マッシーピー(Mushy peas)は、イギリス豆料理の一つである。

フィッシュ・アンド・チップスに添えられたマッシーピー(右側のラメキン

完熟乾燥したエンドウマメen:marrowfat peas[1][2])を炭酸水素ナトリウムを加えた水に一晩浸し[3]、少量の砂糖食塩を加えて、濃厚な緑色の塊になるまで煮たものである。風味付けにミントを加えることもある。北イングランドミッドランドでは、伝統的にフィッシュ・アンド・チップスに添えて提供される。イギリス全土、特に北イングランドでは、パイアンドピー南オーストラリアパイフローターピースープがマッシーピーに置き換わったもの)として広く提供され、伝統的なイギリス料理の一部と考えられている。また、スズの缶に入った市販のものもある。球状にまとめてバターで揚げたピーフリッターという料理もある[4]

地域ごとの違い 編集

ヨークシャーノッティンガムシャーダービーシャーリンカンシャーの一部では、マッシーピーはしばしばそれ自体でスナックとして食べられる。ノッティンガムシャーでは、伝統的にミントソースを添え、フェアやフェスタ等の野外イベント等で販売される。またノッティンガムシャーでは、チップスにマッシーピーを添えたものは、ピーミックスと呼ばれる。スコットランドでも人気があり、フィッシュ・アンド・チップスに添えたり、ボウルの中でと混ぜたりする。

特にボルトンベリープレストン等で人気があるのは、"parched peas"を水に浸し、長時間かけてゆっくり煮たもので、伝統的には酢とともに提供される。

「ヨークシャーのキャビア」("Yorkshire caviar")と呼ばれることもある[5]

着色 編集

しばしば色付けに緑色の着色がなされ、黄色のタートラジンと青色のブリリアントブルーFCFが加えられる。着色なしの場合は灰色がかった緑色であるが、着色料を加えることにより、明るい緑色に仕上がる。豆を柔らかくするとともに発色を良くし、浸漬中の発酵を防ぐため、炭酸水素ナトリウムを加えることがあり、食べた後のも抑制される。2008年4月28日、英国食品基準庁は、人工食品着色料の自主的な禁止を求め、2009年末までにその禁止を実行に移すことを示唆した。これは、マッシーピーのような特定の食品は、着色料のないものでなければ販売できなくなることを意味した[6]。大臣は、食品製造業者が食品着色料を廃止しない場合は、法的に禁止する可能性があると述べた[7]。2018年時点で、この禁止は続いている[8]

特にマッシーピーの場合は、ベータカロテン等の天然の代替色素では色が弱く不鮮明で、タートラジンを置き換えることは難しい。そのため、製造業者は可能であればタートラジンを使いたがる[9]。着色料なしでは、料理は鈍い灰色になってしまう。2010年7月、EU指令により、タートラジンを含む食品には「子供の活動や注意に影響を与えるかもしれない」旨の警告を貼ることが義務付けられた[10]

出典 編集

  1. ^ マローファットピースはさやえんどうのように未熟果で収穫せず、畑で完熟乾燥するまで育て収穫するものである。
  2. ^ すずや穀物 「マローファットピース」
  3. ^ Elaine Lemm. Traditional Mushy Peas Recipe. About.com. Retrieved 23 September 2013.
  4. ^ Pea fritter”. Everything2.com. 2018年10月2日閲覧。
  5. ^ "48 hours in Bristol / Dining with the locals", Independent, 26 April 2008
  6. ^ Meikle, James (2008年4月10日). “FSA calls for voluntary ban on artificial colourings”. London: The Guardian. https://www.theguardian.com/uk/2008/apr/10/foodanddrink 
  7. ^ "UK: Ban on food additives 'supported by ministers'", Fresh Plaza, 17 November 2008
  8. ^ Food additives” (英語). Food Standards Agency. 2018年10月31日閲覧。
  9. ^ Tartrazine- Molecule of the Month - May 2018 (HTML version)”. www.chm.bris.ac.uk. 2018年10月31日閲覧。
  10. ^ The Kitchen Thinker: Food colourings”. The Telegraph (2011年2月7日). 2018年4月3日閲覧。