フアン・ニカシオ

ドミニカ共和国の野球選手 (1986 - )

フアン・ラモン・ニカシオJuan Ramon Nicasio, 1986年8月31日 - )は、ドミニカ共和国ドゥアルテ州サン・フランシスコ・デ・マコリス出身のプロ野球選手投手)。右投右打。現在は、フリーエージェント(FA)。

フアン・ニカシオ
Juan Nicasio
フィラデルフィア・フィリーズ時代
(2019年4月8日)
基本情報
国籍 ドミニカ共和国の旗 ドミニカ共和国
出身地 ドゥアルテ州サン・フランシスコ・デ・マコリス
生年月日 (1986-08-31) 1986年8月31日(37歳)
身長
体重
6' 3" =約190.5 cm
230 lb =約104.3 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2006年 アマチュアFA
初出場 2011年6月6日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

愛称はアレノーソArenoso)で、由来はドゥアルテ州にある出身地(町名)である。[1]

経歴 編集

プロ入りとロッキーズ時代 編集

 
コロラド・ロッキーズ時代
(2014年5月18日)

2006年8月21日にコロラド・ロッキーズと契約してプロ入り。契約後、傘下のルーキー級ドミニカン・サマーリーグ・ロッキーズでプロデビュー。8試合(先発5試合)に登板して2勝1敗、防御率2.89、24奪三振を記録した。

2007年パイオニアリーグのルーキー級キャスパー・ゴースツでプレーし、13試合(先発8試合)に登板して0勝3敗、防御率4.36、33奪三振を記録した。

2008年はA-級トリシティ・ダストデビルズ英語版でプレーし、12試合に先発登板して2勝4敗、防御率4.50、61奪三振を記録した。

2009年はA級アッシュビル・ツーリスツでプレーし、18試合に先発登板して9勝3敗、防御率2.41、115奪三振を記録した。オフの11月20日にロッキーズとメジャー契約を結び[2]40人枠入りした。

2010年3月5日にロッキーズと1年契約に合意。この年はA+級モデスト・ナッツでプレーし、28試合に先発登板して12勝10敗、防御率3.91、171奪三振を記録した。

2011年3月3日にロッキーズと1年契約に合意。3月14日にAA級タルサ・ドリラーズへ配属され[3]、開幕を迎えた。5月28日にメジャーへ昇格し[4]、同日のセントルイス・カージナルス戦でメジャーデビュー。7回無失点で初登板初勝利を挙げた。以後、先発の一角に定着していたが、8月5日のワシントン・ナショナルズ戦でイアン・デズモンドの放ったライナーが直撃し、椎骨を骨折する重傷を負った。即座に手術を受け、残りのシーズンを欠場することとなった[5]。この年メジャーは13試合に先発登板して4勝4敗、防御率4.14、58奪三振を記録した。

2012年は監督であるジム・トレーシーや主砲のカルロス・ゴンザレスが「奇跡」と表現するほどの驚異的な回復を見せ[6]、開幕に間に合わせた。しかし、6月2日のロサンゼルス・ドジャース戦で投ゴロを捌いた際に膝を痛めて故障者リスト入り。翌月になって関節鏡視下手術を受け、2年連続で怪我により早期にシーズンを終える結果となってしまった[7]。この年は11試合に先発登板して2勝3敗、防御率5.28、54奪三振を記録した[8]

2013年3月5日にロッキーズと1年契約に合意[9]。開幕後は先発ローテーションに定着したが、5月19日に4勝目を挙げて以来、1ヶ月以上勝ち星に恵まれず、6月28日にAAA級コロラドスプリングス・スカイソックスへ降格[10]。7月12日にメジャーへ再昇格した[10]。この年は31試合に先発登板して9勝9敗、防御率5.14、119奪三振を記録した[8]

2014年1月17日にロッキーズと1年契約に合意[11]。前年と同様に開幕から先発ローテーションに加わったが、5月下旬から3試合連続で大量失点を喫するなど、不調が続いたため、6月16日にAAA級コロラドスプリングスへ降格した[10]。降格後は先発として登板していたが、7月からリリーフへ転向。8月7日にリリーフとしてメジャーへ再昇格した[10]。昇格後はリリーフとして定着し、19試合に登板した。この年は33試合(先発14試合)に登板して6勝6敗、防御率5.38、63奪三振を記録した。オフの11月20日にDFAとなった[10]

ドジャース時代 編集

2014年11月24日に後日発表選手[12]とのトレードで、ドジャースへ移籍した[13]

2015年リリーフに転向し、先発登板したのは53試合中1試合だけだった。1勝3敗1セーブ・防御率3.86という成績を記録したが、四球を大量に与えた為、WHIPは1.56と高かった。ただ、58.1イニングで許したホームランは1本のみ、投球イニングを超える65個の三振を奪って自己ベストの奪三振率10.0をマークするなど、成長した面も多く見せた。オフの12月2日にノンテンダーFAとなった[14]

パイレーツ時代 編集

 
ピッツバーグ・パイレーツ時代
(2017年6月7日)

2015年12月10日にピッツバーグ・パイレーツと1年契約を結んだ[15]

2016年は先発とリリーフの両輪に戻り、40試合でリリーフ・12試合で先発登板した。防御率4.50・チーム唯一の二桁勝利となる[16]10勝7敗・WHIP1.37という、まずまずのピッチングを見せた。また、前年に開花した奪三振能力の面では、118.0イニングで138奪三振を記録して自己ベストの奪三振率10.5をマークし、引き続き証明した。

2017年は移籍までに65試合にリリーフ登板し、2勝5敗2セーブ、防御率2.85と好投していた[8]

フィリーズ時代 編集

2017年8月31日にウェイバー公示を経てフィラデルフィア・フィリーズへ移籍した[17]。フィリーズでは僅か5日間の所属で、2試合のリリーフ登板に留まった[10][8]

カージナルス時代 編集

2017年9月6日にエリザー・アルバレス英語版とのトレードで、セントルイス・カージナルスへ移籍した[18]。カージナルスでは9試合リリーフ登板で3勝4セーブ・防御率1.64であった。このシーズンは初めてリリーフに専念した年となり、リーグ最多の76試合登板で5勝5敗6セーブ・防御率2.61という好成績を挙げた[10]。オフの11月2日にFAとなった[19]

マリナーズ時代 編集

2017年12月20日にシアトル・マリナーズと2年1700万ドルで契約を結んだ[20]

マリナーズでは46試合に登板して1勝6敗、防御率6.00という成績に終わった。

フィリーズ復帰 編集

2018年12月3日にカルロス・サンタナJ.P.クロフォードとのトレードでジーン・セグラジェームズ・パゾスと共にフィリーズへ移籍した[21]

2019年のオフにFAとなった[22]

レンジャーズ時代 編集

2020年1月22日にテキサス・レンジャーズとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[10]。8月14日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[23]。オフの10月28日にFAとなった[10]

投球スタイル 編集

93~95mph(最速97mph)のフォーシームが全投球の約2/3、平均84mphのスライダーが約1/4を占め、チェンジアップは主に左打者に対して用いる。2011年はツーシームも1割程度投げていたが、2012年はフォーシーム1本となっている(※データは2012年のPITCHf/x[24][25]

詳細情報 編集

年度別投手成績 編集





















































W
H
I
P
2011 COL 13 13 0 0 0 4 4 0 0 .500 299 71.2 73 8 18 3 1 58 1 0 35 33 4.14 1.27
2012 11 11 0 0 0 2 3 0 0 .400 257 58.0 72 7 22 1 1 54 4 0 37 34 5.28 1.62
2013 31 31 0 0 0 9 9 0 0 .500 703 157.2 168 17 64 7 5 119 6 2 97 90 5.14 1.47
2014 33 14 0 0 0 6 6 0 1 .500 409 93.2 107 19 31 1 1 63 3 1 59 56 5.38 1.47
2015 LAD 53 1 0 0 0 1 3 1 14 .250 260 58.1 59 1 32 6 1 65 1 0 25 25 3.86 1.56
2016 PIT 52 12 0 0 0 10 7 0 6 .588 513 118.0 117 15 45 3 7 138 3 0 64 59 4.50 1.37
2017 65 0 0 0 0 2 5 2 22 .286 243 60.0 49 4 18 2 2 60 1 0 20 19 2.85 1.12
PHI 2 0 0 0 0 1 0 0 0 1.000 4 1.1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0.00 0.00
STL 9 0 0 0 0 2 0 4 0 1.000 44 11.0 9 1 2 0 0 11 0 0 2 2 1.64 1.00
'17計 76 0 0 0 0 5 5 6 22 .500 291 72.1 58 5 20 2 2 72 1 0 22 21 2.61 1.08
2018 SEA 46 0 0 0 0 1 6 1 19 .143 183 42.0 53 6 5 0 2 53 0 0 30 28 6.00 1.38
2019 PHI 47 0 0 0 0 2 3 1 10 .400 217 47.1 57 4 21 5 2 45 0 1 27 25 4.75 1.65
2020 TEX 2 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 11 1.1 5 1 2 0 0 1 0 0 6 6 40.50 5.25
MLB:10年 364 82 0 0 0 40 46 9 72 .465 3143 720.1 769 83 260 28 22 668 20 4 402 377 4.71 1.43
  • 2020年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

年度別守備成績 編集



投手(P)












2011 COL 13 5 15 1 1 .952
2012 11 5 6 0 0 1.000
2013 31 9 15 0 1 1.000
2014 33 6 11 1 0 .944
2015 LAD 53 5 7 1 0 .923
2016 PIT 52 10 12 1 1 .957
2017 65 4 7 1 1 .917
PHI 2 0 0 0 0 ----
STL 9 0 1 0 0 1.000
'17計 76 4 8 1 1 .923
2018 SEA 46 0 2 0 0 1.000
2019 PHI 47 4 7 1 0 .917
2020 TEX 2 0 0 0 0 ----
MLB 364 48 83 6 4 .956
  • 2020年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

背番号 編集

  • 44(2011年 - 2013年途中)
  • 12(2013年途中 - 2017年8月30日、2017年9月6日 - 2019年)
  • 58(2017年9月1日 - 9月5日)
  • 40(2020年)

脚注 編集

  1. ^ Adam Berry (2017年8月25日). “Pirates Players Weekend nicknames explained” (英語). MLB.com. 2017年9月26日閲覧。
  2. ^ "Colorado Rockies November 20 Transactions" (Press release) (英語). MLB.com (Colorado Rockies). 20 November 2009. 2014年12月29日閲覧
  3. ^ "Rockies Transactions for March 14" (Press release) (英語). MLB.com (Colorado Rockies). 14 March 2011. 2014年12月29日閲覧
  4. ^ "Rockies Option RHP Bruce Billings to Triple-A Colorado Springs, Recall RHP Juan Nicasio from Double-A Tulsa" (Press release) (英語). MLB.com (Colorado Rockies). 28 May 2011. 2014年12月29日閲覧
  5. ^ Nicasio’s Neck Is Mended, His Mind Is At Ease CBS Denvor
  6. ^ Juan Nicasio's amazing comeback ESPN
  7. ^ Colorado Rockies' Juan Nicasio (knee) likely out for season ESPN
  8. ^ a b c d Baseball-Reference参照。2017年12月21日閲覧。
  9. ^ "Rockies transactions for March 5, 2013". MLB.com (Colorado Rockies) (Press release) (英語). 5 March 2013. 2017年12月21日閲覧
  10. ^ a b c d e f g h i MLB公式プロフィール参照。2020年11月17日閲覧。
  11. ^ "Rockies avoid arbitration with RHP Juan Nicasio and OF Drew Stubbs". MLB.com (Colorado Rockies) (Press release) (英語). 18 January 2014. 2014年12月29日閲覧
  12. ^ 同年12月16日にノエル・クエバスがロッキーズへ移籍した。
  13. ^ "Dodgers acquire pitcher Juan Nicasio from Colorado" (Press release) (英語). MLB.com (Los Angeles Dodgers). 25 November 2014. 2016年3月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年12月21日閲覧
  14. ^ Eric Stephen (2015年12月2日). “Dodgers non-tender Juan Nicasio, Lisalverto Bonilla” (英語). SB Nation. 2016年5月19日閲覧。
  15. ^ Bill Brink (2015年12月10日). “Pirates sign righty Juan Nicasio to 1-year deal” (英語). Pittsburgh Post-Gazette. 2017年9月1日閲覧。
  16. ^ 2016 Pittsburgh Pirates Pitching Statistics” (英語). Baseball-Reference.com. 2016年12月15日閲覧。
  17. ^ Patrick Pinak (2017年8月31日). “Phillies claim Nicasio off waivers from Pirates” (英語). MLB.com. 2017年12月21日閲覧。
  18. ^ Jenifer Langosch (2017年9月6日). “Cards add reliever Nicasio for final stretch” (英語). MLB.com. 2017年12月21日閲覧。
  19. ^ Key free agents for all 30 MLB teams MLB.com (英語) (2017年11月5日) 2017年12月27日閲覧
  20. ^ Greg Johns (2017年12月20日). “Mariners finalize two-year deal with Nicasio” (英語). MLB.com. 2017年12月21日閲覧。
  21. ^ マリナーズが大型トレード 内野手のセグラら放出”. 産経ニュース (2018年12月4日). 2019年2月22日閲覧。
  22. ^ Thomas Harrigan, Manny Randhawa and Paul Casella (2019年11月8日). “Here are every team's free agents this winter” (英語). MLB.com. 2019年12月2日閲覧。
  23. ^ Jeff Todd (2020年8月14日). “Rangers Select Juan Nicasio; Greg Bird Elects Free Agency” (英語). MLB Trade Rumors. 2020年8月15日閲覧。
  24. ^ Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Player Card: Juan Nicasio
  25. ^ Pirates Prospects » Exploring the Arsenal: Previewing the Rockies’ Probable Starting Pitchers

関連項目 編集

外部リンク 編集