ピルビン酸ナトリウム(ピルビンさんナトリウム、Sodium pyruvate)は、ピルビン酸共役塩基の1つである。

ピルビン酸ナトリウム
識別情報
CAS登録番号 113-24-6 チェック
PubChem 23662274
ChemSpider 7931 チェック
UNII POD38AIF08 チェック
ChEBI
ChEMBL CHEMBL181886 チェック
特性
化学式 C3H3NaO3
モル質量 110.04 g mol−1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

生理活性 編集

ピルビン酸は解糖系を始めとする様々な代謝経路中間体としてできる物質であり、基本的に地球上の生物の細胞はエネルギー源として利用できる。真核細胞内では、ピルビン酸がアセチルCoAに変換され、TCA回路に入ってエネルギーを供給するだけでなく、他のエネルギー産生経路とも関わっている[1]

ピルビン酸ナトリウムには過酸化水素からの保護効果もあることが、Giandomenicoらにより報告された[2]。このことは複数の独立のグループにより確認された。加えて、脂肪細胞では、ピルビン酸ナトリウムはインスリンのシグナルを受け取った際に起こるグルコースの取り込みを促進することが知られている[1]

用途 編集

ピルビン酸ナトリウムは、細胞の培養を行う際に、細胞のエネルギー源として、培地に加えられることがある。また、ピルビン酸ナトリウムには抗酸化活性とエネルギー源となる他に、血液脳関門を通過することもできるという性質もあり、これらの特徴から脳損傷に関する研究にも用いられることがある[3][4]

出典 編集

  1. ^ a b Pandit, Bijan; Sarkar, Abhijit; Sinha, Biswajit (2016). “Solution thermodynamics of sodium pyruvate in aqueous glycine solutions at T 298.15-313.15 K”. Journal of the Serbian Chemical Society 81 (11): 1283-1294. doi:10.2298/jsc151031034p. ISSN 0352-5139. 
  2. ^ “The importance of sodium pyruvate in assessing damage produced by hydrogen peroxide.”. Free Radic Biol Med 23 (3): 426-34. (1997). doi:10.1016/S0891-5849(97)00113-5. PMID 9214579. 
  3. ^ Hwang, Ji-Sun; Kim, Song-Yi; Jung, Eun-Hye; Kwon, Mi-Youn; Kim, Kyoung-Hong; Cho, Hyeongjin; Han, Inn-Oc (2015-11-19). “Exogenous Sodium Pyruvate Stimulates Adipogenesis of 3T3-L1 Cells”. Journal of Cellular Biochemistry 117 (1): 39-48. doi:10.1002/jcb.25244. ISSN 0730-2312. PMID 26053972. 
  4. ^ Fukushima, Masamichi; Lee, Stefan M.; Moro, Nobuhiro; Hovda, David A.; Sutton, Richard L. (July 2009). “Metabolic and Histologic Effects of Sodium Pyruvate Treatment in the Rat after Cortical Contusion Injury”. Journal of Neurotrauma 26 (7): 1095-1110. doi:10.1089/neu.2008.0771. ISSN 0897-7151. PMC 2848946. PMID 19594384. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2848946/.