ピアノソナタ第10番 (スクリャービン)

ピアノソナタ第10番 作品70 は、アレクサンドル・スクリャービン1913年に完成させた単一楽章のピアノソナタ

概要 編集

番号と出版順では最後のソナタだが、実際に最後に完成されたのは《第8番》だった。単一楽章無調によっており、きわめて半音階的であるが、後期作品としてはさほど不協和に響かない。頻繁なトレモロトリルの利用から、「トリルソナタ」の通称で呼ばれることもあるが、これらの奏法について、作曲者自身は「太陽の口づけである昆虫たち」の象徴であると説明している[1]

後期のソナタの中では、伝統的なソナタ形式に比較的忠実に構成されている。増和音減和音の交替する、わびしい響きの序奏に始まり、やがて半音階的な第1主題と序奏主題とが行きつ戻りつする。ややもすると輝かしいトリル音型が導かれ、その後の作品の展開に浸透して行く。その後に旋律的な、下降半音階による第3主題が現れる。展開部では、ソナタ形式の定式に従ってこの3主題が加工されるが、序奏主題もしばしば重視されている。また展開部では、拍節感が非常に流動的になっており、このために柴田南雄によって、「ストラヴィンスキーの《春の祭典》にも比肩しうる」として著書において言及された[要出典]

脚注 編集

  1. ^ そのため、このピアノソナタは海外では「昆虫ソナタInsect Sonata )」の愛称で呼ばれることもある。

外部リンク 編集