プロトタキシーテス(Prototaxites)は、シルル紀からデボン紀にかけて生息していたとされる大型の陸生菌類である。最大で幹の直径が1 メートル、高さは8 メートルに達し、脊椎動物が陸上に進出していなかった生息当時には植物を超える最も大きな陸上生物であったと考えられている。

プロトタキシーテス Prototaxites
1888年のドーソンによる図
分類
: 菌界 fungi
: プロトタキシーテス Prototaxites

概要 編集

 
顕微鏡写真

1859年に化石を発見したカナダ古生物学者ジョン・ウィリアム・ドーソン針葉樹の一種と考えたが、この時代の植物としては並外れた大きさに疑問を指摘する研究者も多く、藻類地衣類とも考えられていた[1]。菌類ではないかとの説は、1919年に初めて示されている[2]

2001年、アメリカ国立自然史博物館は20年に及ぶ研究を経て、プロトタキシーテスは菌類であるとした[2]。これは形態学的な研究によるもので否定的あるいはごく懐疑的な意見もあったが、2007年のシカゴ大学などのチームによる分析では炭素同位体の組成が、化石のプロトタキシーテスと同時代の植物とでは大きく異なっていることがわかった[3]。これはプロトタキシーテスが光合成による栄養でなく、周辺に存在する有機物の基質を分解利用する消費者であったことを示している。

下位分類 編集

  • P. loganii
  • P. southworthii

脚注 編集

  1. ^ Randy Boswell, National Post, Baffling prehistoric giant identified as towering fungus, April 24, 2007. Retrieved April 26, 2007
  2. ^ a b University of Chicago, EurekaAlert!, Prehistoric mystery organism verified as giant fungus, 2007-04-23. Retrieved 2007-04-24.
  3. ^ Boyce, C. Kevin; Hotton et. al., Carol L. (May 2007), “Devonian landscape heterogeneity recorded by a giant fungus”, Geology 35 (5): 399–402, http://www.gsajournals.org/perlserv/?request=get-pdf&doi=10.1130%2FG23384A.1 

参考文献 編集

  • 細矢剛責任編集、『菌類のふしぎ-形とはたらきの驚異の多様性』、(2008)、国立科学博物館

外部リンク 編集