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マレーシアの競馬(マレーシアのけいば)では、マレーシアにおける競馬について記述する。

歴史 編集

特徴 編集

マレーシアでは、首都クアラルンプール(正確にはクアラルンプール連邦直轄領の外縁部にあるセランゴール州(スランゴール州)スンガイ・ブシ英語版)のセランゴール・ターフクラブ(Selangor Turf Club)、第3都市イポーのペラ・ターフクラブ(Perak Turf Club)、リゾート地ペナン島のペナン・ターフクラブ(Penang Turf Club)の3団体が、マラヤン競馬協会(Malayan Racing Assciation)の統括の下でサラブレッド平地競走を施行している[1]

マレーシアの競馬は19世紀のイギリス植民地時代に持ち込まれたもので、マラヤン競馬協会は、かつてマレーシアのマレー半島部分がシンガポールと合わせて英領マレーマラヤ連邦)として統合されていた時代から継続して、シンガポール・ターフクラブを含む4団体を、国をまたいで統括する珍しい競馬統括機関となっている[2]。ただし、シンガポールでは政府がクランジ競馬場の返還を求めていて2024年をもって競馬開催を終了することが決定されており、セランゴール・ターフクラブは厩舎を増設して最大で約300頭の競走馬とともに調教師をシンガポールから受け入れることを計画している[4]

なお、ボルネオ島(北ボルネオ)ではサバ州コタキナバルのロイヤル・サバ・ターフクラブ(Royal Sabah Turf Club)などにより、在来馬(ポニー)による競馬が施行されている[5]

競走 編集

3団体のターフクラブが運営する3か所の競馬場があり、毎週土曜日と日曜日に開催日が重ならないように年間番組が編成されている[1]。年間の競走開催数は3団体合計で900前後[6]

大レースとして、セランゴール・ターフクラブ主催のトリプルクラウンシリーズがある。 トゥンクゴールドカップ(芝1200m、賞金200,000リンギット(約600万円))、セランゴールゴールドカップ(芝1600m、賞金150,000リンギット(約450万円))、ピアラ・エマス・スルタン・セランゴール(芝2000m、賞金150,000リンギット(約450万円))の3つのローカルG1競走から構成されるが、2003年のシリーズ創設以来、3戦全勝して三冠(トリプルクラウン)を達成した馬は出ていない[7]。なお、トリプルクラウンシリーズはイギリス式のクラシック競走と異なり出走条件の馬齢は3歳以上、性別は指定なし(騸馬出走可)となっており、2007年にセランゴールゴールドカップに勝ったタヤスツヨシ産駒のオーストラリア産馬ジェラムスペシャル(Jelam Special)は当時5歳の騸馬だった[8]

馬券 編集

馬券パリミュチュエル方式[6]、18歳以上が購入できる[9]。電話投票およびインターネット投票のサービスも存在する[10]。18歳未満の馬券購入は刑事罰を伴う違反であり[9]、競馬場に入場することもできない[1]

賭式には単勝(Win)、複勝(Place)、馬連(Quinella)、馬単(Exacta)などがある[1][11]。単勝、複勝のほか、3連単(Forecast3)の売り上げが多い[12]

馬産と競走馬 編集

マレーシアではサラブレッドの生産は行われていない[6]

競走馬はオセアニアからの輸入が主となっており、馬齢は南半球式に数えられる[1]。在厩頭数は3団体合計で1000頭程度[6]

主な競走 編集

マレーシアは『国際セリ名簿基準書』のパートII国であり、同基準書のパートIIに記載されている国内重賞は、国際的にはブラックタイプで記載することのできるリステッド競走とみなされる[13]

『国際セリ名簿基準書』にローカルG1の国内格付け(MAL G1)が記載されている競走の一覧は次のとおり。

開催月 競走名 開催地 馬場・距離 出走条件
1月 ペラダービー ペラ 芝2400m 3歳以上
3月 トゥンクゴールドカップ セランゴール 芝1200m 3歳以上
6月 ペラゴールドヴァース ペラ 芝1100m 3歳以上
7月 ペナンスプリントトロフィー ペナン 芝1400m 3歳以上
8月 セランゴールゴールドカップ セランゴール 芝1600m 3歳以上
9月 ピアラ・エマス・スルタン・セランゴール セランゴール 芝2000m 3歳以上
11月 コロネーションカップ ペラ 芝1600m 3歳以上
12月 ペナンゴールドカップ ペナン 芝2000m 3歳以上
出典

主な競馬場 編集

脚注 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j マレーシアの競馬場”. 公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2023年10月4日閲覧。
  2. ^ a b c d e f Who Are We?”. Malayan Racing Association. 2023年10月4日閲覧。
  3. ^ a b c Associated Club”. Malayan Racing Association. 2023年10月4日閲覧。
  4. ^ シンガポールの馬と調教師を受け入れる方向へ(マレーシア)”. 公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2023年10月4日閲覧。
  5. ^ 須田鷹雄『世界の中心で馬に賭ける 海外競馬放浪記』中央公論新社、2022年、70-73頁。 
  6. ^ a b c d Facts and Figures”. International Federation of Horseracing Authorities. 2023年10月4日閲覧。
  7. ^ Triple Crown Series”. Selangor Turf Club. 2023年10月4日閲覧。
  8. ^ “タヤスツヨシ産駒がマレーシアLG1を制す”. 競馬ブックWEB. https://p.keibabook.co.jp/news/detail/41594 2023年10月4日閲覧。 
  9. ^ a b Responsible Gambling Policy”. Selangor Turf Club. 2023年10月4日閲覧。
  10. ^ EQ Link”. Selangor Turf Club. 2023年10月4日閲覧。
  11. ^ Beginners Guide”. Selangor Turf Club. 2023年10月4日閲覧。
  12. ^ 須田鷹雄 (2021年1月). “世界旅打ち気分 第18回・マレーシア” (PDF). グリーンファーム. 2023年10月4日閲覧。
  13. ^ 2023 International Cataloguing Standards Book”. International Federation of Horseracing Authorities. 2023年10月4日閲覧。

外部リンク 編集