛根周囲にビタミンC非投与群と比較して蛍光染色された17型コラーゲンが多く観察された。さらに、組織から抽出した17型コラーゲンのmRNA量は、ビタミンC非投与群では他の群よりも有意に低値であった。これらの結果から、ビタミンC不足によってビタミンC合成不全マウスの育毛の速度が遅くなっている可能性が示唆された[8]

ヒト色素細胞を使った試験 編集

県立広島大学名誉教授・三羽信比古らがヒト色素細胞を使った試験で、同素材を添加して紫外線A波を照射したところ、メラニン生成が抑制され、その効果は進化型ともいわれる水溶性ビタミンC誘導体を約15%上回った。ヒトの頭皮に同素材を塗布し角栓量を調べた実験では、1時間半後に角栓が約20-25%減少。三羽はその作用機序について、ビタミンCが継続して抗酸化作用を示し、新たな角栓の生成を抑えたことが考えられると説明した[12]

商品化 編集

商品としてシリーズ化され、韓国では5か月間で95万本を売り上げた[3]。日本では2014年6月に発売され、2021年7月時点でシリーズ累計販売個数が500万個を突破。美顔製品は女性誌4誌のベストコスメ企画で当該部門第1位に選ばれたほか、世界的な美容博覧会であるコスモプロフ(北米)2016では「次の流行を作る」トレンドセッターを受賞[16]。育毛製品とボディ用製品はモンドセレクションにて2年連続「最高金賞」(2016年・2017年)を受賞するなどした[2][17]

脚注 編集

  1. ^ 『石鹸日用品新報』 - 塗るビタミンCパウダー「ビタブリッドC」の特殊効果研究発表会開催 2015年7月15日号
  2. ^ a b c “Vitabrid(ビタブリッド) C”、モンドセレクションにて2年連続最高金賞受賞”. exciteニュース (2017年6月5日). 2021年8月6日閲覧。
  3. ^ a b c 『美容経済新聞』 - 韓国で95万本売れたVitabri(ビタブリッド)Cが日本でも発売 2014年6月2日号
  4. ^ 三羽信比古 [1]県立広島大学名誉教授、大阪物療大学教授 - 発毛効果の新成分 注目が高まる「新型ビタミンC」)『夕刊フジ』2015年1月7日号
  5. ^ 日経電子版 - たるみにも効く ビタミンCのマルチな美容効果”. 2021年8月4日閲覧。
  6. ^ 公益財団法人長寿科学振興財団 - ビタミンCの働きと1日の摂取量”. 2021年8月6日閲覧。
  7. ^ 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター - ビタミンCが足りないと老化が進む!?”. 2021年8月4日閲覧。
  8. ^ a b c ビタミンC合成不全マウスを用いたビタミンC含有製剤塗布による育毛と皮膚中17型コラーゲンへの影響 若命浩二1, 小松健一1,山﨑博章1,藤田陽平1,大塚博史2(1北海道薬科大学薬理学分野、2株式会社ビタブリッドジャパン)”. 株式会社ビタブリッドジャパン(東京). 2021年8月6日閲覧。
  9. ^ a b c 第64回北海道薬科大学大会 ビタミンC配合製剤塗布によるアトピー性皮膚炎への影響:オープン前後比較試験 松岡黎治1、圓田恭平1、藤田蒼太1、三浦直樹2、小松健一1、若命浩二1、北海道薬大1、みうらクリニック2 [2]
  10. ^ a b 本学学生・教員が第64回北海道薬学大会で発表しました 平成29年5月24日”. 北海道薬科大学 (2017年5月24日). 2021年8月6日閲覧。
  11. ^ 『薬事日報』韓国で人気の美肌用化粧品 塗るビタミンCの発売開始 ビタブリッドジャパン 2014年
  12. ^ a b 『健康産業流通新聞』 - 新型ビタミンCが美白効果 ビタブリッドジャパンが確認 2015年7月9日号
  13. ^ a b 『商業界展望』 - 「ビタブリッドC」の特殊効果発表会 2015年7月11日号
  14. ^ 『粧業界展望』2014年10月18日 - ビタブリッドC宣伝担当執行役員に東国原英夫が就任
  15. ^ Vitabrid(ビタブリッド)C、米NaturallyCurly.comにてMost Innovative Product賞とBest Shampoo賞を受賞”. 日刊工業新聞企業リリース (2020年12月1日). 2024年1月29日閲覧。
  16. ^ ビタブリッドC コスモプロフ2016 トレンドセッター受賞 2016/11/18”. 2021年8月4日閲覧。
  17. ^ 世界特許技術の“Vitabrid(ビタブリッド) C”、シリーズ累計販売600万個突破!~世界最大級の美容展示会「コスモプロフ」で高評価の製品が日本初上陸~”. PRTIMES (2020年12月1日). 2021年8月6日閲覧。

関連項目 編集