マダラコウラナメクジ

柄眼目コウラナメクジ科の軟体動物

マダラコウラナメクジ(斑甲羅蛞蝓、Limax maximus)は、軟体動物門柄眼目コウラナメクジ科に分類されるナメクジの一種。日本では元々は分布していない外来種である。

マダラコウラナメクジ
マダラコウラナメクジ
分類
: 動物界 Animalia
: 軟体動物門 Mollusca
: 腹足綱 Gastropoda
亜綱 : 有肺亜綱 Pulmonata
: 柄眼目 Stylommatophora
: コウラナメクジ科 Limacoidea
: Limax
: マダラコウラナメクジ
L. maximus
学名
Limax maximus
(Linnaeus1758)
和名
マダラコウラナメクジ
英名
Great grey slug
Great slug
Leopard slug

分布 編集

原産は主にヨーロッパ1867年に北米のフィラデルフィアで発見されたほか、南米南部アフリカオーストラリアなどにも侵入している。2006年には日本でも茨城県土浦市で発見された[1][2]ほか、島根県長野県などで確認されている[3][4]。また、2017年には埼玉県でも確認されている[5]

特徴 編集

成体の体長は10-20cmである。体色は、薄い灰色、灰色、茶色または時々黄色がかった白色などである。縦に染み、または黒のまだら(斑)がある。

同時的雌雄同体であり、頭部から生殖器を出して交尾する。

外来種問題 編集

日本への侵入経路は不明であるが、輸入観葉植物などと一緒に卵などが運び込まれた可能性が推測されている[3]。また、国立環境研究所の日本の外来種の『侵入生物データベース』では、過去に定着していた侵入生物とされている[6]。一方、2006年に最初に発見された茨城県土浦市では若齢個体を中心とした多数の個体が見られることや、複数年にわたって確認されていることから、野外で繁殖していることは疑いないと考えられている[1]

前述の通り生息範囲などにわからない点が多く、栽培キノコなどを食害する農業被害が起きている。こうしたことから、京都大学助教授の宇高寛子、NHK Eテレの『サイエンスZERO』では、2018年4月よりマダラコウラナメクジの目撃情報を募集している[7]。マダラコウラナメクジ自体の調査に加えて、過去に日本へ侵入した外来種のキイロナメクジ、チャコウラナメクジの消長と合わせて、外来生物の分布動向や、市民科学の手法を研究する目的も兼ねている[8]

出典 編集

  1. ^ a b 長谷川和範・福田 宏・石川 旬,2009.マダラコウラナメクジの日本国内への定着.ちりぼたん 39(2): 101-105.
  2. ^ メールマガジン :: マダラコウラナメクジ 国立科学博物館 動物研究部 長谷川和範
  3. ^ a b 朝日新聞デジタル:ヒョウ柄の大型ナメクジ、日本上陸 農作物被害に懸念 - 社会2013年6月24日17時4分
  4. ^ 飯島国昭・福本匡志・湊 宏,2013.マダラコウラナメクジが長野県佐久地方にも出現する.かいなかま 47(2): 1-4.
  5. ^ 稲刈り中に全長15センチの外来ナメクジ発見 さいたま市 - 産経ニュース
  6. ^ 日本の外来種全種リスト - 侵入生物データベース 2013年6月25日閲覧。
  7. ^ 広がる巨大ナメクジを追え 「ナメクジハンター」の調査に同行し、見たものは…(2018年12月1日閲覧)。
  8. ^ ナメクジ 全国指名手配/京大助教授が「捜査網」市民情報で外来種調査『毎日新聞』夕刊2018年9月29日(6面)2018年12月1日閲覧。

参考文献 編集