マル臨計画(まるりんけいかく)は、日本海軍の戦備計画。正式名称は「情勢ニ応ズル軍備欠陥補充」だが、通称として漢字の「臨」のまわりをマルで囲って「マル臨計画」と呼ばれた。艦艇55隻の建造が計画され52隻が竣工した。

概要 編集

1940年(昭和15年)のヨーロッパ情勢の急変に伴い、対米開戦への対応の施策の一部として計画された[1]1938年(昭和13年)10月28日付け軍令部「支那事変に関連する第三次戦備促進」と、1940年8月の海軍省、軍令部とで決定した「急迫せる世界情勢に即応する戦備促進要領」において示された艦船の建造計画の一部を、「情勢ニ応ズル軍備欠陥補充」(マル臨計画)と呼び計画が進められた[1][2]。その内訳は潜水艦18隻、駆潜艇12隻、魚雷艇6隻、航空揮発油運搬艦6隻、掃海特務艇6隻、敷設特務艇4隻、運送艦3隻であり、合計55隻、5万7765トンである[1]。マル臨計画には、⑤計画の練習航空隊の内、7箇所17隊の繰上整備が含まれていた[2]

艦艇予算の総額は2億1167万3千円で、魚雷艇の建造予算は第74帝国議会より昭和14年度臨時軍事費として、駆潜艇・潜水艦・航空揮発油運搬艦の建造予算は第76帝国議会より昭和16年度艦艇製造費として、運送艦・掃海特務艦・敷設特務艦の建造予算は同第76帝国議会より昭和16年度臨時軍事費として承認された。

計画艦艇 編集

  • 魚雷艇 - 6隻(120トン、58万0千円×6)
    第241号艦(第1号魚雷艇)、第242号艦(第2号魚雷艇)、第243号艦(第3号魚雷艇)、第244号艦(第4号魚雷艇)、第245号艦(第5号魚雷艇)、第246号艦(第6号魚雷艇)
  • 駆潜艇 - 12隻(5280トン、231万5千円×12)
    第221号艦(第28号駆潜艇)、第222号艦(第29号駆潜艇)、第223号艦(第30号駆潜艇)、第224号艦(第31号駆潜艇)、第225号艦(第32号駆潜艇)、第226号艦(第33号駆潜艇)、第227号艦(第34号駆潜艇)、第228号艦(第35号駆潜艇)、第229号艦(第36号駆潜艇)、第230号艦(第37号駆潜艇)、第231号艦(第38号駆潜艇)、第232号艦(第39号駆潜艇)
  • 潜水艦(中) - 9隻(8730トン、740万0千円×9)
    第201号艦(呂35)、第202号艦(呂36)、第203号艦(呂37)、第204号艦(呂38)、第205号艦(呂39)、第206号艦(呂40)、第207号艦(呂41)、第208号艦(呂42)、第209号艦(呂43
  • 潜水艦(小) - 9隻(4725トン、435万9千円×9)
    第210号艦(呂100)、第211号艦(呂101)、第212号艦(呂102)、第213号艦(呂103)、第214号艦(呂104)、第215号艦(呂105)、第216号艦(呂106)、第217号艦(呂107)、第218号艦(呂108
  • 給油艦(中) - 2隻(1万5900トン、1217万6千円×2)
    第219号艦(足摺)、第220号艦(塩屋
  • 給油艦(小) - 4隻(1万7840トン、730万0千円×4)※建造中止
    第233号艦(高崎)、※第234号艦(剣埼)、※第235号艦(神埼)、※第236号艦(聖埼)
  • 給糧艦 - 3隻(2760トン、211万0千円×3)
    第261号艦(早埼)、第262号艦(白埼)、第263号艦(荒埼
  • 掃海特務艇 - 6隻(1290トン、105万0千円×12)
    第251号艦(第1号掃海特務艇)、第252号艦(第2号掃海特務艇)、第253号艦(第3号掃海特務艇)、第254号艦(第4号掃海特務艇)、第255号艦(第5号掃海特務艇)、第256号艦(第6号掃海特務艇)
  • 敷設特務艇 - 4隻(1120トン、210万0千円×4)
    第257号艦(第1号敷設特務艇)、第258号艦(第2号敷設特務艇)、第259号艦(第3号敷設特務艇)、第260号艦(第4号敷設特務艇)

脚注 編集

  1. ^ a b c 『日本海軍史』第4巻、52–53頁。
  2. ^ a b 『戦史叢書 軍戦備<1>』803ページ。

参考文献 編集

関連項目 編集

  • 戦備計画
マル臨 - マル急 - マル追 - マル戦