ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男

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ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』(ボルグ マッケンロー こおりのおとことほのおのおとこ、原題:Borg vs McEnroe または Borg McEnroe[4]スウェーデン語: Borgフィンランド語: Borg/McEnroe)は、2017年スウェーデンデンマークフィンランド合作の伝記・スポーツ・ドラマ映画。有名なライバル関係であった実在のテニスプレイヤーのビヨン・ボルグジョン・マッケンローが対戦した1980年ウィンブルドン選手権の男子シングルス決勝戦を描く[5]

ボルグ/マッケンロー
氷の男と炎の男
Borg McEnroe
監督 ヤヌス・メッツ英語版
脚本 ロニー・サンダール
製作 ジョン・ノーステッド
フレドリック・ウィクストレーム・ニカストロ英語版
出演者 スヴェリル・グドナソン
シャイア・ラブーフ
ステラン・スカルスガルド
ツヴァ・ノヴォトニー英語版
ロバート・エムズ英語版
音楽 ヴラディスラフ・ディレイ英語版
ジョン・エクストランド英語版
カール=ジョアン・セヴェダグ
ジョナス・ストラック
撮影 ニルス・タストゥム
製作会社 SF Studios
Yellow Film & TV
配給 Nordisk Film (スカンディナヴィア)
SF Studios (インターナショナル)
アメリカ合衆国の旗 Neon
日本の旗 ギャガ
公開 2017年9月7日 (TIFF)
スウェーデンの旗 2017年9月8日
日本の旗 2018年8月31日
上映時間 108分
製作国  スウェーデン
 デンマーク
 フィンランド[1]
言語 英語スウェーデン語
製作費 6,500万SEK[2](750万ドル)
興行収入 3,022,760ドル[3]
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監督はヤヌス・メッツ英語版、脚本はロニー・サンダール、出演はスヴェリル・グドナソンシャイア・ラブーフステラン・スカルスガルドツヴァ・ノヴォトニー英語版ロバート・エムズ英語版ら。第42回トロント国際映画祭のオープニング作品となった[6]

キャスト 編集

ビヨン・ボルグ
演 - スヴェリル・グドナソン
スウェーデンの元世界1位のテニスプレイヤー[5][7][8]
脚本家のロニー・サンダールはスウェーデンの新聞 ExpressenSydsvenskan のインタビューにおいて、「彼(スヴェリル)はこのスウェーデンのテニススターに外見がとてもよく似ている」と述べている[9][10]。また、グドナソンはインタビューで役作りについて「1日2時間のテニスと4回のパーソナルトレーナーとの練習など、週に15時間のトレーニングを6か月間続けた」と語っている[11]。また彼はボルグ本人に会っていないことを明かし、「まだ会ってはいないが、撮影終了後にいずれ会うだろう」と述べた[11]
彼の9歳から13歳の時代は、ビヨン・ボルグの実の息子レオ・ボルグが演じており、14歳から17歳の時代は俳優のマーカス・モスバーグが演じている[12]
ジョン・マッケンロー
演 - シャイア・ラブーフ
アメリカの元世界1位のテニスプレイヤーでボルグのライバル[5][7][8][13]
脚本家のロニー・サンダールはインタビューにおいて、シャイア自身が映画の話を聞いてプロダクションに連絡してきたことを明かし、その理由について「彼(シャイア)がマッケンローの性格を深く理解し、マッケンローが誤解されていると感じたからだろう」と述べている[10]。シャイアはバラエティ誌のインタビューにおいて、脚本を見事だと称賛し、「初めて読んだときに泣いた」とも語った[7]。また彼は、マッケンロー本人に会っていないことを明かし、「まだ会ってはいないが、撮影終了までに会いたくてたまらない。彼に対しては愛と敬意しかない」と述べた[7]
レナート・ベルゲリン
演 - ステラン・スカルスガルド
スウェーデンのテニスプレイヤーでボルグのコーチ[5][7][14]
彼がスウェーデンの映画に出演するのは『アーン 鋼の騎士団英語版』『アーン 鋼の騎士団 Part2 愛と戦いの果てに英語版』以来となる[15]。スカルスガルドは、ベルゲリンとボルグとの関係について、1984年の映画『アマデウス』のモーツァルトアントニオ・サリエリを引き合いに出しながら、「人々はサリエリがモーツァルトに嫉妬していると思っているが、私はそれが正しい言い方とは思わない。天才への完全な魅力と愛、そして自分ができないことへの自信喪失だと思う」と語った[16][2]
マリアナ・シミオネスク英語版
演 - ツヴァ・ノヴォトニー英語版
ルーマニアのテニスプレイヤーでボルグの婚約者[5]
ジョン・マッケンロー・シニア
演 - イアン・ブラックマン
ビタス・ゲルレイティス
演 - ロバート・エムズ英語版
アメリカのプロテニスプレイヤーでプレイボーイ[5][17]
アーサー・アッシュ
演 - ジェイソン・フォーブス英語版
ベングト・グライヴ英語版
演 - ビヨルン・グラナス英語版
ピーター・フレミング
演 - スコット・アーサー
ジミー・コナーズ
演 - トム・ダトナウ
ケイ・マッケンロー
演 - ジェーン・ペリー
レナート・ハイランド英語版
演 - トーマス・ヘデングラン英語版

製作 編集

企画 編集

2016年5月、テニスのライバル同士であるビヨン・ボルグジョン・マッケンローについての映画の企画が発表された[18]。デンマーク出身のヤヌス・メッツ英語版が監督を、脚本をスウェーデン出身のロニー・サンダールが担当することも明らかになった[5][7][18]。メッツは2010年ドキュメンタリー映画アルマジロ英語版』とHBOのドラマ『TRUE DETECTIVE』の1エピソードの監督として知られる[5]。製作は、スウェーデンのアニメーション映画『Bamse and the Thief City』で知られるジョン・ノーステッドと、2010年の映画『Easy Money』のプロデューサーとして知られるフレドリック・ウィクストレーム・ニカストロ英語版が担当する[5][18]。配給はスカンディナヴィアではNordisk Film、国際的にはSF Studiosが行う[5]

キャスティング 編集

2016年5月、スヴェリル・グドナソンシャイア・ラブーフがそれぞれビヨン・ボルグジョン・マッケンローの役としてキャスティングされたことが発表された[8]。ラブーフは第69回カンヌ国際映画祭でのバラエティ誌のインタビューで、脚本やスカンディナヴィアの監督と仕事をすることに興奮していることを述べ、「良い映画を作っている。スカンディナヴィアの映画は作り方が違う。ペースも違うし、クルーの関係性も違う。絆の形も違う」と語った[7]。また同記事で、ステラン・スカルスガルドがボルグのコーチのレナート・ベルゲリンの役にキャスティングされたことが明らかになった[5][7][14][15]8月16日ツヴァ・ノヴォトニー英語版ロバート・エムズ英語版がそれぞれマリアナ・シミオネスク英語版ビタス・ゲルレイティスの役としてキャスティングされたことが発表された[5][17]

撮影 編集

撮影は2016年8月に開始し、ヨーテボリプラハロンドンモナコで行われた[5]。ボルグが子供時代を過ごし、テニスを始めた場所でもあるセーデルテリエでも撮影が行われた[11]。 また、ヨーテボリのスタジオでブロードウェイ・シアターStudio 54が再現された[16]プラハシュトヴァニツェ英語版のテニス競技場は、ウィンブルドンセンターコートに見立てられ、1980年ウィンブルドン選手権の決勝戦のシーンが撮影された[9]。グドナソンは「更衣室からセンターコートと見紛う場所へ、何百人ものエキストラの前を私とシャイアが歩いたとき、巨大な真実味を感じた」と語った[9][2]

同年10月、スヴェリル・グドナソンシャイア・ラブーフがそれぞれビヨン・ボルグジョン・マッケンローを演じている写真が初公開された[19][20]

公開 編集

本作は、2017年9月のスウェーデンでの劇場公開と併行して、第42回トロント国際映画祭のオープニングを飾った。イギリスでは9月22日に公開、アメリカでは2018年4月13日に公開された[5][21]

評価 編集

批評家の反応 編集

映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには147件のレビューがあり、批評家支持率は84%、平均点は10点満点で6.5点、批評家の一致した見解は「『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』は、テニスをありえないほど映画的にし、シャイア・ラブーフから疑う余地のない最高のものを引き出し、彼のキャリアで最高レベルの作品となっている。」となっている[22]。また、Metacriticには30件のレビューがあり、加重平均値は63/100となっている[23]

受賞 編集

授賞式 カテゴリー 対象 結果 出典
カメリメージ国際映画祭英語版 2017年11月11日 - 18日 第一回作品賞 ヤヌス・メッツ英語版 受賞 [24]
第53回ゴールデン・ビートル賞 2018年1月22日 作品賞 ジョン・ノーステッド、フレドリック・ウィクストレーム・ニカストロ英語版(製作) ノミネート [25][26]
監督賞 ヤヌス・メッツ英語版 ノミネート
主演男優賞 スヴェリル・グドナソン ノミネート
助演男優賞 シャイア・ラブーフ ノミネート
ステラン・スカルスガルド 受賞
編集賞 ペア・サンドホルト、ペア・キルケゴール ノミネート
衣装デザイン賞 キッキ・イライダー ノミネート
作曲賞 ジョナス・ストラック、ジョン・エクストランド英語版ヴラディスラフ・ディレイ英語版 ノミネート
美術賞 リナ・ノルドキヴィスト ノミネート
視覚効果賞 トージェン・オルソン、アレックス・ハンソン 受賞
ノーデリック映画祭 2017年11月12日 観客賞 『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』 受賞 [27]

脚注 編集

  1. ^ Borg/McEnroe” (フィンランド語). Films. Finnish Film Foundation. 2017年10月18日閲覧。
  2. ^ a b c "Borg" väcker nytt liv i tidernas tennisdrama” (スウェーデン語). Dagens Nyheter (2016年9月22日). 2016年10月9日閲覧。
  3. ^ Borg vs McEnroe (2017)”. The Numbers. 2018年6月6日閲覧。
  4. ^ Debruge, Peter (2017年9月7日). “Toronto Film Review: Shia LaBeouf in ‘Borg McEnroe’”. Variety (Penske Business Media). https://variety.com/2017/film/reviews/borg-mcenroe-review-shia-labeouf-1202550841/ 2017年9月8日閲覧。 
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n Shia LaBeouf-starrer 'Borg/McEnroe' begins shoot”. Screen Daily. Screen International (2016年8月16日). 2016年10月7日閲覧。
  6. ^ Vlessing, Etan (2017年7月31日). “Toronto: Shia LaBeouf's 'Borg McEnroe' to Open 2017 Festival”. The Hollywood Reporter. Prometheus Global Media. 2017年7月31日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h Shia LaBeouf on His Next Big Acting Challenge: Playing John McEnroe”. Variety. Penske Business Media (2016年5月26日). 2016年10月7日閲覧。
  8. ^ a b c Sverrir Gudnason iklär sig rollen som Björn Borg” (スウェーデン語). SVT Nyheter. Sveriges Television (2016年5月11日). 2016年10月7日閲覧。
  9. ^ a b c "Otroligt lycklig slump att Sverrir är så lik"” (スウェーデン語). Expressen (2016年9月29日). 2016年10月8日閲覧。
  10. ^ a b Ronnie Sandahl: Borg och McEnroe känner till projektet” (スウェーデン語). Sydsvenskan (2016年5月15日). 2016年10月9日閲覧。
  11. ^ a b c Så har Gudnason förberett sig för Borg-rollen” (スウェーデン語). SVT Nyheter. Sveriges Television (2016年10月6日). 2016年10月8日閲覧。
  12. ^ Leo spelar sin far i filmen om Björn Borg” (スウェーデン語). Aftonbladet (2016年10月10日). 2017年5月26日閲覧。
  13. ^ John McEnroe slams biopic starring Shia LaBeouf”. The Guardian. Guardian News and Media (2016年9月22日). 2016年10月7日閲覧。
  14. ^ a b Hollywood-stjärnan Shia LaBeouf hyllar Stellan Skarsgård” (スウェーデン語). Aftonbladet (2016年10月5日). 2016年10月7日閲覧。
  15. ^ a b "Björn Borg" är i Göteborg” (スウェーデン語). Göteborgs-Posten (2016年10月4日). 2016年10月7日閲覧。
  16. ^ a b Internationellt intresse för filmen om Borg och McEnroe” (スウェーデン語). Sveriges Radio (2016年10月8日). 2016年10月9日閲覧。
  17. ^ a b TT (2016年10月4日). “Robert Emms klar för Borg-film” (スウェーデン語). Folkbladet. 2016年10月7日閲覧。
  18. ^ a b c Björn Borgs liv blir film” (スウェーデン語). SVT Nyheter. Sveriges Television (2016年5月4日). 2016年10月7日閲覧。
  19. ^ Här blir skådespelarna Borg och McEnroe” (スウェーデン語). Aftonbladet (2016年10月4日). 2016年10月7日閲覧。
  20. ^ First ‘Borg/McEnroe’ Image Reveals Shia LeBeouf as Tennis Legend John McEnroe”. Collider. Complex Media (2016年10月5日). 2016年10月7日閲覧。
  21. ^ Borg McEnroe (2017)”. IMDb. 2018年5月10日閲覧。
  22. ^ "Borg vs. McEnroe". Rotten Tomatoes (英語). Fandango Media. 2022年8月24日閲覧
  23. ^ "Borg vs. McEnroe" (英語). Metacritic. Red Ventures. 2018年4月10日閲覧。
  24. ^ “Camerimage 2017 Winners!”. Camerimage International FIlm Festival. https://camerimage.pl/en/laureaci-camerimage-2017/ 2018年1月5日閲覧。 
  25. ^ Haimi, Rebecca (2018年1月4日). “Flest nomineringar till Borg – Östlund: "Det känns okej"” (スウェーデン語). SVT Kultur (Sveriges Television). https://www.svt.se/kultur/film/arets-guldbaggenomineringar-presenteras 2018年1月4日閲覧。 
  26. ^ Glädjetårar efter Sameblods succé” (スウェーデン語). Aftonbladet (2018年1月22日). 2018年1月22日閲覧。
  27. ^ Talsma, Jantina (2017年11月12日). “Borg/McEnroe Wint Publieksprijs #NFF38” (オランダ語). Noordelijk Film Festival. http://noordelijkfilmfestival.nl/nieuws/borgmcenroe-wint/ 2018年1月5日閲覧。 

外部リンク 編集