ホタルジャコ科学名Acropomatidae)は、スズキ目スズキ亜目に所属する魚類の分類群()の一つ。ホタルジャコアカムツなど、やや深い海で生活するを中心に6属21種が含まれる[1]

ホタルジャコ科
アカムツ Doederleinia berycoides
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : スズキ亜目 Percoidei
: ホタルジャコ科 Acropomatidae Gill1893
英名
Lanternbellies
下位分類
本文参照

分布・生態 編集

ホタルジャコ科の魚類はすべて海水魚で、太平洋インド洋大西洋など世界中の海に広く分布する[1]。ほとんどのは水深100m以深のやや深い海に生息し、いわゆる深海魚に該当するものも多い[2]。日本の近海からは4属10種が報告されている[3]

本科魚類の生態についてはあまりよくわかっておらず、大陸棚大陸斜面海底付近で生活するもの、外洋の中層に進出するものまでさまざま[2]。アカムツなど一部の種が食用として利用される[2]

形態 編集

左右に平たく側扁した、いわゆる型の体型をもつ。最大種では全長40cmに達するが、多くは10数cmほどの小型魚類である[2]

ホタルジャコ属のうち3種は腹部に発光器をもち、肛門は腹鰭の基底近くに位置する[1]。このように著しく前方寄りの肛門は、スズキ目では他にハタ科の1種(Bullisichthys caribbaeus)およびテンジクダイ科の1種(Apogon gularis)しか知られていない[1]

背鰭は2つあり、7-10本の棘条からなる前半部と、0-1棘8-10軟条の後半部に分かれる[1]。臀鰭は2-3棘7-9軟条[1]側線はよく発達し、鰓蓋骨に2本の丸みを帯びたトゲをもつ[2]。鰓条骨は7本、椎骨は25個[1]

分類 編集

ホタルジャコ科には、Nelson(2016)の体系において7属31種が認められている[1]

かつて暫定的に本科に含められていたイシナギ属(および Polyprion 属)とカワリハナダイ属は、現在ではそれぞれ独立のイシナギ科カワリハナダイ科を構成するようになっている[1][4]。同様に本科に置かれていたクシスミクイウオ属 Howella は、ペルキクティス科(Percichthyidae)に移された後[5]、独立のクシスミクイウオ科として扱われている[1]。またスミクイウオ属、ヒメスミクイウオ属、Kaperangus 属、Caraibops 属は独立のスミクイウオ科を構成するようになった[6]

 
ホタルジャコ Acropoma japonicum (ホタルジャコ属)。インド太平洋の水深100-500mに生息し、腹部に発光器をもつ[2][7]
 
バケムツ Neoscombrops pacificus (バケムツ属)。アカムツ属と近縁で、体色や鱗の形状で鑑別される[3]

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j 『Fishes of the World Fifth Edition』 p.434
  2. ^ a b c d e f Acropomatidae”. FishBase. 2016年5月21日閲覧。
  3. ^ a b c d 『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』 pp.750-753, 1958-1959
  4. ^ 『Fishes of the World Third Edition』 pp.334-335
  5. ^ 『Fishes of the World Fourth Edition』 p.344
  6. ^ 岡本誠, 前田達郎「日向灘から得られたSynagropidae スミクイウオ科(新称)の2種,Parascombrops analisバケスミクイウオとP. oheiサラシヒメスミクイウオ(新称)の九州からの初記録」『IchthyNatural History of Fishes of Japan』第7巻、国立大学法人 鹿児島大学総合研究博物館、2021年、23-29頁、doi:10.34583/ichthy.7.0_23ISSN 2435-7715CRID 1390006210126361344 
  7. ^ 日本の海水魚, p. 249.

参考文献 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集