フラッシュ・ロック(Flash_lock)は、水運用河川および運河のロックゲートの一種。

1786年ごろのウィッチチャーチ=オン=テムズ英語版パンボーン英語版の間のテムズ川にあったフラッシュ・ロックのスケッチ。を超えてを巻き上げる方法を示している。ステーンズ・アポン・テムズ英語版より上流のテムズ川でフラッシュ・ロックはありふれたものであった。

初期の閘門ではこのフラッシュ・ロックと呼ばれる単一の水門が用いられた。ヨーロッパではローマ時代の文献でフラッシュ・ロックに言及したものがある[1]

解説 編集

 
ハーレイ英語版の近くに残るキャプスタン・ホイール英語版。フラッシュ・ロックを超えて上流に進むボートを巻き上げるのに用いられた。イングランドに残る唯一のものと言われており、1999年に修復された。
 
テムズ川のパドル・ライマー堰
 
ノースムア水門英語版で使うために保管されているパドル

フラッシュ・ロックは堰に小さな裂け目を作り、それを素早く開けたり閉めたりするものである。イングランドのテムズ川では、裂け目にライマーと呼ばれる垂直な柱を立てて、これにパドルと呼ばれる裂け目を塞ぐ板を置いていた。

裂け目が開けられると、水がどっと流れ出し、下る方向の船が水流によって引き出され、逆に上る方向の船は人が引っ張ったりウィンチを使ったりして流れに逆らって上った。船が通過すると裂け目はすぐに塞がれた。これは、奔流を作り出して岸に乗り上げている船を離岸させるためにも使われ、その名前の由来となった。

この仕組みは特に古代の中国でよく使われ、世界中の他の多くの地域でも見られた。しかしこの方法は危険で、多くの船が奔流によって沈んでしまった。この方法では必然的に堰の上流の水位の低下をもたらすために、水流に頼っていた製粉業者にとっては不評であった。これは法的にも物理的にも、川の流れを船の航行に使いたい側と製粉に使いたい側とで紛争を引き起こし、水が不足すると河川航行は停止されることになった。中国やイングランドでは、主としてこの紛争が原因で、少ない水の消費で航行ができるパウンド・ロックが適用されることになった。

開発 編集

パドルとライマーの堰 編集

脚注 編集

  1. ^ http://oxrep.classics.ox.ac.uk/new/index.php?t=13&pg=47 Paper presented to conference of Oxford Roman Economy Project, 9 May 2009

文献 編集

  • McKnight, Hugh (1981). Shell Book of Inland Waterways. David and Charles. ISBN 978-0-7153-8239-4 
  • Nicholson (2006). Nicholson Guide Vol 7 - River Thames & the Southern Waterways. Harper Collins. ISBN 978-0-00-721115-9