ロシア語キー配列(ロシアごキーはいれつ)は、パソコンおよびタイプライターでのロシア語入力のキー配列。文字の並び順にちなんで、ЙЦУКЕН配列またはJCUKEN配列とも呼ばれる。

キー配列 編集

 
ロシア語キー配列コンピュータ Русская
 
ロシア語キー配列タイプライター Русская (машинопись)

コンピュータの配列とタイプライターの配列は、ロシア文字においてはЁ ё 以外では共通している。

また、タイプライターの配列をコンピュータに使用することも可能である。

ラテン文字のキー配列 編集

 
ロシア語キーボードを搭載したノートPC。キリル文字はЙЦУКЕН配列だが、ラテン文字はQWERTY配列になっている。

ソビエト連邦時代に作られたコンピュータでは、ラテン文字もJCUKEN配列となっており、キリル文字の発音に概ね対応したキー配列となっていた。

現在のロシア語キーボードは、キリル文字はЙЦУКЕН配列でラテン文字はQWERTY配列という形が一般的であり、実際の発音とはまったく一致しない配列となっている。

20世紀初頭のタイプライター配列 編集

 
1907年頃のロシア語タイプライター

ロシア革命直後の1918年にロシア文字改革があり、І(і)とѢ(ѣ)の2つの文字が削られた。そのため、改革以前のタイプライターの配置は現在と比べて以下のような違いがある。

  • І(і)が、Ц(ц)のところにあった。
  • Ѣ(ѣ)が、С(с)のところにあった。
  • С(с)、М(м)、И(и)、Т(т)、Ь(ь)、Б(б)、Ю(ю)が、現在の配列より、ひとつ右に位置していた。
  • Ц(ц)が、QWERTY配列で0(ゼロ)のところにあり、Э(э)はその右隣にあった。

ロシア語以外のキリル文字のキー配列 編集

キリル文字を使用する諸言語においてもJCUKEN配列を基礎とした配列を採用している。Windowsがサポートしているキー配列は、ベラルーシ語ウクライナ語モンゴル語(Windows 95から採用)、アゼルバイジャン語カザフスタン語キルギス語ウズベキスタン語(Windows XPから採用)、バシキール語タジキスタン語(Windows Vistaから採用)、サハ語(Windows 7から採用)である[1]

JCUKEN配列を基礎としないキリル語のキー配列としては、タタール語セルビア語マケドニア語ブルガリア語が挙げられる。

ベラルーシ語 編集

Ўがロシア語キー配列におけるЩの位置にあり、JCUKEN配列としては唯一Иの入力キーがなく、Ъの入力キーもないことが特徴である。

 

ウクライナ語 編集

Іの位置にЫЄの位置にЭЪの位置にЇが配置されているほか、Ґの入力キーが用意されている。

 

モンゴル語 編集

JCUKEN配列を基礎とするが、FCUZHENとも呼ばれる。モンゴル語のキー配列はロシア語と大きく異なる。

 

アゼルバイジャン語 編集

JCUKEN配列を基礎とするが、JÜUKEN配列とも呼ばれる。JCUKEN配列のキー配列としては唯一Йが配置されていないほか、ҸҺҜЈが独自に配置される。

Яの位置にӘЮの位置にӨЬの位置にҒЪの位置にҸЦの位置にҮЩの位置にҺが配置されている。

 

カザフ語 編集

 

キルギス語 編集

ロシア語キー配列を基礎として作られているが、キルギス語に特有の文字はAltキーを押下することによって入力できる。

 

ウズベク語 編集

Ўがロシア語キー配列におけるЩの位置にあり、ベラルーシ語の配列に似ているが、Ыの位置にҚが配置されているほか、ҒҲが独自に配置されている。

 

バシキール語 編集

 

タジク語 編集

JCUKEN配列を基礎とするが、YQUKEN配列とも呼ばれる。Цの位置にҚЫの位置にҶЬの位置にӢが配置され、ҲӮҒのキーも独自に用意されている。

 

サハ語 編集

 

タタール語 編集

タタール語の表記として稀にキリル文字が使われるが、JCUKEN配列と配列が異なることから、YÖUKENと呼ばれる。また、カルムイク語トルクメン語においても同様の配列が使われる。

 


関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ Windows Keyboard Layouts”. Microsoft (2017年). 2022年6月4日閲覧。

外部リンク 編集