ベッドフォード・VALBedford VAL)は、イギリスベッドフォード1960年代半ばから1970年代初めまで製造されたコーチ(coach)用シャーシである。当時としては珍しい多軸バス(multi-axle)であり、前2軸操舵を備える「チャイニーズ・シックス」("chinese six")と呼ばれる計画の車両であった。

ベッドフォード・VAL
プラクストン (Plaxton) 製のボディを架装したベッドフォード・VAL14
諸元
フロア ワンステップ
ドア数 1ドア
保存されているプラクストン社製ボディのVAL14 コーチ
1970年製デュプル・ヴァイスロイ ボディのVAL70

元々はレイランド社製O.400 直列6気筒 ディーゼルエンジンを搭載し、このモデルはVAL14と呼ばれた。

1963年から1966年にかけて900台以上のVAL14が製造され、その最大の発注主はリーズのウォレス・アーノルド(Wallace Arnold)、ウエストーニング(Westoning)のシーマークス(Seamarks)、ウルヴァーハンプトンのエヴァーオール(Everall)やバートン(Bartons)といった企業であった。

1967年から多少排気量が大きいベッドフォード自製の466立方インチ (7.64 L)エンジンを搭載したVAL70が登場し、急速にVAL14を代替していった。

架装ボディ 編集

VALには幾つかのコーチビルダーによる数多くのボディが架装された。大多数のVAL14はデュプル社(Duple)かプラクストン社(Plaxton)製ボディであったが、ハリントン社(Harrington Legionnaire)やイェーツ社(Yeates)といったその他数社のコーチビルダー製ボディを架装したものもあった。

VAL14の中には、英国欧州航空向けにマーシャル社(Marshall)が製作した10台とノース・ウエスタン社(North Western)向けにストラチャン社(Strachan)が製作した10台のようにバス用ボディが架装された車両があった[1]

大衆文化 編集

ベッドフォード・VALは、映画『ミニミニ大作戦』内で使用されたことで広く知られた。この車両はハリントン・レジオネアー(Harrington Legionnaire)製'ALR 453B'で、1964年4月に新車でバス会社のバッテン社(Batten)に納入されたものであった[2]。映画用に改装された後にこの車両は元の業務に戻され、1990年代にスクラップにされた。

プラクストン社製ボディの'URO 913E'は、1967年ビートルズの映画『マジカル・ミステリー・ツアー』に登場した。これは1967年に新車でヘイズ(Hayes)のフォックス社(Fox)の納入された車両であった。

最近まで1台のベッドフォード・VAL 'SCK 56K'がリヴァプールでの「ビートズ・マジカル・ミステリー・ツアー」で使用されていた。それ以降この車両はサフォークのランニング・フットマン社(Running Footman)に買い取られ、'VAL466G'として再登録された。最近(2011年10月)この車両はeBayに売りに出された。

出典 編集

外部リンク 編集