フヨウ属、芙蓉属(フヨウぞく; Hibiscus)はアオイ目アオイ科の植物群。 北半球各地の熱帯亜熱帯、一部の温帯に分布し、原種(野生種)は約250種。1年草、2年草、多年草の草本から、低木、高木まで様々である。その多くは、食用、繊維用、観賞用などとして栽培される。なお、英名 Hibiscus は属名であり、またそこに属する種の総称であるが、日本語「ハイビスカス」はより狭い意味で用いられることが多い[注釈 1]

フヨウ属
分類APG III )
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物門 Magnoliophyta
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : 真正バラ類II eurosid II
: アオイ目 Malvales
: アオイ科 Malvaceae
: フヨウ属 Hibiscus
学名
Hibiscus L.1758
タイプ種
Hibiscus syriacus
シノニム
英名
Hibiscus

本文参照

英語では種によって hibiscusrosemallow などの名が使われるほか、会話などでは、別属タチアオイと区別をせずに hollyhock と呼ぶ場合も多い。

概要 編集

 
フヨウ
 
ムクゲ
 
ハイビスカス・ティー(乾燥したローゼルの花)

アオイ科の落葉低木で、約200種が知られている。花弁は5枚。花は両性で放射相称を呈する。朝に花が開き、夕方にはしぼんで、次の朝には開くというかたちで開花する。の形は変化に富む。フヨウ属に属する観賞植物フヨウムクゲブッソウゲなどがあり、絵文字では🌺で表される。

主な種 編集

主な種は以下のとおり。

ハワイのハイビスカス 編集

ハワイ諸島は“ハイビスカス”の改良の中心で、9種の野生種があり、野生種のほかブッソウゲやフウリンブッソウゲなどと導入したハイビスカス類が20世紀初頭から互いに交配され、5,000にのぼるといわれる多数の品種が生まれた[1]。詳細は英語版 Hawaiian hibiscus を参照されたい。

その他 編集

ハイビスカス・ティー 編集

アフリカ原産の Hibiscus sabdariffa、すなわちローゼル英語: roselle)は、 花や果実(正確には肥大した)をハーブティー(いわゆるハイビスカス・ティー)に利用する。他のハーブとブレンドされることも多い。ティーは赤く、酸味があり、ビタミンCが豊富であるとされる。

画像 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 園芸上でいう「ハイビスカス」は、ブッソウゲのほか数種と、これらの複雑な交配により育成された多数の品種をさしている。松岡(2004)

出典 編集

参考文献 編集

  • 松岡清久 著「ハイビスカス」、小学館 編『日本大百科全書』小学館〈スーパーニッポニカProfessional Win版〉、2004年2月。ISBN 4099067459 
  • 湯浅浩史 著「ハイビスカス-文化史」、小学館 編『日本大百科全書』小学館〈スーパーニッポニカProfessional Win版〉、2004年2月。ISBN 4099067459 
  • 立花吉茂「ハイビスカスの謎」『植物屋のこぼれ話』淡交社、1990年5月。ISBN 4473011461