ラボバンクRabobank、正式名称:Coöperatieve Rabobanks U.A.)はオランダユトレヒトに本拠地を置く金融機関[1]

コーペラティブ・ラボバンク・ウー・アー
COÖPERATIEVE RABOBANK U.A.[1]
種類 Coöperatie
略称 ラボバンク
本社所在地 オランダの旗 オランダ
ユトレヒト州ユトレヒト市クローセラーン18
設立 1970年12月22日
業種 銀行業
事業内容 リテール・バンキング事業
ホールセール・バンキング事業
アセット・マネジメント事業
リース事業
不動産事業
代表者 ウィーベ ドライヤー(会長)
資本金 6億3,800万ユーロ
売上高 128億57百万ユーロ(2014年12月期総収益)[1]
総資産 6810億86百万ユーロ
(2014年12月現在)[1]
従業員数 48,254人(2014年12月現在)[1]
決算期 12月31日
主要株主 ウェストランド 1.65%
ウェスト・ズェーウス・フラーンデレン 1.56%
デ・ザウデライケ・バロニ 1.33%
(2007年12月31日現在)
外部リンク www.rabobank.com(英語)
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歴史・概要 編集

ラボバンクは、農業組織向け金融機関の統轄金融機関(日本の農林中央金庫に相当)であり、民法に基づく協同組合型の会社として組織されている。

かつての正式名称、Coöperatieve Centrale Raiffeisen-Boerenleenbankを日本語に訳すと協同組合中央ライファイゼン農業者銀行といったところであり、ライファイゼン型の協同組合は、資金の無い者同士が集まって資金を外部から調達するというもので、その為の中央機関を結成するのが特徴とされる[2]

ラボバンクは、単位協同組合のローカルラボバンクと[3]、ラボバンク・ネダーランドと称する[1]中央機関で構成されている[3]

前者のローカルラボバンクは各々が自立した経営を行うと同時に、相互に保証しあうことでグループ内での信用を補完している[2]。ローカルラボバンクは一人一票の投票で役員などを選出する単位組合であり[2]、組合員数は2000年4月末時点では約56万人あったが[3]2014年12月時点では約195.9万人となった[1]。ローカルラボバンクは2000年4月末時点では424行あったが[3]2006年3月時点では385行となり[2]2014年12月時点では113行となった[1]

ラボバンクは農業金融の組織として発達したことから、オランダにおける同分野で約85%という高い占有率を持っている[2]。この点では農業協同組合の金融部門である日本のJAバンク農林中金に近い面を持つ。しかし、国内における農業金融市場には限界があることから他の分野に進出し、住宅ローンや中小企業向け金融などを強化するなど農業の銀行からの脱却を図っている[2]。その結果、オランダ国内では、住宅ローンの2014年度の新規融資で約22%のシェアを持ち[1]、中小企業向けの貸し出しでも1位となって[3]2014年末時点で約39%のシェアを持つようになった[1]。さらに、オランダ国内における貯蓄口座でも1位となり[3]、2014年12月時点では占有率約36%となった[1]。2000年4月末時点で月100万件のアクセス数となり[3]、2006年3月時点で預金高の約43%はインターネットによるものとなるなどインターネットバンキングの比率も高めとなった[2]

海外事業 編集

海外拠点は、2000年4月末時点では38カ国に147であったが[3]、2006年3月時点では37か国に244となり[2]、農業関連のノウハウを活用して北米での農業金融などの展開を進めた[2]。その後、海外拠点数は2013年12月時点では769に達したが、2014年12月時点では40カ国で440となった[1]。海外での金融事業は2014年12月時点では約821億ユーロで、そのうち食料・農業関連産業が約549億ユーロで約72%を占めている[1]。地区別では、北米が約302億ユーロ、オーストラリアニュージーランドが約187ユーロ、オランダ以外のヨーロッパが約148億ユーロとなっている[1]

2010年6月中国農業銀行の株式公開に際して約221億ドルの増資のうち約2.5億ドルを引き受け、資本・業務提携した。この提携により、中国の食品業界などとの関係を強化し、中国などアジアにおける外国産食品の需要増に伴う収益確保を狙った。日本では2000年8月に東京にラボバンクの支店を開設し[4]2015年(平成27年)5月27日に日本の農林中央金庫との提携が発表された[5][6]。2017年2月、国内の法律家がラボバンクをメキシコの麻薬カルテル資金洗浄に及んだとして告発した[7][8]

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『ラボバンクグループ 2016年 上半期投資家向けIR資料』 ラボバンク. (2016年9月13日).
  2. ^ a b c d e f g h i 長谷川努 (2006年3月1日). “ラボバンクの形成と発展”. 信金中金月報 2006年3月号、2 - 10頁、(信金中央金庫) (ウェブ版[1])
  3. ^ a b c d e f g h 重頭ユカリ (2000年7月1日). “欧州協同組合系金融機関のリテール戦略-オランダのラボバンク-”. 季刊組合金融 2000年夏号、12 - 15頁、(農林中金総合研究所)(ウェブ版[2])
  4. ^ 立脇和夫 『在日外国銀行百年史 1900~2000年』 日本経済評論社、2002年1月。ISBN 978-4818813557
  5. ^ “オランダ大手金融と提携 農林中金”. 朝日新聞(朝日新聞社). (2015年5月28日)
  6. ^ 農林中金、欧州農業金融大手と提携発表 輸出拡大へ”. 日本経済新聞 (2015年5月27日). 2015年7月18日閲覧。
  7. ^ Yahoo, "Dutch activists accuse Rabobank of laundering drug-money", February 03, 2017
  8. ^ NL Times, "RABOBANK COMPLICIT IN MEXICAN DRUG CARTELS' CRIME: LAWYER", February 2, 2017
  9. ^ Reuters "RPT-Former Australian Rabobank trader agrees to U.S. extradition - court"、2016年5月31日。