ラヴァマン (Lava Man) は、アメリカ合衆国競走馬。おもに2000年代アメリカ西海岸で活躍を繰り広げた馬で、2008年までの7年間の競走生活でG1競走7勝を挙げた。

ラヴァマン
2006年パシフィッククラシック出走時
欧字表記 Lava Man
品種 サラブレッド
性別
毛色 黒鹿毛
生誕 2001年3月20日
スルーシティースルー
リルミズレオナルド
生国 アメリカ合衆国
生産者 ロニー・アーターバーン
イヴ・クールマン
キム・クールマン
馬主 ジェイソン・ウッド
調教師 ダグ・オニールアメリカ
競走成績
生涯成績 47戦17勝
獲得賞金 5,268,706ドル
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概要 編集

西海岸を本拠地とし、同地で非常に優秀な競走成績を残したことから「西海岸の帝王」の異名を持つ。2006年にはサンタアニタハンデキャップハリウッドゴールドカップパシフィッククラシックステークスと、西海岸におけるダート中距離の主要レースをすべて優勝した。その反面、中部あるいは東海岸競馬場では苦戦、国外では惨敗する傾向が強かった。2005年、日本で開催されたジャパンカップダートに出走し11着に敗れているが、その直後からG1を含めた西海岸でのレースで7連勝している。2007年にはネイティヴダイヴァー以来40年ぶりとなる、史上2頭目のハリウッドゴールドカップ3連覇を達成した。西海岸限定で芝のG1にも対応可能、オールウェザーも問題にしなかった。

戦績 編集

若駒時代 編集

ラヴァマンはカリフォルニア州にあるポピュラーメドウズ牧場で生産されたサラブレッドである。母馬リルミズレオナルドは調教師ルーニー・アーターバーンの所有馬であり、ラヴァマンも同師の所有・管理のもとで競走馬となった。

ラヴァマンは2歳になった2003年の6月に、カリフォルニア州ストックストンの小さな競馬場でデビューした。初戦の結果は4着と平凡で、その後もすぐには勝ち上がれなかった。この頃にアーターバーンは同じく調教師であるダグ・オニールにラヴァマンの所有権の多くを売り渡し、また管理もオニールが引き継いだ。ラヴァマンはその後、11月に迎えたゴールデンゲートフィールズ競馬場での未勝利戦で初勝利を挙げている。

2004年8月、オニールはSTDレーシングステーブルのジェイソン・ウッドの要望に応じ、ラヴァマンの所有権を5万ドルで譲り渡した。以後もオニールが管理調教師を務めている。同年は芝路線にも挑戦して1勝を挙げているが、結局ダートに戻っている。9月のフェアプレックス競馬場で行われたダービートライアルステークスでステークス競走勝ちを収めると、同競馬場のポモナダービーにも出走したが、ここでは3着に敗れた。その後も勝てないながらも善戦を繰り返し、年末のマリブステークスではグレード競走初挑戦ながらも勝ち馬から半馬身差の2着と好走した。

4歳 編集

2005年は年初からサンシャインミリオンズクラシックなどステークス競走に果敢に挑むも、3戦してすべて凡走に終わっており、この頃からオニールはラヴァマンにブリンカーを装着させるようにした。この装備変更が功を奏したか、翌戦の一般競走を勝つと、続くカリフォルニアンステークスも勝ってグレード競走初制覇を達成した。さらに勢いに乗って出走した7月のハリウッドゴールドカップでは2着に8馬身3/4差をつけての圧勝を見せ、3連勝でG1タイトルを手にする大活躍を繰り広げた。

しかし同年のその後はあまり振るわず、パシフィッククラシックステークスジョッキークラブゴールドカップともに見せ場はなかった。11月にはジャパンカップダートに出走するため日本へと国外遠征したが、初の遠征、またこの間に左前脚に出た膿瘍の影響もあり、11着と大敗している。この日本遠征のときに鞍上がコーリー・ナカタニに乗り替わっており、以後しばらくナカタニとのコンビで競馬を続けていった。

5歳 編集

翌年の末から一転して、2006年はラヴァマンにとって飛躍の年となった。年明け初戦のサンシャインミリオンズクラシックを快勝すると、続く大一番のサンタアニタハンデキャップにも優勝した。その後も快進撃を繰り広げ、チャールズウィッティンガムメモリアルハンデキャップ、パシフィッククラシックステークス、ハリウッドゴールドカップといったG1競走4勝を含む7連勝を達成する。この連勝劇でラヴァマンは西海岸競馬の主催者らから「Horse of the Meet(今季の主役)」と称えられ、名実ともに西海岸の頂点として君臨した。

その勢いで出走した年末のブリーダーズカップ・クラシックでは、同年のプリークネスステークス勝ち馬バーナーディーニに次ぐ2番人気に支持された。しかしレースでは、位置取りの不利を被り、優勝したインヴァソールに遅れること16馬身差の7着と大敗を喫した[1]

6歳 編集

 
2007年ハリウッドゴールドカップ

2007年も西海岸では強く、サンタアニタハンデキャップを連覇、ハリウッドゴールドカップを3連覇するなど活躍するが、遠征すると本来の力を発揮できず、ドバイデューティーフリーでは16着と大敗している。しかし、8月から11月にかけて3戦消化したが、6着とやや精彩を欠いた。

7歳時代 編集

2008年は4月のカーレッドステークスから始動し、3着だった。 その後、6月のチャールズウィッティンガムメモリアルハンデキャップも3着だった。そして、7月のエディーリードハンデキャップの6着を最後に一旦現役を引退した。

8歳時代 編集

2009年12月27日サンガブリエルハンデキャップ (G2) にて現役復帰を果たしたが、7着と殿負けを喫した。このレースを最後に現役を引退した。

競走成績 編集

出走日 競馬場 競走名 距離 着順 騎手 着差 1着(2着)馬
2003.06.19 ストックトン 未勝利 D4.5f 4着 C.ビソーノ 4馬身 Smooth Satin
2003.07.31 サンタローザ 未勝利 D5f 3着 C.ビソーノ 2馬身 Mountain Slewpy
2003.09.04 ベイメドウズ 未勝利 D5.5f 6着 C.ビソーノ 7馬身 Something Fierce
2003.10.19 ベイメドウズ 未勝利 D8f 2着 F.デュラン 1 1/2馬身 Charbonnier
2003.11.29 ゴールデンゲート 未勝利 D8.5f 1着 F.デュラン 4馬身 (French Roast)
2004.01.08 ゴールデンゲート 一般競走 D8f 1着 F.デュラン 5馬身 (Dancin Candy)
2004.02.06 サンタアニタ オプショナルクレーミング D8f 2着 T.ベイズ 5馬身 Cozy Guy
2004.04.08 ベイメドウズ 一般競走 8.5f 4着 F.デュラン 3 3/4馬身 Kingdom Come
2004.04.24 ハリウッドパーク スノーチーフS D9f 8着 T.ベイズ 10馬身 Cheiron
2004.05.16 ベイメドウズ 一般競走 芝8.5f 2着 F.デュラン アタマ Soccer Dan
2004.06.05 ベイメドウズ 一般競走 芝8f 1着 C.シュヴァネヴェルト ハナ (Talaris)
2004.07.28 デルマー クレーミング競走 芝8.5f 5着 F.アルヴァラード 4 1/4馬身 Plenty of Heat
2004.08.13 デルマー クレーミング競走 芝8.5f 2着 K.ジョン 4馬身 Everybodyluvsdaheat
2004.09.13 フェアプレックス ダービートライアルS D8.5f 1着 O.フィゲロア 6 1/4馬身 (Last Time in Town)
2004.09.25 フェアプレックス ポモナダービー D9f 3着 O.フィゲロア 6 1/2馬身 Semi Lost
2004.10.16 サンタアニタ カリフォルニアCクラシックH D9f 2着 J.コート 3/4馬身 Cozy Guy
2004.11.13 ハリウッドパーク オントラストH D7.5f 2着 J.コート 1馬身 Anziyan Royalty
2004.12.26 サンタアニタ マリブS G1 D7f 2着 J.コート 1/2馬身 Rock Hard Ten
2005.01.29 ガルフストリーム サンシャインミリオンズクラシックS D9f 7着 J.コート 14馬身 Musique Toujours
2005.03.12 サンタアニタ クリスタルウォーターH 芝8f 6着 J.コート 11馬身 Cozy Guy
2005.04.24 ハリウッドパーク ティズナウS D7.5f 5着 R.ダグラス 2 1/4馬身 Unfurl the Flag
2005.05.14 ハリウッドパーク オプショナルクレーミング D8.5f 1着 G.ゴメス 1 1/2馬身 (Skukuza)
2005.06.18 ハリウッドパーク カリフォルニアンS G2 D9f 1着 P.ヴァレンズエラ 1馬身 (Anziyan Royalty)
2005.07.09 ハリウッドパーク ハリウッド金杯 G1 D10f 1着 P.ヴァレンズエラ 8 3/4馬身 (Borrego)
2005.08.21 デルマー パシフィッククラシックS G1 D10f 3着 P.ヴァレンズエラ 3/4馬身 Borrego
2005.10.01 ベルモントパーク ジョッキークラブ金杯 G1 D10f 7着 P.ヴァレンズエラ 18馬身 Borrego
2005.11.26 東京 ジャパンCダート G1 D2100m 11着 C.ナカタニ 2.8秒 カネヒキリ
2006.01.28 サンタアニタ サンシャインミリオンズクラシック D9f 1着 C.ナカタニ 2 1/4馬身 (Whos Crying Now)
2006.03.04 サンタアニタ サンタアニタH G1 D10f 1着 C.ナカタニ 3/4馬身 (Magnum)
2006.04.30 ハリウッドパーク カーレッドS 芝9f 1着 C.ナカタニ 5 1/4馬身 (Cheroot)
2006.06.10 ハリウッドパーク チャールズウィッテンガム記念H G1 芝10f 1着 C.ナカタニ 2馬身 (King's Drama)
2006.07.08 ハリウッドパーク ハリウッド金杯 G1 D10f 1着 C.ナカタニ ハナ (Ace Blue)
2006.08.20 デルマー パシフィッククラシックS G1 D10f 1着 C.ナカタニ 2 1/2馬身 (Good Reward)
2006.10.07 サンタアニタ グッドウッドBCH G2 D9f 1着 C.ナカタニ 2 1/4馬身 (Brother Derek)
2006.11.04 チャーチルダウンズ BCクラシック G1 D10f 7着 C.ナカタニ 16馬身 Invasor
2007.01.27 サンタアニタ サンシャインミリオンズターフS 芝9f 1着 C.ナカタニ 2馬身 (Icy Atlantic)
2007.03.03 サンタアニタ サンタアニタH G1 D10f 1着 C.ナカタニ 3/4馬身 (Molengao)
2007.03.31 ナドアルシバ ドバイデューティーフリー G1 芝1777m 16着 C.ナカタニ 29馬身 Admire Moon
2007.06.09 ハリウッドパーク チャールズウィッテンガム記念H G1 芝10f 2着 C.ナカタニ 1 1/2馬身 After Market
2007.06.30 ハリウッドパーク ハリウッド金杯 G1 AW10f 1着 C.ナカタニ ハナ (A.P.Xcellent)
2007.08.19 デルマー パシフィッククラシックS G1 AW10f 6着 C.ナカタニ 7馬身 Student Council
2007.10.07 サンタアニタ オークツリーマイル G2 芝9f 6着 C.ナカタニ 4 3/4馬身 Out of Control
2007.11.03 サンタアニタ カリフォルニアCクラシックH AW9f 6着 C.ナカタニ 2 1/2馬身 Bold Chieftain
2008.04.27 ハリウッドパーク カーレッドS 芝9f 3着 C.ナカタニ 2 1/2馬身 Mr.Wolverine
2008.06.07 ハリウッドパーク チャールズウィッテンガム記念H G1 芝10f 3着 T.ベイズ クビ Artiste Royal
2008.07.20 デルマー エディーリードH G1 芝9f 6着 T.ベイズ 3 1/2馬身 Monzante

引退後 編集

引退後はそのままオニール厩舎に残り、リードポニー(誘導馬)としての役割を与えられた。同厩舎のアイルハヴアナザーケンタッキーダービープリークネスステークスに出走した際には帯同して現地に赴いてスタート位置までの誘導をしている[2]

また2015年にはアメリカ競馬殿堂入りを果たしている[3]

血統表 編集

ラヴァマン血統ボールドルーラー系 / Prince John 5×5=6.25%、Herbager 5×5=6.25%) (血統表の出典)

Slew City Slew
黒鹿毛 1984年 アメリカ
父の父
Seattle Slew
青鹿毛 1974年 アメリカ
Bold Reasoning Boldnesian
Reason to Earn
My Charmer Poker
Fair Charmer
父の母
Weber City Miss
黒鹿毛 1977年 アメリカ
Berkley Prince Rash Prince
Betrayed
Esirnus Sunrise Flight
Water Lady

Li'l Ms. Leonard
黒鹿毛 1992年 アメリカ
Nostalgias Star
黒鹿毛 1982年 アメリカ
Nostalgia Silent Screen
The Garden Club
Aunt Carol Big Spruce
Dinky Pinky
母の母
Pink Native
鹿毛 1982年 アメリカ
Be a Native Exclusive Native
Poteen
Pink Khal Khalex
Pinky Jo F-No.8-k


脚注 編集

  1. ^ Invasor Conquers Bernardini in Breeders' Cup Classic - bloodhorse (英語)
  2. ^ ラヴァマン、ダービー勝馬のリードポニーとして第2の人生開始(アメリカ)”. ジャパンスタッドブックインターナショナル (2012年5月31日). 2017年9月21日閲覧。
  3. ^ Hall of Fame - Horses”. National Museum and Hall of Fame. 2017年9月21日閲覧。

外部リンク 編集