フォード・レンジャー (Ford Ranger) は、フォード・モーターが販売しているミッドサイズピックアップトラックである。

概要 編集

大きく分けて、北米南米の一部諸国で販売されているタイプと、オセアニアアジアヨーロッパの一部諸国で販売されているタイプの2種類がある。前者はシングルキャブのみのラインナップである。また、フォード・エクスプローラーなどと車台を共用している。1994年以降、北米で発売されるマツダ・プロシード(北米ではマツダ・Bシリーズと呼ばれる)は、フォード・レンジャーからのOEM車となっている。後者は、逆に、マツダと合弁生産するマツダ・BT-50の兄弟車であり、シングルキャブに加えてダブルキャブ仕様もある。廉価で比較的コンパクトなピックアップトラックであるため、アメリカでは学生などに人気がある。また、警察空港の作業車に使われていることも非常に多い。

北米・南米版 編集

初代(1983年~1988年) 編集

フォード・レンジャー(初代)
 
初代
ボディ
ボディタイプ 2ドアピックアップトラック
駆動方式 FR
4WD
パワートレイン
エンジン 2.0L 直4
2,2L 直4(ディーゼルエンジン
2.3L 直4
2.3L 直4(ディーゼルエンジン)
2.8L V6
2.9L V6
変速機 4MT
5MT
3AT
4AT
車両寸法
ホイールベース 2741mm
2893mm
3175mm
全長 4460mm
4765mm
4895mm
全幅 1699mm
全高 1623mm
1626mm
1659mm
1699mm
1730mm
系譜
先代 フォード・クーリエ
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フォード・クーリエの後継として登場。「レンジャー」は、以前は上級車種のFシリーズのグレードの名前であった。この初代のみディーゼルエンジン搭載車や、三菱自動車製ディーゼルターボエンジンを搭載するものあった。日本メーカーのトヨタ・トラック(トヨタ・ハイラックス)や日産・ハードボディトラック(日産・ダットサントラック)などとそれほど大きさが変わらない、コンパクトなピックアップトラックであった。また、これをベースにしたSUVブロンコII1984年モデルで登場した。

2代目(1989年~1992年) 編集

フォード・レンジャー(2代目)
 
2代目
ボディ
ボディタイプ 2ドアピックアップトラック
駆動方式 FR
4WD
パワートレイン
エンジン 2.3L 直4
2.9L V6
3.0L V6
4.0L V6
変速機 5MT
4AT
車両寸法
ホイールベース 2741mm
2893mm
3175mm
全長 4483mm
4788mm
4917mm
全幅 1697mm
全高 1615mm
1638mm
1715mm
1717mm
1732mm
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初代のシャーシを流用。ディーゼル車は廃止された。同時に2代目になったSUV版のブロンコIIはわずか2年で販売が打ち切られたが、レンジャーは生産、販売が続けられた。このレンジャーをベースに、エクスプローラーなどが登場する。

3代目(1993年~1997年) 編集

フォード・レンジャー(3代目)
 
3代目
ボディ
ボディタイプ 2ドアピックアップトラック
駆動方式 FR
4WD
パワートレイン
エンジン 2.3L 直4
3.0L V6
4.0L V6
変速機 5MT
4AT
5AT
車両寸法
ホイールベース 2741mm
2893mm
3180mm
3185mm
全長 4641mm
4681mm
4986mm
5034mm
全幅 1763mm
全高 1598mm
1600mm
1623mm
1628mm
1641mm
1712mm
1715mm
1717mm
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やや大型化し、デザインは少し丸みを帯びる。1994年モデルで、北米で販売されていたマツダ・Bシリーズ(マツダ・プロシード)は、この3代目レンジャーのOEMに変わった。

4代目(1998年~2011年) 編集

フォード・レンジャー(4代目)
 
4代目(1998年2000年
 
4代目(2001年2005年
 
4代目(2006年2011年
ボディ
ボディタイプ 2ドアピックアップトラック
駆動方式 FR
4WD
パワートレイン
エンジン 2.3L 直4
2.5L 直4
3.0L V6
4.0L V6
変速機 5MT
4AT
5AT
車両寸法
ホイールベース 2835mm
2987mm
3198mm
全長 4788mm
5093mm
5154mm
全幅 1786mm
全高 1735mm
1763mm
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10年以上に渡って生産された息の長いモデルで、途中、数回のフェイスリフトを受けている。また、北米仕様のマツダ・Bシリーズも同時にモデルチェンジした。そして、1998年2002年まで、このレンジャーを電気自動車にした、「レンジャーEV」が1500台限定で生産されていた。ライバルが4ドアのクルーキャブ仕様を導入する中、レンジャーは最後まで4ドアをラインナップしてこなかった。2011年に生産終了。

5代目(2019年~) 編集

フォード・レンジャー(5代目)
 
5代目 スーパーキャブ
 
5代目 スーパークルー
ボディ
乗車定員 5名[1]
ボディタイプ 2ドアピックアップトラック
4ドアピックアップトラック
駆動方式 FR
4WD
パワートレイン
エンジン 2.3L 直4
最高出力 2.3L I4 EcoBoost
201 kW (273 PS) / 5,500 rpm[1]
最大トルク 2.3L I4 EcoBoost
420 N・m / 3,000 rpm[1]
変速機 10AT
車両寸法
ホイールベース 3220-3226mm
全長 5110-5398mm
全幅 1849-2028mm
全高 1703-1803mm
車両重量 1919kg[1]
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北米から撤退していた間に、アジア市場を中心に販売が好調であったため、北米・南米版、そしてオセアニア・アジア・ヨーロッパ版の後継車種となるグローバル・モデルとして新たに開発。2019年から北米で生産を再開、パワートレインは「エコブースト」エンジンの直列4気筒2.3L版とロックアップ機構付10ATを搭載し、ボディータイプもレギュラーキャブ、エクステンドキャブ、ダブルキャブの3タイプがラインアップ。

北米以外のマーケットでは、オーストラリアを含むオセアニアやイギリス向けにタイ製のディーゼル・エンジンを搭載したモデルが輸出されている。 またヨーロッパ市場では、ディーゼル・エンジンのRanger Raptorが発売されるが、北米市場でのRaptorは生産・販売は未定。また、当車を基にブロンコが復活し、フォルクワーゲンとの提携の結果フォルクスワーゲン・アマロックとしてOEM供給も行われる。

オセアニア・アジア・ヨーロッパ版 編集

マツダ・Bシリーズの姉妹車として販売されていたフォード・クーリエが名称変更する形で1998年に登場。現在はマツダ・BT-50の姉妹車であり、シャーシ、エンジンなどを共有する。

脚注 編集

  1. ^ a b c d 森本太郎 編『世界の自動車オールアルバム 2020年』三栄書房、2020年8月8日、199頁。ISBN 978-4-7796-4170-1 

関連項目 編集

外部リンク 編集