ピアノソナタ第49番 (ハイドン)

ピアノソナタ第49番 変ホ長調 作品66 Hob. XVI:49 は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが作曲したピアノソナタランドン版では第59番となっている。

ハイドンの肖像画(トーマス・ハーディ作、1791年)

概要 編集

本作品は1789年から1790年の間に作曲され、1791年に出版された[1][2]。この曲には、マリア・アンナ・イェルリシェックへの献辞が書かれているが、実際はマリア・アンナ・ゲンツィンガー英語版のために書かれたと判明している。ゲンツィンガー夫人はハイドンの友人で、相当な音楽の教養があったことが分かっている[1]

これ以前の作品では、チェンバロで演奏されることも想定して作曲されていたが、本作品には、初めて「フォルテピアノのためのソナタ」と明記された。スクエア・ピアノを用いて作曲されたと考えられている[3]

また、この曲はソナタアルバムの第2巻に掲載されているため、よく知られた作品となっている。

曲の構成 編集

全3楽章、演奏時間は約22分半[2]。どの楽章も規模が比較的大きい[1]

  • 第1楽章 アレグロ
    変ホ長調、4分の3拍子ソナタ形式
    全体にユーモアと優美さがある。軽快な動機と滑らかな動機が交互に現れ[3]、重音や手の交差など様々な技巧が用いられている[4]。再現部の前にはカデンツァのような楽句が挿入されている[2][4]
     
  • 第2楽章 アダージョ・エ・カンタービレ
    変ロ長調、4分の3拍子、複合三部形式
    この楽章は、後から付け足されたことが分かっている[1]。ハイドンの緩徐楽章の中でも規模が大きく、美しい曲想である[2]。第3部では第1部が変奏され、再現されている[1][2]
     
  • 第3楽章 テンポ・ディ・メヌエット
    変ホ長調、4分の3拍子、ロンド形式
    メヌエットとしては規模が大きい[1]。8分音符と3連符が絡み、軽快な曲想である[4]
     

参考文献 編集

  1. ^ a b c d e f クラヴィアソナタの部屋第3室”. 2017年10月7日閲覧。
  2. ^ a b c d e ハイドン  : Haydn, Franz Joseph ソナタ 第59番(ウィーン原典版番号)変ホ長調 Sonate für Klavier Nr.59 Es-Dur Hob.XVI:49 op.66”. 2017年10月7日閲覧。
  3. ^ a b 芹澤尚子. “J. ハイドンのクラヴィーア音楽 ──フォルテピアノとの関わりを中心に──”. 2017年10月7日閲覧。
  4. ^ a b c ピアノレパートリーガイド ソナタ 変ホ長調 Hob.XVI:49 Sonata in E-flat Major, Hob.XVI: 49”. 2017年10月7日閲覧。

外部リンク 編集