ブロウイン・ユア・マインド

ヴァン・モリソンのアルバム

ブロウイン・ユア・マインド』(原題:Blowin' Your Mind!)は、北アイルランド出身のシンガーソングライター、ヴァン・モリソン1967年に発表した、ソロ名義では初のスタジオ・アルバム

ブロウイン・ユア・マインド
ヴァン・モリソンスタジオ・アルバム
リリース
録音 1967年3月28日 - 29日 ニューヨーク A&Rレコーディング・スタジオ[1][2]
ジャンル ロックブルー・アイド・ソウル
時間
レーベル バング・レコード
レガシー・レコーディングス(リマスターCD)
プロデュース バート・バーンズ英語版
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 182位(アメリカ[3]
  • ヴァン・モリソン アルバム 年表
    ブロウイン・ユア・マインド
    (1967年)
    アストラル・ウィークス
    (1968年)
    テンプレートを表示

    背景 編集

    モリソンはゼム脱退後、一時的に音楽活動を停止するが、ゼム時代にも共同作業をしていたプロデューサー、バート・バーンズ英語版がニューヨークで設立した「バング・レコード」とシングル4枚分の契約を交わし、それを機に活動の拠点をアメリカに移した[4]。そして、1967年3月28日から29日の2日間、4トラックマルチトラック・レコーダーを使用してレコーディングが行われた[1][2]。1994年に本作のリマスターを行ったボブ・アーウィンによれば、全編ともスタジオ・ライヴ形式で録音されたという[2]。なお、クレジットには明記されていないが、28日のセッションではシシー・ヒューストン英語版ディー・ディー・ワーウィック英語版マーナ・スミス英語版が一部の曲にバック・コーラスで参加し、29日のセッションにはエリック・ゲイル(ギター)が参加したとされている[5]。「グッドバイ・ベイビー」は、バーンズが以前ソロモン・バークに提供した曲のカヴァーである[6]

    本作に先がけてリリースされたシングル「ブラウン・アイド・ガール」は、全米10位の大ヒット作となった[3][4]。そしてモリソンはアメリカ・ツアーを開始するが、バーンズはモリソンの許可なしに本アルバムを発売し、モリソンとの軋轢を生むこととなった[4]。なお、モリソンは本作のサイケデリック・ロック風のジャケット・デザインも嫌っており、ジャケットを初めて見た時「吐きそうになった」という[7]

    反響・評価 編集

    シングル「ブラウン・アイド・ガール」の成功に反して、本作はセールス的に大きな成功を収められず、アメリカのBillboard 200では182位に終わった[3]

    William Rulhmannはオールミュージックにおいて5点満点中3点を付け「不朽のポップ・ヒット"Brown Eyed Girl"の収録作品として記憶されているが、『ブロウイン・ユア・マインド』は、実質的には彼の傑作『アストラル・ウィークス』へ向けての予行演習である」と評している[8]。2017年には、『ローリング・ストーン』誌によって「1967年の必聴アルバム50」(選者はデヴィッド・フリックとロバート・クリストガウ)の一つに選ばれた[9]

    収録曲 編集

    特記なき楽曲はヴァン・モリソン作。

    1. ブラウン・アイド・ガール - "Brown Eyed Girl" – 3:06
    2. ヒー・エイント・ギヴ・ユー・ナン - "He Ain't Give You None" – 5:16
    3. T.B.シーツ - "T.B. Sheets" – 9:47
    4. スパニッシュ・ローズ - "Spanish Rose" – 3:09
    5. グッドバイ・ベイビー - "Goodbye Baby (Baby Goodbye)" (Bert Berns, Wes Farrell) – 3:00
    6. ロ・ロ・ロージー - "Ro Ro Rosey" – 3:06
    7. フー・ドローヴ・ザ・レッド・スポーツ・カー - "Who Drove the Red Sports Car" – 5:36
    8. ミッドナイト・スペシャル - "Midnight Special" (Traditional / Arranged by B. Berns) – 3:01

    1994年リマスターCDボーナス・トラック 編集

    1. スパニッシュ・ローズ(オルタネイト・テイク) - "Spanish Rose" – 3:40
    2. ロ・ロ・ロージー(オルタネイト・テイク) - "Ro Ro Rosey" – 3:12
    3. グッドバイ・ベイビー(オルタネイト・テイク) - "Goodbye Baby (Baby Goodbye)" (B. Berns, W. Farrell) – 2:42
    4. フー・ドローヴ・ザ・レッド・スポーツ・カー(オルタネイト・テイク) - "Who Drove the Red Sports Car" – 3:51
    5. ミッドナイト・スペシャル(オルタネイト・テイク) - "Midnight Special" (Traditional / Arranged by B. Berns) – 2:46

    脚注・出典 編集

    1. ^ a b Van Morrison - Blowin' Your Mind! (CD, Album) at Discogs - リマスターCDの情報
    2. ^ a b c 1999年再発CD (ESCA-7742)ライナーノーツ(ボブ・アーウィン/訳:内田久美子)
    3. ^ a b c Van Morrison - Awards”. AllMusic. 2016年6月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年10月2日閲覧。
    4. ^ a b c Van Morrison Bio”. Rolling Stone. 2017年10月2日閲覧。
    5. ^ Selvin, Joel (2014). Here Comes the Night: The Dark Soul of Bert Berns and the Dirty Business of Rhythm and Blues. Counterpoint. p. 399. ISBN 9781619023789  Google Books参照
    6. ^ Bert Berns » Album » Van Morrison”. bertberns.com. 2017年10月2日閲覧。
    7. ^ DeGroot, Joey (2014年11月23日). “8 Album Covers That the Artists Hate: The Beatles, Pink Floyd, and More”. Music Times. 2017年10月2日閲覧。
    8. ^ Ruhlmann, William. “Blowin' Your Mind! - Van Morrison”. AllMusic. 2017年10月2日閲覧。
    9. ^ Van Morrison, 'Blowin' Your Mind!' - 50 Essential Albums of 1967”. Rolling Stone (2017年9月19日). 2017年10月2日閲覧。