マンガンの同位体(マンガンのどういたい)のうち天然に生成するものは、安定同位体55Mnのみである。18個の放射性同位体が同定されていて、最も安定な53Mnの半減期は370万年、54Mnの半減期が312.3日、52Mnの半減期が5.591年である。残りは全て3時間以内の半減期であり、そのほとんどは1分以下である。3つの核異性体が存在する。

マンガン等と同様に、重い恒星超新星爆発を起こす直前にできたと考えられている。53Mnは370万年の半減期で53Crに崩壊する。比較的短い寿命のため、53Mnはすでに消滅している。マンガンの同位体含有量はクロムの同位体含有量と結びついており、同位体地質学や放射年代測定で用いられる。マンガンとクロムの同位体組成比は、太陽系の初期に26Al107Pdが存在したことを強く示唆している。小惑星における52Cr/53Cr及びMn/Crの構成比の多様性は、形成初期の様々な天体上で53Mnが崩壊したことを示している。したがって、53Mnは太陽系形成直前の宇宙の元素合成の証拠を残しているといえる。

マンガンの同位体の質量数は46から65の間である。質量数55以下のものは主に電子捕獲によって崩壊し、質量数が55以上のものは主にベータ崩壊する。

標準原子量は54.938045(5) uである。

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同位体核種 Z(p) N(n) 同位体質量 (u) 半減期 核スピン数 天然存在比 天然存在比
(範囲)
励起エネルギー
44Mn 25 19 44.00687(54)# <105 ns (2-)#
45Mn 25 20 44.99451(32)# <70 ns (7/2-)#
46Mn 25 21 45.98672(12)# 37(3) ms (4+)
46mMn 150(100)# keV 1# ms 1-#
47Mn 25 22 46.97610(17)# 100(50) ms 5/2-#
48Mn 25 23 47.96852(12) 158.1(22) ms 4+
49Mn 25 24 48.959618(26) 382(7) ms 5/2-
50Mn 25 25 49.9542382(11) 283.29(8) ms 0+
50mMn 229(7) keV 1.75(3) min 5+
51Mn 25 26 50.9482108(11) 46.2(1) min 5/2-
52Mn 25 27 51.9455655(21) 5.591(3) d 6+
52mMn 377.749(5) keV 21.1(2) min 2+
53Mn 25 28 52.9412901(9) 3.74(4)E+6 a 7/2-
54Mn 25 29 53.9403589(14) 312.03(3) d 3+
55Mn 25 30 54.9380451(7) STABLE 5/2- 1.0000
56Mn 25 31 55.9389049(7) 2.5789(1) h 3+
57Mn 25 32 56.9382854(20) 85.4(18) s 5/2-
58Mn 25 33 57.93998(3) 3.0(1) s 1+
58mMn 71.78(5) keV 65.2(5) s (4)+
59Mn 25 34 58.94044(3) 4.59(5) s (5/2)-
60Mn 25 35 59.94291(9) 51(6) s 0+
60mMn 271.90(10) keV 1.77(2) s 3+
61Mn 25 36 60.94465(24) 0.67(4) s (5/2)-
62Mn 25 37 61.94843(24) 671(5) ms (3+)
62mMn 0(150)# keV 92(13) ms (1+)
63Mn 25 38 62.95024(28) 275(4) ms 5/2-#
64Mn 25 39 63.95425(29) 88.8(25) ms (1+)
64mMn 135(3) keV >100 µs
65Mn 25 40 64.95634(58) 92(1) ms 5/2-#
66Mn 25 41 65.96108(43)# 64.4(18) ms
67Mn 25 42 66.96414(54)# 45(3) ms 5/2-#
68Mn 25 43 67.96930(64)# 28(4) ms
69Mn 25 44 68.97284(86)# 14(4) ms 5/2-#

参考 編集