ヤブヘビイチゴ

バラ科キジムシロ属の多年草

ヤブヘビイチゴ(藪蛇苺、学名: Potentilla indica)は、バラ科キジムシロ属多年草。以前は、ヘビイチゴと共にヘビイチゴ属(Duchesnea)に分類され、Duchesnea indica の学名が与えられていた。種小名indica は、ラテン語で「インドの」という意味である。

ヤブヘビイチゴ
Fragaria indica
Fragaria indica[1]
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : 真正バラ類I eurosids I
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : バラ亜科 Rosoideae
: Potentilleae
亜連 : Potentillinae
: キジムシロ属 Potentilla
: ヤブヘビイチゴ P. indica
学名
Potentilla indica
(Andrews) Th.Wolf[2]
シノニム
英名
Indian strawberry, mock strawberry, Gurbir, false strawberry
変種品種
  • P. i. var. indica
  • シロミノヤブヘビイチゴ P. i. f. albocaput[3] 

形態・生態 編集

イチゴオランダイチゴ属)と似た果実を持つが、異なるに分類され、白色あるいは薄ピンク色のを付けるイチゴとは異なり、黄色の花を付ける。

匍匐茎を出して地面を這って伸び、を付けそれぞれの節にクラウンが生じる。葉は三出複葉楕円形の小葉には細かい鋸歯があって深緑、しばしばの間持続される。

黄色の花は中頃に咲き、その後成長シーズンを通じて散発的に咲く。果実は白色あるいは赤色で、赤い種子のような痩果で全体が覆われている。この果実は食べられるが、味はほとんどしない。

ヘビイチゴに比べて一般的に葉や果実は大きい。ヘビイチゴと同じようなところに混生するが、光沢のない花床をもつヘビイチゴに対して、ヤブヘビイチゴは強い光沢があるので容易に区別がつく[4]。また、ヤブヘビイチゴはより副萼片の大きい[5]

分布 編集

東アジアおよび南アジア原産であるが、その他多くの地域に園芸植物として導入されている。ヤブヘビイチゴはアメリカ合衆国東部を含む多くの地域に帰化しており、一部の地域では有害雑草と見なされている[要出典]

分類 編集

最近の遺伝的証拠は、ヘビイチゴ属 (Duchesnea) はキジムシロ属 (Potentilla) に含めたほうがよいことを示しているが[6]、現在のところほとんどの情報源がまだこの種をヘビイチゴ属として載せている。

シノニム 編集

  • Duchesnea fragarioides Sm.
  • Duchesnea fragiformis D.Don [1825]
  • Duchesnea indica var. major Makino
  • Duchesnea major (Makino) Makino [1921]
  • Fragaria indica Andrews [1897]
  • Fragaria malayana Roxb. [1814]
  • Fragaria nilagirica Zenker [1835]
  • Fragaria roxburghii Wight & Arn. [1839]
  • Potentilla denticulosa Ser. in DC. [1825]
  • Potentilla wallichiana Ser. in DC. [1825]

変種・品種 編集

  • Potentilla indica (Andr.) Focke var. microphylla Yu et Ku(中国名: 小叶蛇莓)
  • ヤブヘビイチゴ Potentilla indica f. indica
  • シロミノヤブヘビイチゴ Potentilla indica f. albocaput Naruhashi

雑種 編集

ヘビイチゴとヤブヘビイチゴとの雑種は、アイノコヘビイチゴPotentilla × harakurosawaeNaruh. & M. Sugim.H. Ohashi)と呼ばれる。ヘビイチゴは染色体数が14本の2倍体(2n = 14)であり、染色体数が84本の12倍体(2n = 84)であるヤブヘビイチゴとの雑種には、7倍体(2n = 49)あるいは8倍体(2n = 56)のものがある[7]。7倍体雑種は両種の中間的な形質を示し、偽果も痩果もできない[8]

脚注 編集

  1. ^ シデナム・エドワーズの『ボタニカル・レジスター』の図版
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Potentilla indica”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2013年4月30日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Potentilla indica f. albocaput”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2013年4月30日閲覧。
  4. ^ 川原勝征『食べる野草と薬草』南方新社、2015年11月10日、103頁。ISBN 978-4-86124-327-1 
  5. ^ 特別養護老人ホームきく。花の歳時記。ヤブヘビイチゴ・ヘビイチゴ比較”. 2012年8月9日閲覧。[リンク切れ]
  6. ^ Torsten Eriksson; et al. (2003). “The Phylogeny of Rosoideae (Rosaceae) Based on Sequences of the Internal Transcribed Spacers (ITS) of Nuclear Ribosomal DNA and the trnL/F Region of Chloroplast DNA”. Int. J Plant Sci. 164 (2): 197–211. doi:10.1086/346163. 
  7. ^ Naruhashi, N.; Iwatsubo, Y. (1991). “Cytotaxonomic study on two putative hybrids in the genus Duchesnea (Rosaceae)”. J. Plant Res. 104 (2): 137-143. doi:10.1007/BF02493254. 
  8. ^ uotak. “ヘビイチゴ Potentilla hebiichigo バラ科 Rosaceae キジムシロ属”. 三河の野草. 2012年8月9日閲覧。

参考文献 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集