ローンデポ・パーク

アメリカ合衆国のマイアミにある野球場

ローンデポ・パーク英語: LoanDepot Park)は、アメリカ合衆国フロリダ州マイアミにある野球場メジャーリーグベースボール(MLB)マイアミ・マーリンズが本拠地としている。2012年マーリンズ・パーク英語: Marlins Park)として開場し、命名権契約により2021年から現在の名称になった[3]

ローンデポ・パーク
施設データ
所在地 501 Marlins Way, Miami, Florida 33125
座標 北緯25度46分40.74秒 西経80度13分09.51秒 / 北緯25.7779833度 西経80.2193083度 / 25.7779833; -80.2193083座標: 北緯25度46分40.74秒 西経80度13分09.51秒 / 北緯25.7779833度 西経80.2193083度 / 25.7779833; -80.2193083
起工 2009年7月1日
(起工式は同年7月18日)[1]
開場 2012年3月5日
所有者 Miami-Dade County, Florida
グラウンド 人工芝(2020年〜)
ダグアウト ホーム - 三塁側
アウェー - 一塁側
建設費 5億1500万ドル
設計者 POPULOUS[2]
建設者 Hunt/Moss Joint Venture
旧称
マーリンズ・パーク
使用チーム • 開催試合
MLB / マイアミ・マーリンズ(2012年 - 現在)
収容人員
37,000人
グラウンドデータ
球場規模
左翼 - 344 ft (約104.8 m)
左中間 - 386 ft (約117.6 m)
中堅 - 400 ft (約121.9 m)
右中間 - 387 ft (約117.9 m)
右翼 - 335 ft (約102.1 m)
バックネット - 47 ft (約14.3 m)
ローンデポ・パークの外観

概要 編集

マイアミのダウンタウンに程近いリトル・ハバナ地区内、かつてのマイアミ・オレンジボウルの跡地に建設され2012年に開場した。

新たに建設された野球専用の球場で、3塁方向からライト方向へとスライドして開閉する屋根を有する。球場全体は四角く、レフト方向の外野席は膨らみがほとんどなく極端に少ない。天然芝(2020年から人工芝に変更)を敷いてあるグラウンドは特異な形をしており、いびつな形であるうえに外野中央部のやや左にフェンスが丸くフィールドへと張り出した部分がある。この部分には「ホームラン・フィーチャー」と名付けられた高さ10mほどの巨大なオブジェがあり、マーリンズのホームランの際には電飾や花火でそれを祝う仕掛けとなっている。

フィールドの独特の形状は、旧本拠地サンライフ・スタジアムを基本的に踏襲した守備側に有利な設計となっている。 旧本拠地では、左中間奥にアメフト用スタンドが収納されていて、アメフト開催時はレフトの窪みに増設スタンドを引き出してはめ込む仕様だった。 そのため野球場としての窪みは異様に深く(約130m)、マイアミ沖の海の難所名にかけてバミューダ・トライアングルと呼ばれていたスポットを新球場でも再現した。

また、本塁の右後方、バックネットの下には地元フロリダの海を泳ぐ熱帯魚が入れられた大型水槽が備えられており、観客席やテレビ中継でも見ることができる。 当初チーム名になっている本物のカジキを飼う計画だったが、大きすぎて断念した。代わりの小型熱帯魚展示だが、スタジアムの喧騒や照明が魚へのストレス要因、ひいては動物虐待にもなりかねないとの愛護団体からの抗議を受けた経緯もあった。 レフト後方には、クリーブランダーという同じマイアミを拠点とするホテル飲食チェーンが出店している。

球団オーナーで画商のロリアが自ら球場のコンセプトを提案した。外観はヨットをイメージした白亜の色彩、シートはマリンブルー。

収容人員はMLB全30球団で最少[4]

歴史 編集

かつてフロリダ・マーリンズが使用していたサンライフ・スタジアムはマイアミの中心部から距離があり過去9年で3度も観客動員数が最下位を記録したほか[5]、雨天の多い土地柄であるものの屋根がなく雨天中止が多かったり元々アメリカンフットボール用の球場であるために観客席がホームベースではなくフィールド中央(50ヤードライン)を向いていたりするなど、野球には問題の多い球場であった。

そこで、球団はこのスタジアムに代わる新しい野球場の建設計画を進め、2007年12月18日に新球場を含めた公共施設の建設計画が承認された。新球場は地元マイアミ・デイド郡およびマイアミ市が建設費の7割にあたる3億6000万ドルを負担して建設[5]、2012年よりチームが新球場へ移転することになった。また、建設費を負担した両自治体の要望で移転に合わせてチーム名も2012年からマイアミ・マーリンズと改称することになった[5]

新球場は2012年3月5日に開場した。4月4日にアメリカ合衆国内での2012年シーズン開幕戦を兼ねた(正式な開幕戦は日本で行われた)球場初の公式戦として、前年のワールドシリーズ王者セントルイス・カージナルスとマーリンズの試合が行われ、新本拠地としての使用が始まった。

2016年にフェンスを前に出して高さを約2m下げた[4][6]

2021年3月31日にカリフォルニア州に拠点を置くノンバンクローンデポ英語版ネーミングライツを取得し、球場名をローンデポ・パーク(loanDepot Park)に変更した。取得期間や契約金など具体的な契約内容は未発表[7]

主要な出来事 編集

野球 編集

ワールド・ベースボール・クラシック

国際大会のワールド・ベースボール・クラシックでは、2013年・第3回大会2017年・第4回大会の試合の一部が当球場で開催された。このうち、第4回大会におけるドミニカ共和国代表アメリカ合衆国代表の一戦には37,446人の観衆が集まり、当時の球場史上最多記録を更新した[8]2023年・第5回大会ではメイン会場となり、一次ラウンドの一部と決勝トーナメント(東京ドームで行われた準々決勝2試合を除く)が行われた。

大会 ラウンド 日付 先攻 スコア 後攻 観客動員
2013年
(第3回)
2次ラウンド プール2 3月12日(火) イタリア   4-5   ドミニカ共和国 14,482人
プエルトリコ   1-7   アメリカ合衆国 32,872人
3月13日(水) イタリア   3-4   プエルトリコ 27,296人
3月14日(木) ドミニカ共和国   3-1   アメリカ合衆国 34,366人
3月15日(金) プエルトリコ   4-3   アメリカ合衆国 19,762人
3月16日(土) プエルトリコ   0-2   ドミニカ共和国 25,846人
2017年
(第4回)
1次ラウンド プールC 3月09日(木) カナダ   2-9   ドミニカ共和国 27,388人
3月10日(金) コロンビア   2-3   アメリカ合衆国 22,580人
3月11日(土) コロンビア   4-1   カナダ 17,209人
アメリカ合衆国   5-7   ドミニカ共和国 37,446人
3月12日(日) ドミニカ共和国   10-3   コロンビア 36,952人
カナダ   0-8   アメリカ合衆国 22,303人
2023年
(第5回)
1次ラウンド プールD 3月11日(土) ニカラグア   1-9   プエルトリコ 35,399人
ドミニカ共和国   1-5   ベネズエラ 35,890人
3月12日(日) ニカラグア   1-3   イスラエル 19,955人
ベネズエラ   9-6   プエルトリコ 35,615人
3月13日(月) ドミニカ共和国   6-1   ニカラグア 31,696人
イスラエル   0-10x   プエルトリコ 27,813人
3月14日(火) ニカラグア   1-4   ベネズエラ 21,873人
イスラエル   0-10x   ドミニカ共和国 33,307人
3月15日(水) ベネズエラ   5-1   イスラエル 18,277人
プエルトリコ   5-2   ドミニカ共和国 36,025人
準々決勝 3月17日(金) プエルトリコ   4-5   メキシコ 35,817人
3月18日(土) アメリカ合衆国   9-7   ベネズエラ 35,792人
準決勝 3月19日(日) キューバ   2-14   アメリカ合衆国 35,817人
3月20日(月) メキシコ   5-6x   日本 35,933人
決勝 3月21日(火) アメリカ合衆国   2-3   日本 36,098人

野球以外のイベント 編集

モータースポーツ
 
2017年のレース・オブ・チャンピオンズ

2017年1月、モータースポーツのトップ選手が種目の枠を越えて争う "レース・オブ・チャンピオンズ" (ROC)がマーリンズ・パークで開催された。北アメリカおよび野球場でのROC開催はこれが初めてである。1周613メートルのコースをフィールド上に造成するため、まず芝生保護用の合成樹脂材が敷かれ、その上で総面積50,000平方フィート(約4645.2平方メートル)の金属板、総重量約3,000トンのグラベルと同1,000トンのアスファルトが使用された[9]。ROC主催者代表フレドリック・ジョンソンは、マーリンズ・パークについて「今までROCが開催されてきたなかでも最高の場所だ。とても近代的で、ファンは球場のどこからでも素晴らしい眺めを楽しむことができる」と賞賛した[10]。しかしその一方で、今までのROC開催地である北京国家体育場中華人民共和国)やスタッド・ド・フランスフランス)などと比べ、フィールドと外部をつなぐ出入口が中堅の1か所しかなかったことで作業用貨物自動車の出入りが20分に一度の高頻度となったことや、野球場特有のフィールドの形状を考慮したコースレイアウトの考案など、困難な点があったことも認めている[9]

大会開催前には、2人乗りの競技用車両を出場者のライアン・ハンター=レイが運転し、マーリンズ内野手ディー・ゴードンが助手席に座ってその速度を体感した。ゴードンは「ハンター=レイはゆっくり走ったって言ってるけど、信じられないよ」と感想を述べた[11]。大会は2日間にわたって行われ、個人戦ではファン・パブロ・モントーヤトム・クリステンセンを下して優勝、国別対抗戦はセバスチャン・ベッテルを擁するドイツが制した。ベッテルは「球場で野球を観たことがないのにレースをしたことはあるって、普通じゃないよね」と話した[12]。またこの大会ではパスカル・ウェーレインが事故を起こして棄権し、その後2017年のF1世界選手権でも最初の2戦を欠場、第3戦バーレーングランプリからの復帰となった[13]

脚注 編集

  1. ^ Marlins to break ground for new ballpark”. 2009年6月8日閲覧。
  2. ^ . http://portfolio.populous.com/projects/marlinsballpark.html. 
  3. ^ How loanDepot became Marlins’ stadium naming rights holder and what it means for the team
  4. ^ a b 『2017年MLB選手名鑑 全30球団コンプリートガイド』日本スポーツ企画出版社〈スラッガー〉、77頁
  5. ^ a b c J-sportsコラム:マーリンズ新球場で試されるフロリダの市場性
  6. ^ 『2019年MLB選手名鑑 全30球団コンプリートガイド』日本スポーツ企画出版社〈スラッガー〉、75頁
  7. ^ Christina De Nicola (2021年3月31日). “Marlins' home renamed loanDepot park”. MLB.com. 2021年4月2日閲覧。
  8. ^ Joe Frisaro / MLB.com, "Marlins Park buzzing during Classic / Atmosphere described as a 'Miami moment' by team president," MLB.com, March 12, 2017. 2017年5月7日閲覧。
  9. ^ a b Sarah Holt, CNN, "Race of Champions: How do you turn a baseball stadium into a racetrack?," CNN.com, January 20, 2017. 2017年5月7日閲覧。
  10. ^ Craig Davis, "Marlins Park being tranformed for speed in Race of Champions," Sun Sentinel, January 16, 2017. 2017年5月7日閲覧。
  11. ^ Ben Cosman, "No stranger to speed, Dee Gordon took a spin around Marlins Park in an actual race car," MLB.com, January 22, 2017. 2017年5月7日閲覧。
  12. ^ John Oreovicz, "Sebastian Vettel turns in superlative Race of Champions performance," ESPN, January 24, 2017. 2017年5月7日閲覧。
  13. ^ Samuel Reiman, "F1 driver Pascal Wehrlein shares hospital images from Race of Champions injury," FOX Sports, April 17, 2017. 2017年5月7日閲覧。

外部リンク 編集

先代
ペトコ・パーク
MLBオールスターゲーム開催球場
第88回(2017年)
次代
ナショナルズ・パーク
先代
ドジャー・スタジアム2017年
WBC決勝戦実施スタジアム
第5回(2023年
次代
{{{after}}}