ヴィボルグ市立図書館

ロシア・ヴィボルグにある図書館

ヴィボルグ市立図書館(ヴィボルグしりつとしょかん、ロシア語: Выборгская городская библиотека, 英語: Vyborg City Library)またはヴィープリ市立図書館フィンランド語: Viipurin kaupunginkirjasto[1]は、ロシアヴィボルグにある図書館である[2]ヴィープリの図書館英語: Viipuri Library[3]ともいう。

ヴィボルグ市立図書館
Vyborg City Library
ヴィボルグ市立図書館 地図
施設情報
建物設計 アルヴァ・アールト
アイノ・アールト
開館 1935年10月13日
所在地

ロシアの旗 ロシア ヴィボルグ

ヴィボルグ市立図書館の位置(カレリア地峡内)
ヴィボルグ市立図書館
ヴィボルグ市立図書館
ヴィボルグ市立図書館 (カレリア地峡)
ヴィボルグ市立図書館の位置(バルト海内)
ヴィボルグ市立図書館
ヴィボルグ市立図書館
ヴィボルグ市立図書館 (バルト海)
ヴィボルグ市立図書館の位置(ロシア内)
ヴィボルグ市立図書館
ヴィボルグ市立図書館
ヴィボルグ市立図書館 (ロシア)
位置 北緯60度42分31.8秒 東経28度44分52.0秒 / 北緯60.708833度 東経28.747778度 / 60.708833; 28.747778座標: 北緯60度42分31.8秒 東経28度44分52.0秒 / 北緯60.708833度 東経28.747778度 / 60.708833; 28.747778
公式サイト www.aalto.vbgcity.ru
地図
地図
プロジェクト:GLAM - プロジェクト:図書館
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歴史 編集

フィンランドの実業家、ユホ・ラッルッカ (en:Juho Lallukka) によって建設費用が遺贈されたことから、図書館の建設が企画された[4]。1927年10月1日に行われた建築コンペティションで、建築家アルヴァ・アールトの設計案が一等に選ばれた[4][5]。アールトは、1928年2月29日より設計を開始し、1929年5月4日にヴィープリ市の建設委員会に、L字型のプランを提出し承認を受けている[4]

1933年、図書館の建設予定地が決定され、同年10月5日より、アールトとその妻アイノは、ディドリク・ダールベルク (Didrik Dahlberg) とともに、3度目の設計を開始し、12月14日に新たなプランが提出されている[4]。図書館の建設工事は、1934年4月12日に開始され、1935年に完成され、同年8月19日にヴィープリ市への引き渡しが行われ、10月13日に開館された[4][6][5]

第二次世界大戦中に、手榴弾によって講堂棟の外壁が一部損壊する被害が発生している[7]。フィンランド領であったヴィープリが、戦後にソビエト連邦の支配下に置かれ、市名がヴィボルグに変更され、1955年から1962年にかけて、ピョートル・ロゼンブリュームらによって、市の中央図書館として改修される。このときの改修では、アールトによる設計文書は参照されなかった[7][5][8]

1980年代末期に、建物の状態を調査した建築家のセルゲイ・クラフチェンコが、懸念を示したことにより、1991年にヘルシンキで図書館修復のための募金運動が起きる[7]。1992年1月、エリッサ・アアルト (en:Elissa Aalto) の他、アールト建築事務所、フィンランド環境省の代表者らがヴィボルグを訪れ、同年、フィンランドにおいて修復委員会が創設される[7]

アールトの設計文書に基づく修復工事が、1994年に始められたが、資金は限られていたために開館しながらの工事となり、完成までには長期間を必要とすると思われていた。しかし、2010年3月に開催された、ロシアの首相ウラジーミル・プーチンとフィンランドの大統領タルヤ・ハロネンの会談において、ロシアが残りの工事費を負担することが決定し、同年12月に必要な金額が用意された[7]

図書館は、2000年および2002年、ワールド・モニュメント財団によってワールド・モニュメント・ウォッチに選定された[9]。2011年10月に図書館が閉館され、急ピッチで残りの工事が行われた[7]。この修復工事では、全館に火災報知設備や警報装置が、地階にはスプリンクラー設備、暖房および換気装置が設置された[10]。2013年11月23日、ヴィボルグ市立図書館は、タルヤ・ハロネンらの臨席のもと再開館された[10]

構造 編集

 
講堂

閲覧室棟の1階に図書閲覧室が設けられており、2階には貸出カウンターが、地階には児童向けの図書室の他、新聞閲覧室が設けられている[7]。講堂棟の1階にメイン・エントランスの他、ロビー、講堂が設けられており、2階には事務室が、地階には書庫が設けられている[7]

メイン・エントランスは建物の北側にあるが、児童向けの図書室への入口は、建物の南側にある[2]。講堂は、幅がおよそ9メートル、奥行きがおよそ25メートルあり、天井は、音響効果を考慮して、波状にデザインされている[3]

脚注 編集

  1. ^ 展示作品紹介”. 名古屋市美術館. 2019年7月15日閲覧。
  2. ^ a b 『建築ガイドブック』 2009, p. 175.
  3. ^ a b 『エレメント&ディテール』 2018, p. 104.
  4. ^ a b c d e 『もうひとつの自然』 2018, p. 81.
  5. ^ a b c エサ・ラークソネン. “アルヴァー・アールト:ヴィープリ図書館”. GKデザイン. 2019年7月15日閲覧。
  6. ^ Как пройти в библиотеку Алвара Аалто?”. СПб Тур Кит (2018年8月9日). 2019年7月15日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h 『もうひとつの自然』 2018, p. 82.
  8. ^ 2019年01月20日の図書館だより”. 津島市立図書館 (2019年1月20日). 2019年7月15日閲覧。
  9. ^ Viipuri Library”. ワールド・モニュメント財団. 2019年7月15日閲覧。
  10. ^ a b 『もうひとつの自然』 2018, p. 83.

参考文献 編集

  • 和田菜穂子(編)『アルヴァ・アアルト もうひとつの自然』国書刊行会、2018年10月。ISBN 978-4-336-06289-5 
  • Michael Trencher 著、平山達 訳『アルヴァー・アアルト 建築ガイドブック』丸善、2009年4月。ISBN 978-4-621-08098-6 
  • 小泉隆『アルヴァ・アールトの建築 エレメント&ディテール』学芸出版社、2018年3月。ISBN 978-4-7615-3240-6 

外部リンク 編集