レム (rem) は、線量当量(生物体における放射性粒子吸収線量)の単位である。REMは「roentgen equivalent in man and mammal」の略である。現在は、同じ物理量を表すシーベルト(Sv)の方がよく使われている。1 レム = 0.01 シーベルトである。

レム
rem
記号 rem
度量衡 メートル法非SI単位
法定計量単位
線量当量
SI 0.01 Sv
組立 rad×RBE
定義 1 rad のX線吸収に等しい線量当量
語源 roentgen equivalent in man and mammal
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吸収線量1ラド (rad) のX線の線量当量が1レムと定義される。それ以外の放射線は、放射線の種類ごとに定められた生物学的効果比率 (RBE) を線量当量に乗じて得る。(つまり言い換えれば、X線のRBEは 1 rem/rad である)

レントゲン (R) 単位で計測した照射線量に、放射線の種類ごとの生物学的影響の程度を表す係数を乗じても求められる。重みづけ系数rW = 1としたとき、1レムは1.07185レントゲンとなる。

ラドはMKS単位でもCGS単位でもないので、ラドもレムもSI単位ではない。線量当量のSI単位は、シーベルト (Sv) である。 1 レム = 0.01 シーベルトである[1]。レムは日常の放射線を表すには大きすぎるので、その1000分の1のミリレム (mrem) が使われていた。

計量法における位置付け 編集

計量法では、放射能計量単位である、キュリーラドレントゲンレムの4単位を現在でも法定計量単位として認めている。ただし、これらの単位は計量制度審議会の資料(2005年)において、「暫定的使用」する単位として位置づけられている[2]

表 暫定的使用の放射能の非SI単位とそのSI単位
番号 物象の状態の量 計量単位(非SI単位) SI単位
64 放射能 キュリー(Ci) ベクレル(Bq)
65 吸収線量 ラド(rad) グレイ(Gy)
69 照射線量 レントゲン(R) クーロン毎キログラム(C/kg)
71 線量当量 レム(rem) シーベルト(Sv) 

番号は計量法第2条第1項第1号における物象の状態の量の列挙順の番号である。

脚注 編集

注釈 編集

出典 編集

  1. ^ 計量単位令 別表第1、項番64、レムの欄
  2. ^ 単位について p.20、(参考)法定計量単位とSI(国際単位系 )との関係 一覧表 項番57,58,62,63,64,65、2005年度第1回 計量行政審議会 開催資料 資料4(12)、経済産業省 計量行政審議会、2005-07-26

関連項目 編集

放射能に関する単位と量[編集]
単位 記号 定義 導入年 SI単位
放射能 (A) キュリー Ci 3.7×1010 s−1 1953年 3.7×1010 Bq
ベクレル Bq s−1 1974年 SI単位
ラザフォード Rd 106 s−1 1946年 MBq
照射線量 (X) レントゲン R esu / 0.001293 g(空気) 1928年 2.58×10−4 C/kg
フルエンス (Φ) 毎平方メートル m−2 m−2 1962年 SI単位
吸収線量 (D) エルグ erg erg⋅g−1 1950年 10−4 Gy
ラド rad 100 erg·g−1 1953年 10−2 Gy
グレイ Gy J·kg−1 1974年 SI単位
等価線量 (H) レム rem 100 erg·g−1 1971年 10−2 Sv
シーベルト Sv J·kg−1 × WR 1977年 SI単位