ファニー・ガール (ミュージカル)

ファニー・ガール』(Funny Girl)は、ジューリー・スタイン作曲、ボブ・メリル英語版作詞、イソベル・レナート英語版脚本によるミュージカル。1964年にブロードウェイで初演された。コメディアンでブロードウェイ・スターのファニー・ブライスの半生およびキャリアを基に、起業家でギャンブラーのニッキー・アーンスタインとの波乱万丈の関係を中心とした半自伝的な話となっている。

Funny Girl
ファニー・ガール
作曲 ジューリー・スタイン
作詞 ボブ・メリル英語版
脚本 イソベル・レナート英語版
原作 ファニー・ブライスの半生
上演
1964 ブロードウェイ
1966 ウェスト・エンド
1966 オーストラリア・ツアー
1999 メルボルン
2015 メニア・チョコレート・ファクトリー
2016 ウェスト・エンド再演
2016 メルボルン
2017 全英ツアー
2022 ブロードウェイ再演
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オリジナル・ブロードウェイ・ミュージカルにおいてバーブラ・ストライサンドが主演し、ブライスの義理の息子のレイ・スタークがプロデュースした。オリジナル・ブロードウェイ・プロダクションはトニー賞において8部門にノミネートされ、2004年、オリジナル・キャスト・レコーディングはグラミー賞の殿堂に殿堂入りした。

2022年4月24日、ハーヴェイ・ファイアスタインによる改訂版のブロードウェイ再演が開幕し、ビーニー・フェルドスタインが主演した[1][2]。2022年9月、リア・ミシェルがファニー役に配役され、2ヶ月後にブロードウェイ・キャスト・レコーディングがリリースされた。

あらすじ 編集

第二次世界大戦前後のニューヨーク周辺を舞台としている。『ジーグフェルド・フォリーズ』主演のファニー・ブライスは夫のニッキー・アーンスタインの出所を待ちつつ2人の思い出を振り返る。

第1幕 編集

10代の少女であるファニーは舞台女優を目指し、初めてヴォードヴィルの職を得る。母親とその友人のストラコシュ夫人は、ファニーが誰もが認める美人ではないためショー・ビジネスを諦めさせようとする("If a Girl Isn't Pretty")。しかしファニーは意志を貫き("I'm the Greatest Star")、ヴォードヴィルで出会ったダンサーのエディ・ライアンに助けられ励まされる。ファニーのキャリアがうまくいくようになり、母親もエディもファニーがブロードウェイで活躍するといずれ自分たちを忘れてしまうだろうと嘆く("Who Taught Her Everything?")。ファニーは勝手に『ジーグフェルド・フォリーズ』のロマンティックな楽曲のオチを妊娠した新婦に変えることでベタなお笑いにして騒動となる("His Love Makes Me Beautiful")。

ファニーは上品でハンサムなニック・アーンスティンと出会い、ヘンリー通りの自宅で行なわれた開幕パーティに同行する。ファニーはニックに恋に落ちると同時に、2人の関係性の複雑な危うさに気付く("People")。その後2人はボルチモアで再会し、豪華なレストランで2人きりでディナーをとり、互いの感情を確かめ合う("You Are Woman, I Am Man")。ニックにはギャンブルの過去があるが、ファニーはニックとの結婚を決意する("Don't Rain on My Parade").

第2幕 編集

2人は結婚し、ロングアイランドの豪邸に転居する("Sadie, Sadie")。ストラコシュ夫人とエディはファニーの母親に、娘が応援してくれているから結婚相手を探すべきと提案する("Find Yourself a Man")。ファニーは『ジーグフェルド・フォリーズ』の大スターとなる("Rat-Tat-Tat-Tat")。ニックはジーグフェルドにカジノへの投資を持ちかけ、ジーグフェルドは断るが、ファニーは出資を請う。事業は失敗して金銭を失い、ファニーはこれを軽く考え、ニックはいかがわしい債券取引に関わり横領罪で逮捕される。ファニーは無力さを感じるが、ニックを愛する気持ちは強くなる("The Music That Makes Me Dance")。

ファニーはニックの到着を待ち、自身の状況を顧みる。釈放されたばかりのニックが到着し、2人は別れを決意する。ファニーは傷心するが、自分の人生をやり直そうと決意する("Don't Rain on My Parade (Reprise)")。

背景 編集

1940年、スタークはファニー・ブライスとニック・アーンスティンの娘フランシス・ブライスと結婚した。ファニーの半生を語る上で、スタークはブロードウェイ・ミュージカル、映画、そして続編『ファニー・レディ』を制作することとなる[3]

レイ・スタークはブライスが思い出を口述した録音を基に伝記の執筆を依頼したが、その結果には不満があった。結局、この伝記『The Fabulous Fanny』の出版差し止めに5万ドルがかかった。その後、スタークはベン・ヘクトに伝記的脚本の執筆を依頼し、その後10人の作家が引き継いだが、いずれもスタークは満足しなかった。最終的にイソベル・レナートが執筆した『My Man』がスタークもコロンビア ピクチャーズの重役たちも満足させ、コロンビアはスタークに40万ドルと興行収入のうち何割かを支払うことを提案した[4]

脚本の読み合わせの後、メアリー・マーティン英語版がスタークに連絡し、ミュージカルの舞台化を提案した。スタークはプロデューサーのデイヴィッド・メリック英語版と作曲家について議論したところ、ジューリー・スタインとスティーヴン・ソンドハイムを勧められた。ソンドハイムはスタインに「ファニー・ブライスの半生記をメアリー・マーティンと共に作りたくない。メアリーはユダヤ人ではない。ユダヤ人の他の女優を探すべきだ」と語った。その直後、マーティンは本作への興味を失い手を引いた[5]

メリックはジェローム・ロビンズと本作について議論し、ロビンズはアン・バンクロフトに脚本を渡した。バンクロフトは楽曲に関わることを条件にブライス役を引き受けた。メリックはスタインにドロシー・フィールズ英語版とのコラボレーションを提案したが、スタインは関心がなかった。1ヶ月間、スタインはフロリダ州パームビーチに滞在してバンクロフトが歌う前提で作曲した。そこでスタインは作詞家のボブ・メリルに会い、「"Who Are You Now?"」や「"The Music That Makes Me Dance"」などの5つのメロディを演奏した。メリルはこれらの曲に作詞することを了承した。スタインはこれに満足し、メリルと共に残りの楽曲を完成させた。スタインとメリルはスターク、ロビンズ、バンクロフトに聴かせるためロサンゼルスに向かった。これ以前よりメリルと個人的な諍いのあったバンクロフトは降板した[5]

イーディ・ゴーメが候補に挙がったが、自身の夫であるスティーヴ・ローレンス英語版がニック・アーンスティン役を演じるのであれば出演すると語った。制作陣はローレンスがニック役に合わないとして、スタークとロビンズはキャロル・バーネットに打診したが、バーネットは「ファニー役を演じたいが、ユダヤ人女優を探しているのではないか」と断った。スタインは『I Can Get It for You Wholesale』に出演していたバーブラ・ストライサンドこそ適任と考えた。ストライサンドはグリニッジ・ヴィレッジにあるボン・ソワールに出演しており、スタインはロビンズにストライサンドに会いに行くよう勧めた。ロビンズは好印象を持ち、ストライサンドにオーディションを受けるよう要請した。のちにスタインは「ストライサンドは酷い恰好だった。服装は全て古着だった。(ブライスの娘でスタークの妻の)フランシスは嫌悪感を露わにしてストライサンドをじろじろ見ていた」と語った。フランシスの反対に関わらず、スタークはストライサンドを配役した[5]

ロビンズはレナートと口論となり、スタークに脚本の舞台ミュージカル化に不適格なためレナートを降板させるべきだと語った。スタークはこれを断り、ロビンズは本作から離脱した[5]

本作は一時的に棚上げされ、スタークはバーネットの『Fade Out – Fade In』など他の作品を手掛けた。その後メリックはボブ・フォッシーを演出家として契約して再始動したが、フォッシーが降板して再度数ヶ月停止した。メリックはスタークにガーソン・ケニンを勧め、これを最後にメリックは離脱してスタークが単独でプロデューサーを務めることとなった[5]

ケニンが楽曲「"People"」がファニー役に合わないとしてカットを提案し、ストライサンドは演出家をケニンからロビンズに戻して欲しいと主張した。ストライサンドはこの曲をすでにシングルとしてリリースしており、メリルは「ストライサンドの作品史上最高傑作のため本作で使用すべきだ」と語った。この時にはボストンで上演されており、序曲でもメロディが登場するため観客に認知されていた。ケニンは観客の反応を見て残すことに同意した[5]

リハーサルの間から脚本や楽曲に問題があり、ボストンのシュバート・シアターで開幕した時にはすでに30分間カットされたにもかかわらず長すぎた。批評家らはストライサンドを称賛したが、作品としては好まれなかった。複数の批評家が脚本の問題が解決すればヒットする可能性があるとし、レナートは脚本の手直しを続けてフィラデルフィアに移行する前にさらに30分間カットした[5]

数週間、ニューヨーク外で上演され、ニューヨーク公演開幕は5回延期となった。フィラデルフィアのフォレスト・シアターとアーランガー・シアターで試験興行が行なわれた。5曲カットされ、シドニー・チャップリン演じるニックが歌うソロ「"You Are Woman"」はデュエットに書き直された。ストライサンドはケニンとは不仲のままで、キャロル・ヘイニー英語版の振付の監督としてロビンズが復帰したことを喜んだ[5]

ケニンの小説『Smash』は本作の演出時の経験を大まかに基にしている。

出演者 編集

オリジナル・ブロードウェイ (1964年) 第1回全米ツアー (1965年) オリジナル・ウェスト・エンド (1966年) オリジナル・オーストラリア (1966年) ウェスト・エンド再演 (2016年) ブロードウェイ再演 (2022年)
ファニー・ブライス バーブラ・ストライサンド マリリン・マイケルズ英語版 バーブラ・ストライサンド ジル・ペリーマン英語版 シェリダン・スミス英語版 ビーニー・フェルドスタイン
ニック・アーンスティン英語版 シドニー・チャップリン アンソニー・ジョージ英語版 マイケル・クレイグ英語版 ブルース・バリー英語版 ダリアス・キャンベル英語版 ラミン・カリムルー
ミセス・ブライス ケイ・メドフォード英語版 リリアン・ロス英語版 ケイ・メドフォード英語版 イーヴィ・ヘイズ英語版 マリリン・カッツ ジェーン・リンチ
エディ・ライアン ダニー・ミーハン ダニー・キャロル リー・アレン ビル・ユール ジョエル・モンタギュー ジャレッド・グリムス
フローレンツ・ジーグフェルド・ジュニア ロジャー・デコヴン リチャード・バック ロナルド・リー・ハント英語版 ウォルター・サリヴァン英語版 ブルース・モンタギュー英語版 ピーター・フランシス・ジェイムス英語版
ミセス・ストラコシュ ジーン・ステイプルトン ディーナ・ディートリヒ英語版 ステラ・モレイ英語版 マーガレット・クリステンセン英語版 ゲイ・ソパー英語版 トニ・ディボーノ
エマ ロイス・ウォレス英語版 イザベル・サンフォード英語版 イザベル・ルーカス英語版 テサ・マロス ナターシャ・J・バーンズ エフィ・アーディマ
トム・キーニー ジョセフ・マコーリー サム・クレセン英語版 ジャック・カニンガム ウィル・マホニー英語版 モーリス・レーン マーティン・モラン英語版
ジーグフェルド・テナー ジョン・ランクストン英語版 レイ・ロックナック デイヴィッド・ウェルドン・ウィリアムズ ギル・ダルツェル フィリップ・バーティオリ ダニエル・ビーマン
著名な代役

プロダクション 編集

ブロードウェイ 編集

プレビュー公演17回上演後、1964年3月26日、ウィンター・ガーデン・シアターにてブロードウェイ公演が開幕し[6]、マジェスティック・シアターに移行し[7]、さらにブロードウェイ・シアターに移行し、1967年7月1日、1,348回上演ののち閉幕した。ガーソン・ケニンが演出、キャロル・ヘイニー英語版ジェローム・ロビンズの監督のもとに振付を担当した。オリジナル・キャストはバーブラ・ストライサンドシドニー・チャップリンの他、ケイ・メドフォード英語版、ダニー・ミーハン、ジーン・ステイプルトン、そしてストライサンドのアンダースタディでもあったレイニー・カザンであった。公演後期、ストライサンドとチャップマンはミミ・ハインズ英語版ジョニー・デズモンド英語版に交代し、ハインズの夫でコメディ・パートナーのフィル・フォードが出演者に加わった。

ウェスト・エンド 編集

1966年4月13日、ウェスト・エンドにあるプリンス・オブ・ウェールズ・シアターにて開幕した。ローレンス・ケイシャが演出し、ストライサンドがファニー役を再演した。ストライサンドが妊娠して降板した際、アンダースタディで『ミニミニ大作戦』の監督のピーター・コリンソン英語版の妻のリサ・シェーンが後継して閉幕まで演じた。

オーストラリア 編集

1966年3月4日、シドニーにあるハー・マジェスティ・シアターにてオーストラリア公演が開幕した。ジル・ペリーマン英語版がファニー・ブライス役、ブルース・バリー英語版がニック・アーンスティン役、イーヴィ・ヘイズ英語版がブライス夫人役、ビル・ユールがエディ・ライアン役に配役された[8]

1999年、メルボルンにあるアーツ・センターにて開幕し、キャロライン・オコナー英語版ナンシー・ヘイズ英語版が主演した[9]。2016年に再演され、オコナーとヘイズが再度配役された[10]

2018年7月12日から14日、シドニー・オペラ・ハウスにてコンサート版が上演された。ファニー役は曲によってミケイラ・バナス英語版ナタリー・バシングウェイト英語版ケイシー・ドノヴァン (歌手)英語版ヴァージニア・ゲイ英語版ヴェリティ・ハント・バラード英語版デミ・イム英語版、マギー・マキナ、ザーラ・ニューマン英語版、キャロライン・オコナー、クィーニー・ヴァン・デ・ザント英語版ミーガン・ワシントン英語版が配役された。またニック・アーンスティン役はトレヴァー・アシュリー英語版、ナンシー・ヘイズ、ドン・ヘイニー英語版が配役された[11]

北米ツアー 編集

第1回全米ツアー公演ではファニー役にマリリン・マイケルズ英語版、ニック役にアンソニー・ジョージ英語版、ミセス・ブライス役にリリアン・ロス英語版が配役された。

1996年のツアーではファニー役にデビー・ギブソン、ニック役にロバート・ウェスタンバーグ英語版が配役された。1996年10月、ペンシルバニア州ピッツバーグで開幕して30都市を巡業する予定であったが、11月、ウィスコンシン州グリーンベイで早々に閉幕した[12][13][14][15][16]

2023年9月9日、2022年のブロードウェイ再演から移行したツアーがロードアイランド州プロビデンスで開幕する予定である[17]

ウェスト・エンド再演 編集

2015年、本作初の本格的な再演がメニエ・チョコレート・ファクトリーにて、11月20日にプレビュー公演が、12月2日に本公演が開幕し、2016年3月5日までの限定で上演された。シェリダン・スミス英語版がファニー役、ダリアス・キャンベル英語版がニック役に配役され、マイケル・メイヤー英語版が演出、ハーヴェイ・ファイアスタインが脚本改訂を担当した[18][19]。1日で全席完売し、メニエの最速記録を更新した。2016年4月9日、ロンドンのサヴォイ・シアターに移行し、9月10日まで上演された[20]。その絶大な人気により10月8日まで延長された[21]。2016年4月28日、スミスが体調不良で上演15分で中断した。アンダースタディのナターシャ・J・バーンズが代役となり[22]、7月8日にスミスが復帰するまで演じ続けた[23][24]

2017年2月、メニエのプロダクションがマンチェスターのパレス・シアターに移行し開幕した[25][26]。非常に評価が高く、スミスとバーンズは全英ツアー公演にも出演した[27]

パリ 編集

2019年11月、Théâtre Marignyにて開幕し、クリスティーナ・ビアンコ英語版がファニー役に配役され、スティーブン・メア英語版が演出および振付を担当した[28]。高評価を得て、ビアンコにも称賛が寄せられた。上演期間が延長され、当初の予定の倍の期間となった[29]

ブロードウェイ再演 編集

2022年、オーガスト・ウィルソン・シアターにてブロードウェイ再演が上演されることとなり、3月26日にプレビュー公演、4月24日に本公演が開幕した。ハーヴェイ・ファイアスタインの改訂脚本にてマイケル・メイヤーが演出を担当した。ビーニー・フェルドスタインがファニー役、ラミン・カリムルーがニック役、ジャレッド・グリムズがエディ役、ジェーン・リンチがミセス・ブライス役に配役された[30]。批評家からの評価は低いものが多かったが、トニー賞においてグリムズがミュージカル助演男優賞にノミネートされた[31][32][33]。2022年7月10日、フェルドスタインが9月までの予定に関わらず7月末で降板することを発表した。翌日、9月6日よりフェルドスタインの後継にリア・ミシェルが、リンチの後継にトヴァー・フェルドシャーが配役され、それまでの間、ファニー役はジュリー・ベンコが演じることが発表された[34][35]。2022年8月9日、リンチは9月までの予定に関わらず、8月14日で降板することを発表し、フェルドシャーの出演が始まるまでスタンドバイのリズ・マッカートニーがミセス・ブライス役を演じることとなった[36]

ミュージカルドラマ『glee/グリー』においてリア・ミシェル演じるレイチェル・ベリーが『ファニー・ガール』ブロードウェイ第1回再演でファニー役を獲得するストーリーに類似している[37]。ミシェルはフェルドスタインより歌唱力が優れているなど批評家からの評価が高かった[38]

その他のプロダクション 編集

2002年9月23日、ニューヨークのニュー・アムステルダム・シアターにてアクターズ・ファンドのチャリティが行なわれ、コンサート版が上演された。キャロリー・カーメロ英語版クリスティン・チェノウェスサットン・フォスター英語版アナ・ガスタイアー英語版ウーピー・ゴールドバーグジェーン・クラコウスキージュディ・クーン英語版ジュリア・マーニ―英語版ラチャンズ英語版リッキー・レイクアンドレア・マーティン英語版イディナ・メンゼルビビ・ニューワースケイ・バラード英語版アリス・プレイトン英語版リリアス・ホワイト英語版レン・キャリオージェイソン・ダニエリー英語版ピーター・ギャラガーゲイリー・ビーチロケッツなどが出演した[39][40]

地方劇団でも度々上演されている。2001年4月から5月、ニュージャージー州ミルバーンのペーパー・ミル・プレイハウスで上演され、レスリー・クリッツァー英語版ロバート・クチオリ英語版が出演した[41]。2009年3月から6月、ニューヨーク州エルムスフォードのウェストチェスター・ブロードウェイ・シアターで上演され、ジル・エイブラモヴィッツがファニー役を演じた[42]。2009年12月から2010年3月7日、イリノイ州オークブルック・テラスのドルリー・レーン・オークブルックで上演され、劇団の芸術監督ウィリアム・オーステックと共にゲイリー・グリフィン英語版が演出し、サラ・シェパードなどが出演した[43]

バーレット・シャー英語版演出による再演が、2012年1月、ロサンゼルスのアーマンソン・シアターで開幕し[44]ローレン・アンブローズがファニー役、ボビー・カナヴェイルがニック役に配役され[45]、その後2012年4月にブロードウェイに移行することが発表された[46]。しかし2011年11月3日、プロデューサーのボブ・ボイットが経済的理由による延期を発表した[47]

2016年、イスラエルで開幕したが、ファニー役の配役で議論を巻き起こした。当初、フリーランスの女優Tali Orenが配役されていたが、Beit Lessin Theatreの女優Mia Daganにオファーされた。ニック役にはAmos Tamamが配役された。

日本での公演 編集

キャスト・アルバム 編集

キャスト・アルバムについて、ストライサンドのレーベルであるコロムビア・レコードが制作を断ったため、1964年、キャピトル・レコードからリリースされた。『ビルボード』誌で最高第2位にランクインし、ゴールドディスクに認定された。1987年、キャピトル・レコードからCDがリリースされ、1992年、EMIのブロードウェイ・エンジェルからCDがリリースされた。2014年4月29日、50周年ボックスセットがリリースされ、LP、リマスターCD、48ページのオリジナル・ブロードウェイ公演の写真集が同梱された。

2022年11月18日、リア・ミシェルが出演するブロードウェイ・キャストによる新たなレコーディングがデジタル配信された[48]。ミシェルを含む出演者らはその歌唱力で称賛され、このアルバムは『ビルボード』誌のキャスト・アルバム・チャートで第1位を獲得した[49]

使用楽曲 編集

初期段階で多くの楽曲が試用され、カットされた [50]

オリジナル・プロダクション 編集

2016年、ウェスト・エンド再演 編集

2022年、ブロードウェイ再演 編集

受賞歴 編集

オリジナル・ブロードウェイ・プロダクション 編集

部門 ノミネート者 結果
1964 トニー賞 ミュージカル作品賞 ノミネート
ミュージカル主演男優賞 シドニー・チャップリン ノミネート
ミュージカル主演女優賞 バーブラ・ストライサンド ノミネート
ミュージカル助演男優賞 ダニー・ミーハン ノミネート
ミュージカル助演女優賞 ケイ・メドフォード英語版 ノミネート
振付賞 キャロル・ヘイニー英語版 ノミネート
作詞作曲家賞 ジューリー・スタイン
ボブ・メリル英語版
ノミネート
ミュージカル・プロデューサー賞 レイ・スターク ノミネート

2016年、ウェスト・エンド再演 編集

部門 ノミネート者 結果
2016 Evening Standard Theatre Award[51][52] ミュージカル・パフォーマンス賞 シェリダン・スミス英語版 ノミネート
2017 Whatsonstage.com Awards 再演ミュージカル作品賞 受賞
ミュージカル主演女優賞 シェリダン・スミス英語版 ノミネート
ミュージカル助演男優賞 ジョエル・モンタギュー ノミネート
演出賞 マイケル・メイヤー英語版 ノミネート
衣裳デザイン賞 マシュー・ライト ノミネート
ローレンス・オリヴィエ賞[53] 再演ミュージカル作品賞 ノミネート
ミュージカル主演女優賞 シェリダン・スミス英語版 ノミネート

2022年、ブロードウェイ再演 編集

部門 ノミネート者 結果
2022 トニー賞[54] ミュージカル助演男優賞 ジャレッド・グリムズ ノミネート
ドラマ・デスク・アワード[55] ミュージカル助演男優賞 ジャレッド・グリムズ ノミネート
振付賞 Ayodele Casel ノミネート
ミュージカル衣裳デザイン賞 スーザン・ヒルファーティ英語版 ノミネート
ドラマ・リーグ・アワード英語版[56] 再演ミュージカル作品賞 ノミネート
ミュージカル演出賞 マイケル・メイヤー英語版 ノミネート
演技賞 ビーニー・フェルドスタイン ノミネート
ジェーン・リンチ ノミネート

映画化 編集

1968年、ウィリアム・ワイラー監督による映画版『ファニー・ガール』が公開された。ストライサンドがファニー役を再演し、オマー・シャリフがニック役を演じた他、ケイ・メドフォード英語版がミセス・ブライス役を再演し、ウォルター・ピジョンがジーグフェルド役に配役された。ストライサンドはアカデミー主演女優賞ゴールデングローブ主演女優賞を受賞した。アカデミー作品賞を含む多くの賞にノミネートされ、1968年の映画において興行収入トップとなった。

脚注 編集

  1. ^ Beanie Feldstein-Led Funny Girl Revival Confirmed for Spring 2022 Bow”. 2023年1月28日閲覧。
  2. ^ Jane Lynch To Join Beanie Feldstein In Broadway's 'Funny Girl' Revival; Ramin Karimloo, Jared Grimes Also Cast” (英語). Deadline (2021年10月6日). 2022年3月19日閲覧。
  3. ^ “Frances Brice Stark, Hollywood Figure, 72”. The New York Times. (1992年6月4日). https://www.nytimes.com/1992/06/04/obituaries/frances-brice-stark-hollywood-figure-72.html 
  4. ^ Herman, Jan (1995). A Talent for Trouble: The Life of Hollywood's Most Acclaimed Director. New York: G.P. Putnam. ISBN 0-399-14012-3. https://archive.org/details/talentfortrouble00herm 
  5. ^ a b c d e f g h Taylor, Theodore (1979). Jule: The Story of Composer Jule Styne. New York: Random House. pp. 226–249. ISBN 0-394-41296-6 
  6. ^ “Theater"Funny Girl"; Musical Based on Life of Fanny Brice” (英語). The New York Times. (1964年3月27日). ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/1964/03/27/archives/theaterfunny-girl-musical-based-on-life-of-fanny-brice.html 2021年11月27日閲覧。 
  7. ^ Template:Cite ATT Broadway
  8. ^ AusStage”. www.ausstage.edu.au. 2020年6月18日閲覧。
  9. ^ AusStage”. www.ausstage.edu.au. 2020年6月18日閲覧。
  10. ^ AusStage”. www.ausstage.edu.au. 2020年6月18日閲覧。
  11. ^ Funny Girl – The Musical in Concert” (英語). www.sydneysymphony.com. 2020年6月18日閲覧。
  12. ^ 'Funny Girl' tour, 1996”. deb.org. 2010年1月28日閲覧。
  13. ^ “Just Don't Call Her Debbie: For Deborah Gibson, anything is still possible”. Rolling Stone. (February 10, 1997). オリジナルのOctober 14, 2008時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20081014043341/http://www.rollingstone.com/artists/deborahgibson/articles/story/5925476/just_dont_call_her_debbie. 
  14. ^ Jones, Chris (February 17–23, 1997). “Off Season: Tourers Hitting Road Blocks”. Variety: p. 73 
  15. ^ Weiskind, Ron (1996年10月3日). “'Funny Girl' Opts For Laughs Over Depth”. Pittsburgh Post-Gazette: p. F8 
  16. ^ Lefkowitz, David (1996年11月26日). “Debbie Gibson Funny Girl Tour Cancels 1996 Engagements”. Playbill. 2022年4月25日閲覧。
  17. ^ BWW, Team (2023年1月9日). “Breaking: FUNNY GIRL to Launch National Tour”. Broadway World. 2023年1月10日閲覧。
  18. ^ Gans, Andrew and Shenton, Mark. "Watch London's Funny Girl, Sheridan Smith, Sing! (Video)" Playbill, August 2015
  19. ^ Staff. "The Verdict: Read Reviews of London's Funny Girl Revival Starring Sheridan Smith" playbill.com, December 2, 2015
  20. ^ “Sheridan Smith in Funny Girl at the Savoy Theatre”. Box Office. (2015年10月30日). http://www.boxoffice.co.uk/news/sheridan-smith-in-funny-girl-at-the-savoy-theatre-1143.aspx 
  21. ^ “Funny Girl extends in the West End”. http://www.whatsonstage.com/london-theatre/news/funny-girl-extends-west-end-sheridan-smith_39654.html 
  22. ^ Natasha Barnes temporarily takes over as Fanny Brice in Funny Girl”. 2023年1月28日閲覧。
  23. ^ Producers of Funny Girl release new statement”. 2023年1月28日閲覧。
  24. ^ Viagas, Robert. "Sheridan Smith Returns to London Production of 'Funny Girl' Today" Playbill, July 8, 2016
  25. ^ Happy Birthday Lines”. 2023年1月28日閲覧。
  26. ^ Shenton, Mark " 'Funny Girl' to Launch U.K. Tour in February 2017" Playbill, June 27, 2016
  27. ^ Sheridan Smith to star in Funny Girl UK tour!”. 2023年1月28日閲覧。
  28. ^ Cappelle, Laura (2019年12月5日). “For Entertaining Musicals, Look No Further Than … Paris”. The New York Times. https://www.nytimes.com/2019/12/05/arts/paris-musicals.html 2020年2月5日閲覧。 
  29. ^ Review Roundup: Christina Bianco Earns Raves For FUNNY GIRL In Paris”. 2023年1月28日閲覧。
  30. ^ Tomeo, Marissa (2022年2月7日). “FUNNY GIRL Announces Complete Cast and Creative Team”. https://www.broadwayworld.com/article/FUNNY-GIRL-Announces-Complete-Cast-and-Creative-Team-20220207 2022年2月12日閲覧。 
  31. ^ Green, Jesse (2022年4月25日). “Review: Broadway's First 'Funny Girl' Revival Shows Why It Took So Long”. The New York Times. https://www.nytimes.com/2022/04/24/theater/funny-girl-review.html 
  32. ^ 'Funny Girl' Broadway Review: No Rain on Beanie Feldstein's Parade, but Expect Some Drizzle” (2022年4月25日). 2023年1月28日閲覧。
  33. ^ Sherman, Rachel (2022年5月9日). “Full List of the 2022 Tony Award Nominees”. The New York Times. https://www.nytimes.com/2022/05/09/theater/tony-awards-nominees.html 
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外部リンク 編集