フレットナー・ローター子弾

フレットナー・ローター子弾は、アメリカ合衆国生物兵器の子弾である。これは量産に移行しなかった。本弾薬はマグナス効果を利用した直立形状のフレットナー・ローターを基にしており、気流の中で本体が回転すると推進力が働く。これは1960年代、アメリカ合衆国生物兵器計画の末期に開発された。

フレットナー・ローター子弾はアメリカ陸軍の制式にはならなかった弾薬である。

経緯 編集

フレットナー・ローター生物兵器子弾は、1960年代にアメリカ陸軍により試験生産されたクラスター爆弾の子弾である[1]。この頃にはアメリカの生物兵器計画は終期に近かった[2]。この兵器が制式化や量産されたことはなかった[3]。微生物学者・生物兵器設計者であるウィリアム・C・パトリック三世の1995年の発言では、「フレットナー・ローターはおそらく、微生物散布のためのより良好な装置の一種」だった[4]

構造 編集

フレットナー・ローターは長さ7インチで翼が付いている[1]。液体もしくは乾燥状態の病原体を運ぶことができ、ミサイルの弾頭やクラスター爆弾、ディスペンサーなどの子弾として使用できるよう設計されている[1]。目標地域へ飛翔する際、フィンもしくは翼は遠心力によって展張するよう設計されており、子弾を安定させる[1]。フレットナー・ローターの滑空角度は44度である[2]。フレットナー・ローターは、単機のB-52が20,000平方kmの領域を病原菌で覆うことを可能とした[2]

フレットナー・ローターは遅動散布技術(DADT)信管を利用した。このタイプの信管は2種の機能を持つ。第一の機能は、特定の環境条件に会った時や、いじられた際に、内蔵式の信管がガス排出システムを作動させられることである[2]。またこのDADT信管は、もし子弾が設計どおりに病原体を振りまくことに失敗した時、3日後に自爆する[2][1]。自爆機構を組み込んだ信管は、通常の信管よりもかなり高価な物である[2]

関連項目 編集

参考文献 編集

  1. ^ a b c d e Eitzen, Edward M. Medical Aspects of Chemical and Biological Warfare: Chapter 20 - Use of Biological Weapons, (PDF: p. 5), Borden Institute, Textbooks of Military Medicine, PDF via Maxwell-Gunter Air Force Base, accessed November 16, 2008.
  2. ^ a b c d e f Kirby, Reid. "The CB Battlefield Legacy: Understanding the Potential Problem of Clustered CB Weapons Archived 2012-10-19 at the Wayback Machine.", Army Chemical Review, pp. 25–29, July-December 2006, accessed November 16, 2008.
  3. ^ Croddy, Eric and Wirtz, James J. Weapons of Mass Destruction: An Encyclopedia of Worldwide Policy, Technology, and History, (Google Books), ABC-CLIO, 2005, p. 304, (ISBN 1-85109-490-3), accessed November 13, 2008.
  4. ^ U.S. Public Health Service, Office of Emergency Preparedness, "Proceedings of the Seminar Responding to the Consequences of Chemical and Biological Terrorism", Uniformed Services University of Health Sciences, Bethesda, Md; July 11–14, 1995, p. 70, via LSU Law Center's Medical and Public Health Law Site, accessed November 16, 2008.