ペトロパブロフスク・カムチャツキー航空251便墜落事故 (2021年)
ペトロパブロフスク・カムチャツキー航空251便墜落事故は、2021年7月6日にロシアのカムチャツカ地方で発生した航空事故である。
 墜落現場 | |
| 事故の概要 | |
|---|---|
| 日付 | 2021年7月6日 |
| 概要 | 崖への衝突、調査中 |
| 現場 |
 ロシア・カムチャツカ地方パラナパラナ空港 北緯59度06分29秒 東経159度50分48秒 / 北緯59.10806度 東経159.84667度座標: 北緯59度06分29秒 東経159度50分48秒 / 北緯59.10806度 東経159.84667度 |
| 乗客数 | 22 |
| 乗員数 | 6 |
| 負傷者数 | 0 |
| 死者数 | 28（全員） |
| 生存者数 | 0 |
| 機種 | アントノフ An-26B-100 |
| 運用者 |
ペトロパブロフスク・カムチャツキー航空 |
| 機体記号 | RA-26085 |
| 出発地 |
エリゾヴォ空港 |
| 目的地 |
パラナ空港 |
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エリゾヴォ空港からパラナ空港へ向かっていたペトロパブロフスク・カムチャツキー航空251便（アントノフ An-26B-100）が着陸進入中に墜落し、乗員乗客28人全員が死亡した。
背景 編集
事故機のアントノフ An-26B-100（RA-26085）は1982年に製造番号12310として製造された[1][2]。An-26は軍用の輸送機だが、事故機は2012年10月に民間の旅客機へ改修されたものだった。搭載されていたエンジンはイーウチェンコ AI-24だった[3]。事故機は以前、ペルミトランスアヴィアやエア・マリ・インターナショナルなどで運用されており、国際連合にリースされたこともあった[3]。
コックピットには4人の乗員がいた。機長は35歳で、2013年からペトロパブロフスク・カムチャツキー航空に勤務しており、3,300時間以上の飛行経験があった。副操縦士は28歳で、1,253時間の飛行経験があった。航空機関士は65歳で、9,300時間の飛行経験があった。ナビゲーターは49歳で、2,900時間の飛行経験があった[4]。
2012年にもパラナ空港へ進入していた同便が墜落し、10人が死亡していた[5]。
事故の経緯 編集
251便はPETT12時57分にエリゾヴォ空港を離陸し、15時05分にパラナ空港へ到着する予定だった。14時09分、機長はチギリスキー地区の管制官と交信を行い、パラナの気象条件を尋ねた[6]。気象情報を得た機長は最終進入を開始した。最後の交信は14時50分に行われた[4]。
交信が途絶えたとき、251便は空港から約10km離れた地点を飛行していた。管制官は着陸復航の報告は無かったと証言した[7]。事故当時、空港付近の天候は曇りだった[8]。251便は標高263mの急な崖に衝突したと報告されている[6][9]。衝突地点は最低降下高度より低く、進入経路を逸脱した場所だった。衝突により機体は完全に破壊された[9]。
捜索 編集
当日のうちにロシア民間防衛問題・非常事態・自然災害復旧省のMi-8が墜落現場を確認した[10][11]。非常用位置指示無線標識装置からの微弱な信号が受信され、機体の残骸は21時頃に発見された[4]。残骸は断片化しており、胴体部は丘の上に、その他の残骸は海岸に落下していた[12]。
7月7日までに19人の遺体が回収された[13]。墜落現場の地形から、捜索救助活動は困難だと判断された[8]。また、高波のため夜間の救助活動は中止された[2]。パラナでは3日間の追悼期間が設けられた[13]。事故に対してアメリカ[14]、ギリシャ[15]、トルコ[16]、セルビア[17]、パキスタンなどの国が哀悼の意を示した[18]。
事故調査 編集
ロシア国内で発生した事故であるため、国家間航空委員会が事故調査を担当する。ロシア連邦捜査委員会は事故原因として悪天候、機械的故障、パイロットエラーの3つが考えられると述べた[13]。7月9日、フライトデータレコーダー（FDR）が発見された。スポークスマンは大きな損傷は見られず、モスクワで解析される予定だと話した[19]。一方でコックピットボイスレコーダーも同日に回収されたが、損傷がひどくデータの取り出しは行えなかった[20]。
ロシア連邦航空局はFDRの分析について一報を伝えた。機体は2,600フィート (790 m)で無指向性無線標識（NDB）を通過し、滑走路29への旋回を行うために手順に従ってアウトバンドコースに入った。管制官によれば、パイロットは手順に記された方位289度ではなく340度へ向かっており、2,000フィート (610 m)へ降下していた。251便はベースターンと最終旋回を行っていたが、フラップや着陸装置は展開されていなかった。空港から12km地点で機体は空港へ向けて方位140度に旋回した。衝突の約1分前に最後の交信が行われ、管制官はパイロットに空港まで9kmで方位320度へ飛行していることを知らせた。ロシア連邦航空局は2012年に発生した墜落事故で講じられた推奨事項の実施に関する評価を行うよう勧めた[4]。
脚注 編集
- ^ Ranter, Harro. “RA-26085 accident description”. aviation-safety.net. Aviation Safety Network. 2021年7月6日閲覧。
- ^ a b Grove, Thomas; Kantchev, Georgi (2021年7月6日). “Wreckage of Russian Plane Carrying 28 Found in Far-Eastern Region”. The Wall Street Journal 2021年7月7日閲覧。
- ^ a b “КАРТОЧКА БОРТА, Антонов Ан-26Б-100, Бортовой RA-26085” [Registration Card, Antonov An-26B-100, Registration number: RA-26085] (ロシア語). russianplanes.net. 2021年7月8日閲覧。
- ^ a b c d Hradecky, Simon (2021年7月6日). “Crash: Petropavlovsk-Kamchatsky AN26 near Palana on Jul 6th 2021, missing aircraft impacted edge of coast”. avherald.com. The Aviation Herald. 2021年7月7日閲覧。
- ^ “Russian An-28 crashes on Kamchatka, killing 10”. Air Transport World (2012年9月12日). 2012年9月18日閲覧。
- ^ a b Kaminski-Morrow (2021年7月7日). “No survivors after Kamchatka An-26 collided with steep cliff”. Flight Global. 2021年7月7日閲覧。
- ^ “Авиакомпания: разбившийся на Камчатке Ан-26 не заходил на второй круг перед посадкой” [Airline: An-26 crashed in Kamchatka did not go around before landing] (ロシア語). Kommersant (2021年7月7日). 2021年7月7日閲覧。
- ^ a b “Plane with 28 people on board crashes in Russia's far east”. France 24 (2021年7月6日). 2021年7月6日閲覧。
- ^ a b “Катастрофа Ан-26Б-100 Камчатского АП в районе Паланы” [Accident of An-26B-100 Kamchatka AP near Palana] (ロシア語). airdisaster.ru. 2021年7月9日閲覧。
- ^ Kaminski-Morrow (2021年7月6日). “Wreckage from missing Russian An-26 located on Kamchatka coast”. Flight Global. 2021年7月8日閲覧。
- ^ “No survivors from plane crash in Russia's far east, rescue officials say”. Reuters (2021年7月6日). 2021年7月6日閲覧。
- ^ “Появились первые кадры с места крушения самолета Ан-26 на Камчатке” [The first footage from the crash site of the An-26 aircraft in Kamchatka appeared] (ロシア語). RIA Novosti (2021年7月6日). 2021年7月6日閲覧。
- ^ a b c “Спасатели нашли тела 19 погибших при крушении Ан-26 на Камчатке” [Rescuers found the bodies of 19 victims of the An-26 crash in Kamchatka] (ロシア語). RIA Novosti (2021年7月7日). 2021年7月7日閲覧。
- ^ “Посол США выразил соболезнования в связи с крушением Ан-26 на Камчатке [US Ambassador expresses condolences in connection with the An-26 crash in Kamchatka]” (ロシア語). Известия (Izvestiya). (2021年7月6日) 2021年7月6日閲覧。
- ^ “Greece Expresses Condolences to Russia Over Fatal Air Crash”. The National Herald. 2021年7月6日閲覧。
- ^ “Turkey extends condolences to Russia over deadly plane crash”. Yeni Safak. 2021年7月6日閲覧。
- ^ “Вучич выразил соболезнования Путину в связи с авиакатастрофой на Камчатке” [Vucic expressed condolences to Putin in connection with the plane crash in Kamchatka] (ロシア語). TASS. 2021年7月6日閲覧。
- ^ “Pakistan Embassy condoles loss of lives in Russian plane crash”. DND (2021年7月6日). 2021年7月6日閲覧。
- ^ “Rescue workers find black box from Antonov An-26 plane disaster”. TASS (2021年7月9日). 2021年7月9日閲覧。
- ^ “На Камчатке найдены оба черных ящика с разбившегося Ан-26.” [Both black boxes from the crashed An-26 were found in Kamchatka]. 1tv.ru. 2021年7月10日閲覧。